FC2ブログ

Entries

ピアノガールと形のない悪魔

彼は悪魔に血を売ったんだ、こないだからもどらないんです。彼は旅に出た。行き先を誰にも言っちゃいけない、そう悪魔に念を押された。だから彼がどこに向かったのか、誰も知らない。もちろん彼女だって。分かっている事は、彼が旅に出る直前に食べたトーストの粉が散らばり、バターが机の上に出しっぱなしになっていたこと。バターは長い間出してあったため、半分ぐらい溶けてしまった。トーストは悪魔があるいは食べたのかもしれ...

Q&A

Q&A『母なる海へと生命はお還りですか?』眠れ坊や、素敵な夢見なよ、あたしは悲しい目してあの人のもと、電車に乗って、枕木の音、で踊る朝までそれは愛です、それは嘘です、それは愛です、それは嘘ですQ&A『真ん丸い地球も宇宙に浮かぶ点ですか?』笑いなさい、そうすればメロディなんか、こうこうこうと湧きでるでしょうと、先生は諭すけれど、あたしは決して信じないそれは愛です、それは嘘です、それは愛です、それは嘘...

僕が旅に出る理由なんて何ひとつない3

(沖縄編31)「どこからきたね?」「あはは、京都ですぅ」「京都かね?、京都は寒いでしょう?」「炬燵出してます」「こっちはクーラーかけてるよ」「いふふふ」「京都はねえ、舞妓さんいるよね」「YESH!」「京都は偉いなあと思うの」「へえ」「というのはね、この前沖縄で京都物産展やってたの、その時来てた人がね、ちゃんと京都の言葉で仕草で京都をアピールするの、おこしやす?なんて。そういう文化、プロフェッショナル...

僕が旅に出る理由なんて何ひとつない2

(沖縄編30)耳が割れるような音が早くもわたしを包み込んだ。思えばそのときすでにわたしは島唄の魔力に犯されてしまっていたのでしょう。店は思っていたよりずっと狭く、だいたいカウンター席をあわせても20人ぐらいの収容。ライブは始まってて、わたしたちが入ってくると、いきなりようこそ、と歌ってた人が声かけてくるアットホームさ。なんか変な違うとこきてもたよ、もっとゆっくり泡盛を楽しみたかったのに、これじゃあ...

5・7・5・7・7

雪解けの曲がり角から吹いてくる春風みたいに名前を呼んだ...

僕が旅に出る理由なんて何ひとつない1

(沖縄編29)夜が来て、那覇にいて、もう明日にはこの島にいないと決まってて、なんとなく、無言になる。ご飯を食べに賑やかな通りへ。賑やか過ぎて涙が出そうになるんだ。いや、もう沖縄旅行終りやから。ということですから、どうしょうもなく寂しいのは仕方ないわけです。その辺は察してください。ほら、むやみにフラッシュたかない。そんな思いはひたかくしてぶらぶら歩いてみます。呼び込みのみなさんが通りにでてわたしたち...

昭和19年/下半期/芥川賞

(清水基吉/雁立/一行目は)―蘆山のふもとをめぐる戦いは初秋から晩秋にかけて終った。―そして、初冬から晩冬にかけて、吉田のたてぶえをめぐる戦いが始った。...

美味しい蟻の見分け方

 アゲハの本名は知らない。 それどころか年齢や、職業や、住んでいるところや、その他もろもろプライヴェートなことに関わる事は何ひとつ知らない。もしかするとアゲハは女かもしれない。いやアゲハという名前だけで考えるとどちらかといえば女っぽいし。でもそれは考えない、というか考えたくない。それだけが譲れないところだし。その辺はこちらの事情をよく考慮して欲しい。 私とアゲハはメールを通して知り合い、メールを通...

5・7・5・7・7

終電に飛び乗れあたしは花嫁と娘の境界に立っており...

Appendix

プロフィール

なゆら06

Author:なゆら06
FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR