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パンティラインの有無についての田口実の考察

ジーンズの尻に現れた二本の線を見ている。その横、線の現れないジーンズの尻を見ている。いずれも若い女。小奇麗ななりをしている。ファッション紙のモデル生き写しの小奇麗ななりをしている。私はふたりの、線と尻をわき目をふらずに直視している。なぜならそれらは目の前にある。ふたりは立っていて、私は座っている目線はちょうど線、尻、満員の電車内、視線のやり場などないに等しい、故に直視しなければならない。線がない、...

5・7・5・7・7

ボールペンインク切れて書けやしない。だからというわけではないですが、さて。...

図書館で僕が止めた時間について考える

本をめくる音がいくつも重なって僕は目覚める。その間、僕が読む物語は進まず、つまりその中の時間は止まっている。世界は相変わらず、つまらなそうに進んでいるのに、僕は進めるべき時間を止めてしまった。慌てて目で文字に追い時間を進める。僕が眠っている間、例えば木から落ちようとする林檎は空で停止しているし、例えば女の子が温めるミルクの湯気も立ち昇ることはない。そんな星の数でも追いつかないぐらいいくつもの時間を...

夜更け過ぎ、ドアをノックする鶴

ほな寝るか、と思った矢先、ドアをノックする音。もう3時やでしかし、ネットサーフィンどっぷりはまってたから気付かんかったけどもう3時やでしかし。しつこくドアをノックする音。シカトしたろか、一瞬思ったけど、とにかくしつこいので仕方なく、とりあえず玄関へ、玄関つっても同室内やけどね。いうても物騒な世の中やから、訪問者が何者か分からんうちはむやみにドアも開けれん、開けたら最期ジャックナイフで刺されて、血潮...

斎藤さんに、ありったけのドレミを浴びせろ

斎藤さんは無口だ。無口で、無愛想で、コンビニで働いているというのに挨拶もろくに言えやしない。斎藤さんの「いらっしゃいませー」は聞く人が聞くと正しく聞こえるのかもしれないけれど、私はいつ聞いても「キャツアイ」と言っているように聞こえる。立ち読みしている時なんかに、団体のお客さんが入ってくると「キャツアイ、キャツアイ」と何度もつぶやくので、思わず笑みがこぼれる私は斎藤さんのほうに目をやり、どうしてか斎...

代表リレーで胸を揺らすということ

第二次成長を先に迎える女子の中にはすでに、大人用のブラをしているものもいる。どちらかと言えばあたしもそちらの方に属す。運動会も終盤に差し掛かり、学年代表リレーがはじまる。小さい頃から足の速かったあたしは必然的に赤組6年女子の代表。一年生からはじまって、抜きつ抜かれつ結局ほとんど変わらぬままバトンを渡して5年生へ、じきにあたしの番がきて、受け取ったバトンを握り締めて走る。あたしは風を切りながら、カー...

シンデレラ、ガラスの靴を脱ぎ捨てた

零時を知らせる鐘の音、ダンスホールの大時計から鳴り響く。この鐘が鳴り終わるまでにあたしはここから離れなければならないさもなくば、みすぼらしい姿に戻り、それまであたしを褒め称えていた人々は一転あざけ笑うことでしょう。あたしの手を取り無心に踊る王子さまだってきっと、あたしのしわくちゃで埃まみれのワンピース姿を見ればたちまち我に返って、その手を離し、こんなにもみすぼらしい女に心奪われた己を悔いるに違いあ...

アダムとイヴと回転する天体

放課後の放課後、練習終わって他の部員が帰ったあと、もうほとんど沈んだ夕日がかろうじて作る影法師ふたつ。ひとつは顔立ちの整った野球部の主将でエースで4番でコーチ兼監督の真似事もやっているエキスパートで、ひとつは同じ野球部の美人マネージャーで、生徒会長でピアノコンクールなんかでも優秀な成績を修める才女で、ふたつは誰からもお似合いと言われる理想のカップル。ふたりは時々、愛の語らいの中で想う、すべてが我々...

5・7・5・7・7

ぐいつとうでをひきよせるせかいがとまるみみをすました...

母とフレンチドレッシングを買いに行く

まるで魔法みたいに、私の家の冷蔵庫は、中の食材が足りなくなれば自動的に補充される、ものだと幼い頃思ってた。ひとり暮らしはじめ、あれはなんということはない母が買い足しているだけだと気付いた、同時にその母のありがたさに気付いてから間もなく、母は突然亡くなった。私はどちらかと言えば父に似てものぐさな方だから、気づいた時には冷蔵庫が空っぽになっていることが少なくない。今だって、さっぱりしたサラダを朝食に、...

煎餅を噛む守衛を震源地として

ゴールデンウィーク、祖父母の家に親戚が集まり騒いだその帰り、私が運転する自動車が踏み切りを横切った先に少し規模の大きい町工場があって、その入り口に休暇中の工場を守る守衛がいる。守衛になるべくして生まれたような守衛らしい顔でどかと座っている。そして守衛は、そのちいさな守衛室の中で、時々、外に目をやる。外では、守衛のことなどお構いなしに泣いたり笑ったりしている。守衛のことなどお構いなしに。私が、町工場...

銀行で順番待ちをするアリクイについて

僕がソファに座っていると、ネクタイを締めたアリクイが入ってきて、手馴れたしぐさで番号票をとり、僕の右斜め前のソファに座った。僕はそこそこ驚いていたけど、僕以外の人間は何も変わらず、窓口の女の子も、僕の隣に座っている男も、平然と事務をこなしたり、ケータイをいじったりしている。僕は、僕が知らない間にアリクイの人権を認める最高裁判決がでて、それを期にアリクイ達が街に出てきたのだろうかなどと本気で考えた。...

5・7・5・7・7

果てのない空の真下の自由さでただなんとなくうなづいている...

夕暮れ電車に飛び乗れ

先生はもう少し考えさせてくれとどっちつかずの回答をわたしに浴びせて自転車にまたがり、そのまま振り向きもせず曲がり角曲がってすぐに見えなくなりました。先生から長く伸びた影も少し遅れて見えなくなる。仕方なく弾みで落とした鞄を拾って自転車を押しながら、先生の回答どうこうというのではなく、ただ緩い風が額を撫でるその撫で方があまりにも優しいので無性に泣きたくなった。きっと先生は優しすぎるからわたしのことを傷...

飛び立つ鳩が想う平和について

鼓笛隊が陽気に高らかに音が止む。拍手。くぐもった声で毛の少ない男がしゃべりだす。この鉄の檻は間もなく開けられ、私は解放されるのだろう。それが彼ら、毛の少ない男らの望みなのだろう。それがためわたしは飛び立つ、そして遠く高く遠くに浮かぶ雲を、あのポップコーンのような雲を食らう。食らうことで力をつけてさらに高くへ高くへ。果てはない。そこにポップコーンがあり、それを食らうわたしはただ高くへ。地を這うものの...

ハンケチーフは万年雪の底に

これはただの風邪かもだし、だけど母は「あたしもそうだから遺伝的にあんたもよ」となぜか自慢気だし。電車。最初がらがら、座席にどかと座る。終点に近づくにつれ次第に込む。老婆が前に立ったんで、すぐさま席譲る。老婆は微笑んで「ありがとう」と座る。もう満員だし、立ち上がってそのすぐ上にあるつり革を持ち、老婆のほうを向いている。突然、鼻むずむずして、くしゃみがでそうになるが、ここは堪える。あたしのくしゃみの様...

山田和尚のひと時の沈黙

和尚だからといって一人称を、わし、とは言わない。俺和尚。夢破れ、家継いで、早10年過ぎ。俺毎日、村中、法話を話して駆ける。違う俺決してただの和尚には成り下がらん。目の前にある遺影。本日、読経する相手。ずいぶん変わったが、俺はすぐわかった、幼い俺が好きだった相手、給食のおばちゃん。おばちゃんというから当時40ぐらいの歳かというとそうでなく、彼女は、学校のどの先生より若くて、でも俺たちは、給食のおばち...

冬眠ひぐまが想う春について

あと少し。あたしは暖かい土に包まれて眠る。あと少し。あれはなんという気持ちでしょう。胸の奥がほわほわして、ほわんほわんして、やけに眩しい太陽受けて、スズに耳元でふぅて吹きかけられたときのように、こそばゆい。降り積もる雪を押しのけて伸びてくるつくしの丘を、歩く気持ちの良さといったら、何事にも変えがたいし、あたしはそういうほんのちいさなちいさな、気持ちの良いことが大好きで、ササなんてまだ子どもの癖に「...

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