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天海さんの涙にドキッとした

天海さんは私よりも5つぐらい年上の女性で、私たちは時々、年に1、2回ぐらいは一緒に飲むことにしている。天海さんがどんな仕事をしていて、家族構成がどうなのか、夫や子どもがいるのかなどは全く知らない。見た感じはいなさそうだけど、天海さんだってもう30代後半だし、いてもおかしくない。私たちはお互い全くと言っていいほど知らないし、また知ろうともしない。干渉しないのが暗黙の了解だった。私たちの話題といえば、...

最高齢のホッキョクグマ死す

北斗の戦士がひとり、消えた。それは、南斗の側にとって朗報であるはずだが、なぜか静けさを保ったまま街は朝になろうとしていた。死因は餅の食い過ぎであった。食い過ぎて喉に詰まらせてしまったのだ。ホッキョクグマは餅のうまさを生前、以下のように語っている。「まるで太陽さ、あのほのかにぬくもりを持った耳たぶのような食感のものがあるなんて、俺はこれを好物として主張し続けている」以来、ホッキョクグマたちは、戦士の...

しそINペプシ

今回はしそであります!と男のテンションうなぎ上り。しそをすりつぶして炭酸水に混ぜ込んだら意外とうまいじゃないか、となったわけで、あらら、と言いながら、ながらも確かにしそはうまいわけです。まずしその青臭さが鼻に昇ってきてむん、と吐き気を催すのだけれど、それはしその香りに慣れていない人がそうなわけで、がんとがんと脳天に突き刺さる感じ。しそベイベ、しそベイベはつん、青臭いしその香りが突き刺さったそのあと...

バラバラにされた金塊

バラバラになっていたのに、その輝きはまだまだ王様。私はうっとりとしてそれを見る。すると、金塊はにょっきと手を伸ばし、私の頬をなでてきた。その優しい手の感触はそよ風のよう、眠ってしまいそうな気持ちの良さ。バラバラになってはじめて手に入れた優しさなのね、と私は思った。自分の体を失ったはじめてわかることがある。私は金塊から目をそらし、窓の外並んでいるビルディングを見た。どんどんと伸びている。当分の間は止...

隣室の音、我慢できなかった

聞いているんだろうくそ野郎が、と聞こえた。耳をすましていたわけではない、寝転がってうとうとしているとふいに隣室から音が聞こえてきて、最初は気にならなかったが、それがずっと続いているのでさすがに腹が立ってきて、そういえば次第に大きくなってるような気もするし、少し注意していれば内容もわかるぐらいの大きさだったから聞いていたのだ。すると突然である。まず心臓がどくんと波打つ、僕はもともと度胸の或る人間では...

精鋭の革命防衛隊投入

より選りのものたちだ。間違いない。まず風貌からしてひと味違う。俺は、あるいはあたしは修羅場乗り越えてここにいるんだから、という気概が感じられる、その表情、その匂い、その目、様々なところから感じられる。そして何より、サランラップを腹に巻いている。一人残らず巻いている。防御力からいえば、何のプラスにもならないほどの薄さで、おそらく銃で撃たれれば致命傷になりかねないがしかし、革命防衛隊はひとりのこらず腹...

宇宙港

時々思うんだ、この地球が終わりを向かえる日が例えば明日来るとしたら、私は一体何をして誰と一緒に今日を過ごすのか。漠然とした、あり得ない話だけれど。いや、何百年後は必ずそういうことが起こると科学者は予想している。それはほとんど確実にそうなのだろう、が今、明日突然にして終わりを向かえるということはない。おそらくゆっくり私がともに破滅の道をあゆむということではなく、まず人類がとうの昔に絶滅してから地球は...

サ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト

この皺を見よ!歴史が刻んだロックの皺を。こんなに鮮明に深い皺、たるんだあごや腕や腹、薄くなりかけている髪、を記録していいのカシラと思う。ロックンロールとはほど遠い、肉体の衰えを存分に残して、なおそれでも、転がり続ける石、皺を隠すように軽快に踊るミックジャガーをはじめ、熟練の間と積み重ねた技術で、組み立てるこのライブは、何度見ても、新鮮で、抜群にかっこいい。見所はたくさんありまして、ドラマーのふう、...

爆弾女ブログ

確かに爆弾ダあ、こいつは爆弾ダア、とカラスは鳴く。ダア、ダア、ダア。ブログを書いてダアダアダアと鳴く。女が木に登ってくる、登って街を見下ろす、と煙が立ち上っていて、無数の煙が立ち上っていて、とてもきれいだ。カラスはまだ鳴いている。鳴き続けている、家族が帰ってくる、家族は夕食を食べる、マクドナルドで買ってきたマックシェイクをずうずうとすう。すると、喉に詰まってしまうが気にしない、上の兄は息が詰まって...

骨太09

あれが噂の男らしい。行き交う人々が男のほうをちらりちらりさっきから。別に変わったことはない、どこにでもいそうな男、歳の頃は25、6の今が楽しければ何でもいい的な発想から少し成長して、将来俺何ができるんだろう地球にとって、とか勘違いしがちな年頃。男は微動だにせずに街のクレープ屋さんの側に立っている。立って誰かを待っているのか、何かを観察でもしているのか、よくわからないけれど、人々が男のことに気づいて...

buthuzou

私には聞こえる、さっきの仏像が私の方を見て、待ってて、とささやいた。さっきだけでない。私は、仏像に近づくと必ず何か聞こえる。内容はその時その時でいろいろ違っていて、さっきのように呼びかけるものとか、意味の分からないものとか、きのうのテレビ番組のこと、私が学校でトモダチと話す内容に近い。きわめて。仏像界にも学校があって、私と同じようなことを話していて、私にはそれが聞こえるだけ。仏像の声が聞こえるなん...

雌のトキに特別住民票を交付

私は喜んでいる、心から正真正銘喜んでいる。しかし喜んでいない人も世の中には存在する。その存在をぞんざいに扱ったことが諸悪の根源だ。私はそう思う。そもそもトキに住民票は必要ない。トキ全くうれしくない。なんなら、勝手に住民にされて迷惑なぐらいだ。確かに手厚く保護されているし、天敵から注意深く守られているだってトキ、貴重な鳥、いったん絶滅して復活した伝説の鳥、勘違いしてもおかしくないほど、気を使ってくれ...

黒部和牛が逃走

本当に必要としてくれる人のもとに向かうのだ、頭の中に届いた声はそうつぶやいた。こういう声は時々届く。前回は半年ほど舞え、食事をするとよくない、とつぶやき、それに従って食事を抜いたら、たまたま毒が盛られていて、周りの牛は次々に死んでいった。生き残った僕は奇跡と言われた。そのため高い値が付き、宇都宮の都会に送られてきたのだ。あとは解体され、人間の井の中に収まるにすぎない、と思っていた。死ぬのは仕方がな...

鳩の乱、鎮圧

公園の鳩が一斉に鳴きやむ、と同時に一カ所に集まり行進をはじめる。一定のリズムで足や手はきっちり伸ばして、規則正しく。これが鳩かと思えるほど、それはまるで訓練された軍隊のように一糸乱れぬ行進だった。鳩たちがどこにむかっているのか、人々は固唾をのんで見守った。その行進の長さは10キロにものぼり、首都圏の交通網を分断させるに至った。いくら警察によって鳩を誘導しようとも、暴力で無理矢理軌道を換えようとも、...

200万本のユリ

百合子は15歳、京都市内の中学校に通っている。ちょっとおっちょこちょいだとかお兄さんは言うけれど、案外しっかり者よと本人は思っている。好きな食べ物はミルフィーユ、ほわっほわのでもサクサクしてる近所の洋菓子店で一押しのイチゴのミルフィーユ。これさえあれば百合子、向こう10年は生きていけるわ、とトモダチには豪語したものの、実際その状況になったなら、3日が限界だろうと気づいている。なんというかキャラクタ...

夏定番の飲み物、若者ほど「麦茶」より「ソーダ」

麦茶をぐいっと飲み込む、量など考えずにきいんと喉が痛くなる急激に痛くなる、でもかまわない、麦茶のさらさら感を存分に味わうのだよ、香ばしい香りは鼻へ抜ける、ふんわと抜け、その一瞬の刹那が私は好きなのだ、たまらなく好きなのだ好きで好きで仕方ないのだよ。そもそも夏と言えば麦茶、それはだいたい江戸の頃から変わらない庶民の味なのだよ。麦茶であれば、たいていのご飯ものと合うのだよ。なぜなら麦、この天然風味が独...

議員のかつらをはぎ取った男in台湾

勢い、その乗りはやはり台湾、俺思わず小躍りに続くそいつのあとに、分からず屋ばかりで、困窮状態、それ非常に困る、俺だけでなく国民全体、全ての利益のために勢い付けて駆け出した。あぜんと鳴るその場を取り残して夏だった。次の瞬間には気づいた護衛のあわてっぶりったらないぜ。かまわず加速したよ、目的はわかっている、ああ夢にまで見たよこの瞬間を今こそ別れのときだいざさらば、はぎ取って掲げた、歓声は鳴らない、待っ...

オタマジャクシが降る

降ってきたように見えるが実際は、泳いでいる。彼または彼女らは、いや、雌雄同体、奴らは、空気中をくすくすと体をくねらせて泳いでいる。急転回して、好みの人間の頭の上に向かっていく。奴らが泳げる範囲は限られていて、ほんのすこし軌道を帰ることができる程度だけど。とにかく泳いで降りてきた、ちょうど、熱狂の渦と化すスタジアムの客席に。そこは先ほど、見事なゴールを決めてパフォーマンスを繰り返す選手に酔っていると...

女子100で福島が11秒24の日本新

それは鷹だった。鷹がネズミ等の小動物に襲いかかるあの勢いを、客席のいうても選手の身内団体の誰もが感じた。ひゅーんんと鳴っていた風を切る音か、彼女自身の口から漏れた空気の音かもしれないし、客席の誰かがはやし立てる口笛を吹いているのかもしれないし、天が割れていく音かもしれなかった。予想できないことがおこるとき、天は割れてしまうだろう、と予想していたそれが現実と鳴る時が来た、と高橋は感じた。高橋は競技場...

コンクリートの塊から1万円札300枚

一枚、一枚、また一枚と掘り出していく。歓声はやがて悲鳴にかわる。なぜなら、301枚になってしまうと没収されてしまう。法律でそう決められている。なんの躊躇もなく301枚以上の一万円札は、国のものである、と役人がやってきて、というかもう呼んでてきてるんだけど、そうしないと怒られるから、すっごい怒られるから仕方ない、誰も呼びたくなかったけれど、まさか301枚に達すると思ってないし、役人も、もうええって、...

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