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偽造ハチミツ

蜂蜜というのにそれは全く甘くなかったそもそも。だから新製品として小売店は受け入れた、というか味見なんてしないしね。当たり前のこととして蜂蜜としてそれを店頭に並べたわけだ。そこに何の罪もない、第三者だから逆に問いつめても仕方ないし、それは守られなければならない善意の第三者として。だから気づいたのは最初に食べることになる消費者であった。消費者はバターたっぷりぬったトーストにたらし、さてさてあたしがたべ...

sounan

いいか、動けないんじゃない、動かないんだ。俺がこの雪山の中腹あたりでうずくまっているのは、体力の低下やてい体温から動けなくなったわけではなく、動けるけれどあえて動かない大人の余裕をみせているだけだ。そこんとこちゃんと押さえてて、でないとただの迷惑さんに成り下がる。俺はまだ迷惑さんじゃないから。いや、きたのなら連れて帰ってほしい。そんな目をしないで、受け止めて、もっとどん欲に受け止めてほしいし。ほら...

スパイダー/スナイパー

不思議な力を信じますかといわれたので信じますと即答した。と同時に酷く後悔した。スパイダーマンの覆面を被せられたからだここはデパートの屋上で、幼い子どもの遊戯やら無人のポップコーン売り機が並んでいる一角。やれやれと私は腰をおろし、うつらうつらいつの間にか眠りに落ちていたところ、妙な夢を見て、それが良く思い出せないが、とにかく妙な夢で、半信半疑のまま、その声に起こされたのだ。にもかかわらず、即答してし...

俺、水族館生まれ、水族館育ち

ひゆうどすん、と産み落とす、たたきつけられた赤ん坊は脳を揺らされ、それで産声を上げるるどあああ、るどあああ。シャチは二足歩行の体勢から、ようやく座る。そこにはやり遂げたものの満足そうな表情があった。赤ん坊は相変わらず産声をあげたままであるが、早くも目を開けて、この現実を把握しようと努めている。情報処理能力が高い。自分を守ってくれるもの、自分にとって害になるもの、瞬時に判断し、自分が今とるべき行動を...

解放のトラ

放った。交差点にはちょうどそれが昼過ぎで、片田舎で、急速な過疎化の進む土地であったため、悲鳴やら、驚く人はいなかった。かろうじて、交差点沿いにある定食屋のアルバイトが、肝を冷やしたあと、いやこれは現実なんかではないからと自分を納得させ店の奥に引っ込んでいった。虎は吠える。店主に説明した所で決して信じないだろうことが予想できた。アルバイトはうわごとのように虎虎虎とつぶやいた。と、その音を店の有線放送...

縮小する脳

縮小の一途を辿る脳はすでに、ミミズほどの太さ、長さで頭部にぐるぐる渦巻いている。長く細く、生きるためにありとあらゆる手段を探し続けた半世紀、脳だってそのように変化しても不思議でない。脳はうごめいて、頭蓋骨にぶつかる、ふるふるとぶつかり、また新たな渦を織り成す、ために、突き進むのだ。一方で確実に縮小している。体積から言えば、すでに全盛期の3分の1ほどになってしまった。それは、思考能力から言えば、致命...

倍々梅梅

海は凪いでいた。はたはたと朽ち果てかすかに残る看板はゆれる。梅梅は息をひとつ吐いた。もう言葉を発する事もできそうにない。弱々しく唸るようにぬあん、と息を吐いた。その内臓の匂いを含む吐息は昇っていった。待ちくたびれた子どもはすでにパンダに対して興味を失い、砂浜で駆け回っている。どうしてこの場所を選んだのかといえば、梅梅はこう答える。「足の裏を砂が押してくる感覚、それ最高!」梅梅は最高な状態での死を望...

kakurann no oni

ぼくが悪い子だと言うのかいベイべー。と裸の女に聞く鬼。牙が埃でくすんでいて、目玉もどろんとよどんでいておくにある奈落からのぞきこむ気配。女は一瞬、この状況が理解できない。ぽかーん、と口を開け、驚いているような、恐れているような、のほほんとしたような、言いようのない表情をしている。言葉を喋る鬼、その声は紛れもなく低く男のものだったことを思い出して女とっさに、はだけている乳房を手でおおい、奇声を上げる...

ラ・参加します(なゆら)

ラ・やっぱりおもしろそうやないですか。今年も参加します、よろしくお願いします。...

英女子高生が宝くじで13億円

使い道は何にしよう、とつぶやいてみる。そうすると実感が高まってくるんだ。あたしが当てた13億はすでに換金し現金にして内の中にわんさか。札束わんさか。寝ても覚めても札束、転がり込んで札束、そう、あたしは札束の姫様、頭が高いひかえよろう、姫様であるぞ、ほうら札束で頬を打ってやろう、こそばゆいようにゆっくりと打ってやろう。さやさや、なっている。札束を放る、放物線を描いて札束であることに変わりはなく、落ち...

バナナ難民

バナナを求めて西へ東へ、俺たちゃバナナ難民でい。バナナのあるとこ、俺たちがいる。俺たちといったが、実際には俺と、俺のナップサックについているキーホルダーの蛙と、同じくキーホルダーの熊、の1人と2つだが、俺たちであることに誇りを持っているわけであるし、その辺はしっかり考えているわけだからまあ大目に見てもらいたい。バナナ難民とはまた大きく出たものだ、と宮根は言うであろう。確かにバナナごときで騒ぎ立てる...

宮城の無人島 ラッコ住みつく

ラッコは歯を磨く。当たり前の事だ、常識の事だ。食べ物を食べたら、歯を磨く何でこんなに当たり前のことをして、気味悪がられるのだろう、そうラッコは憤慨した。郵便配達員は何度かその光景を目にしているため、もうそれほど驚かない。話し掛けさえする。まだラッコから返事はないが、きっとこのラッコならいつか返事するにちがいないと思っている。郵便配達員は孤独であった、無人島にひとり、自ら落ち葉に書いたはがきをラッコ...

昭和45年/上半期/直木賞

(渡辺淳一作/光と影/一行目は)―船は玄界灘にかかったらしく、揺れが激しくなった。―馬場だ!ジャイアント馬場が復活したぞ!と竹下は甲板に出て行った。...

昭和11年/下半期/芥川賞

(石川淳作/普賢/一行目は)―盤上に散った水滴が変り玉のようにきらきらするのを手に取り上げて見ればつい消えうせてしまうごとく、かりに物語にでも書くとして垂井茂市を見直す段になるとこれはもう異様の人物にあらず、どうしてこんなものにこころ惹かれたのかとだまされたような気がするのは、元来物語の世界の風は娑婆の嵐とはまた格別なもので、地を払って七天の高きに舞い上がるいきおいに紛紛たる浮世の塵人情の滓など吹...

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