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ハンカチーフは万年雪の底に(前編

ぽっかりと空いた空間に響いていく修学旅行生のシャッター音。きっと何枚も何枚もシャッターを押され続けているに違いない。もちろん、それ自体、どうこういうような問題ではない。花を供える。手を合わせる。普段は何も信じていないのに、自分の都合で手を合わせてみたり、拍子を打ってみたり、忙しない日本人である事を受け入れる。すると日差しが途切れる。届いたのか。木や植物が生い茂っている、日差しが届かないところにきた...

息継ぎをする金魚

前略あなたのお気に入りのゆらゆらとゆれる海ぶどうがちょうど熟れてきました。ひとつつまみプチプチという音を立てて噛み潰します。塩辛くて食べれたもんじゃない。だいぶ慣れましたが水温が高すぎて、鱗もろともを脱いでしまいたい気分です。嫌われ者のツノザメがやってくると、騒がしい海は静まり返る。そういうときに差し込む太陽の光は、とても美しい。憶えてないですか?そういうささいなひとつひとつを忘れてしまいますか?...

飛び出せジョニー気にしないで実ぐるみ全部剥がされちゃいな2

(沖縄編23)係員は誰も彼も琉球衣装に身を包み、記念撮影でもしようものなら率先して手伝ってくれます。改めまして首里城。何の変哲も無さそうで、意外と細部に琉球だね。なんでしょうか。しかしわたしにはここがなぜ世界遺産に指定されているのか分かりません。昨日行きました、今帰仁城跡ならわかります、あの石積みはいかにも価値がありそうだし。それに比べるとここ首里城は、地味というか、おとなしいというか、いたって普...

平成9年/上半期/直木賞

(篠田節子作/女たちのジハード/一行目は)―男は先ほどから康子の手を握り締めている。―「これで輪ができました、あとは康子さんが剛司くんに触れると、ビリって電流が流れます」とでんじろうが嬉々としてしゃべりだす。...

飛び出せジョニー気にしないで実ぐるみ全部剥がされちゃいな1

(沖縄編22)ダニエルのクルーがおるー。ダニエルのカルーがTV撮影でそのクルーが首里城におるー。ダニエルのカリーはインド風カリーでルーのスパイスーがようきいとるー。タレントのダニエル・カールさんが首里城で撮影されてました。ダニエルやダニエルや、と50回ぐらいつぶやいてミーハーなところをアピールした後、何事もなかったような顔して、首里城登る。ダニエルがついてくるー。ちょっと男子こっちこんといて。ダニ...

何かでっかい事してやろうきっとでっかい事してやろう2

(沖縄編21)小高い丘のホテルの一室には、小さなベランダがついていて、見晴らしがいいのでした。遠くに光るあの灯台は、わたしが登った灯台でしょうか。光をまわして舟を誘う。向うの少し固まった光はちゅら海水族館のあたりでしょうか。小さな光が点々と、点々と、どこまでもどこまでも、空はあいにく雲が出てて、でも雲間から月が綺麗にほぼ満月。ほのかに温かい潮風。ふいにほんの少し切なくなります。いや、たまらなく切な...

何かでっかい事してやろうきっとでっかい事してやろう1

(沖縄編20)生活感の漂う昭和薫るホテルへ。だって、ゲームコーナーがあるんですよ、インベーダーゲームとかありそうな年季の入った。フロントのすぐ横に。それはビーチのそば、ちょっと小高い丘の上にありまして、さらにすっごい高いところの部屋でして、しかも、なんか広いやん、うわ、ちょっと得した気分。で、寝転んだあと、ビーチ沿いの小さな繁華街へ、繰り出せ飲めや歌えや踊れやのために。どこに入りましょうかしら、て...

つけて続くフューチャー鳴らす(久しぶりだぜ)

(沖縄編19)選挙カーが動き出している。島中響き渡るマニフェスト。かかっかと笑いながらわたしはフューチャーを鳴らす。確かに、鳴らしたんだ。アクセルを踏み込め。なきじんじょうあと。今帰仁城跡。世界遺産。石を積み上げただけでこの高さへ。いつの時代に誰が作ったのか不明。ただ、城跡だけが残っている。猫が左右に並んでいる入り口。奴らは侵入者を観察しているんだ。眠そうにしているのはカモフラージュなんだ。そうだ...

月見団子を炬燵に上に

毎年そうだけど私は寒がりで炬燵が大好きだから、まだ昼間は暑さが残る秋のはじめに私は炬燵を出す。半ば儀式みたいに決まって同じ頃に。出すといっても狭い押入れの底にある炬燵用布団を出してきて、年中部屋の中央にある炬燵机に、組み込むだけなのだけれど。時間にしてほんの10分ぐらいな、あっという間に出来上がる。そういうわけで、ギンガムチェックが可愛らしい一人用炬燵がそれから約半年い座る。炬燵があると、たいてい...

俺は車にウーハ―を(飛び出せハイウェイ)3

(沖縄編18)ちゅら海水族館に近いエメラルドビーチで砂を蹴り飛ばして走り回る。泳ぐ事は出来ないらしいシーズンオフだ。まだ十分泳げそうだけど、それは大人の事情という奴なんだろう。それでも、足だけ波に撫でられたくなる。だってザザーっザザっーてあきれるぐらい寄せては返しているし。靴を脱いで、おや、パンストはいとるんやん。あかんやん。ええいぬいじゃえー。て、ハーフパンツ風のパンツ履いてたんですけど、それを...

俺は車にウーハ―を(飛び出せハイウェイ)2

(沖縄編17)地底から、ミミズのような長いものがにゅうううとでてきました。無数。そしてやはりゆらゆら揺れます。それは何か会話をしているかのようにも見える。あ、アナゴですか、そうですか。アナゴ君の割に唇がないね。沖縄ではそれがスタンダードなのでしょうか。木の根が海の中へ、そこに潜む魚。植物との共生。イソギンチャクとの共生。教師と生徒の共生。共生。恭平。柴田恭平。「なんだと、空気を吸う魚だとっ、概念を...

俺は車にウーハ―を(飛び出せハイウェイ)1

(沖縄編16)つけても続くフューチャーは鳴らない。沖縄に流れる時間はとてもゆっくりで、それは自動車に乗っていてもやはりそうで、みなが制限速度を厳守して走る。突っ走る沖縄の道、フューチャーなんて要らないのさ、そうさ今を楽しもうぜ。なんくるないさー、て、のんびり。海沿いの道を時速40キロでルンルン進む。空に雲なし、海はきらきら光って綺麗、でも音楽は鳴らない。カーブを曲がりたくなかった。ハンドルから手を...

みっつめは車の免許とってもいいかななんて思っていること

(沖縄編15)階段を使いたくなかった。今日はそんな気分で、うわーって坂道を一気に駆け降りた。身体が斜めに傾いて、バランスを崩したとしても良かった。転げ落ちるように海に飲み込まれてしまっても良かった。すぐに汗をかく。と、海岸に立っている。岩場があって、狭い砂浜があって、波が寄せては返す。水切りをしてみる、上手く跳ねやしない。こうしてこうやれば、ほら跳ねるでしょ、と誰かは言うけど、できる気配すらないし...

ふたつめは今宵の月が僕を誘っていること5

(沖縄編14)鍾乳洞をでると、すっかり夕暮れ、沖縄にもちゃんと夕暮れは訪れた。どこか不釣合いだけどとても重要なこと。茶屋にて、ぶくぶく茶とやらをいただく。沖縄の伝統茶らしい。ほうじ茶のような味で、激しく泡立てられていて、その泡を食べるように飲むとの事。脂っこい沖縄料理を食べたあとにこれを飲むと、とてもすっきりする。めでたい席で淹れられたのだ、と茶屋のおばさんは話していた。茶屋の軒先に坐って夕暮れの...

ふたつめは今宵の月が僕を誘っていること4

(沖縄編13)ミクロレディは、賑やかな鍾乳洞内を、内臓を進む病原菌のようにうねうね進んでいきますと、ひときわ眩しいイルミネーションで飾られた鍾乳石があります。これでもかというぐらい重厚にイルミネートされている。その一帯の鍾乳石がすべて着飾っている。何か期間限定鍾乳洞のイルミネーションなんちゅら、という企画らしいのです。イルミネートされている中心街に、おきなわ玉泉洞と書かれた派手な文字。どうやら、記...

ふたつめは今宵の月が僕を誘っていること3

(沖縄編12)道は非常に細くて足元も暗く濡れている。時々ライトが照らしてくれるけれど、基本的には穴の中ですから、暗い、暑い、じめじめ、と不快。京都の梅雨を思い出す。しかも、上から尖った鍾乳石、落ちてきたら即だんご3兄弟と成りうる。いわゆる阿呆である。低い天井、屈強なガタイのいいラガーマンやったら通路に詰まるで、詰まって流れんようになるでしかし。と、すぐ上にある鍾乳石を見る。折られている。良く見ると...

ふたつめは今宵の月が僕を誘っていること2

(沖縄編11)階段を下る。低い天井、丸い形の通路をひたすら下る。長い。わたしは、とある事情でミクロサイズになり、いわゆるミクロレディであり、どこかの偉い医者に乞われて出向き、人間の内部に入っていく、特別隊なのです。みたいな気分で下る。阿呆である。玉泉洞。日本第二位の長さを誇る鍾乳洞です。沖縄の水、潮水が石を削り、作り出した原始のアート。その人工的に開いた入り口から鍾乳洞の内部へ足を踏み入れる。途端...

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Author:なゆら06
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