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色白のタイヤキ

殿方の目を気にして、タイヤキはこんがりと焼けるのを嫌がる。透き通るような白さのまま食べられたいの。こんがりと焼けたあの香ばしさ、小悪魔的な濃い欲望の黒さをとるか、逆に透明感のあるはかない白さをとるか、殿方は悩む。たしかにその透明感は安心して食べることができる。何か安らぎをそこに求めていいような気になる。しっとりとした生地の弾力、ちゅるっとのびた生地を吸い込む瞬間、しろ餡のふくよかな甘みだ、ほくほく...

大韓機が成田着陸時に尻もち

さーさみなさんご一緒によいしょ!のかけ声とともに成田空港に尻をつけた。頬を赤らめて、精一杯その体を支えている車輪、まだ頼りないけれど、今にたくましくたくましくなるのだろう。ここ成田では尻もちからはじまる。どんな飛行機も尻もちをついてその怖さを知り、うまく着陸する方法をつかむ。記念すべき、その瞬間を見ようと、多くの人が詰めかけていた。地元から応援団。近所の尻もち愛好家。たしかに飛行機が頬を赤らめる場...

クジラ、海水浴場で動けず

動けなかったのではなくて、動きたくなかったんだ。そう思う。少なくともあたしはそちらの可能性を信じるね。天海さんは相変わらずあまのじゃくだ、絶対に何事もまずは否定する、そして、誰も考えないところに飛び降りると自分を曲げることなくがんとして主張を続ける。途中であきらかに天海さんが間違っていると言う場合もあるのだが、それも含めてあたしの責任と言わんばかり、絶対に変えない。それは見事と言える。クジラが海水...

アデランス新経営陣

猫であった。メガネがずり落ちるので、それ肉球によって、整えるその仕草はジェントルメンであった。猫は一点を見つめず、せわしなく顔の位置を動かし動かし、見ているこちらがイライラしてくるほどだった。猫が会社を牛耳っていた。この国では実力さえあればどこまでも高い位置にいけると信じられてきた。歴史など屁ほどにも考えていなかっただろう。すぐに業務の見直しが行われた。それは今までにな厳しいものであった。...

囚人たちのダンス

「囚人たちは時々ダンスを披露する。本当に時々。だからもしも囚人たちのダンスを見ることができたら、あなたはとても幸運なのです」天海さんは言う。つぶやくように、誰にも聞こえないように。私は耳を澄まして天海さんの声を拾う。天海さんは何も見えていないのだ。今、時々集中して何かしようとするときこうなる。それは結果的に良いものだったが。「囚人たちはどんなときにダンスを披露するか、それはよくわかっていない。命令...

ムーンライト九州、事前発表もなく姿消す

彼のことは実はよくわかっていない。あの事件はもう30年前のことであるし、それを知るもののほとんどは順番に、年を重ねて土に還ってしまった。彼はプロレスラーであり、その傍ら慈善事業を行い、恵まれない子どもたちに寄付をしていたとわかったのが20年前、あるメモ書きからわかった。それも一人の研究者の小さな部屋で、研究者は有名な人でなかったし、メディアはムーンライト九州の真実などに微塵も興味を示さなかった。ひ...

星空の守り人

まあなんつうても温暖化?とか公害?とか都会の方ではネオンやら、コンビニエンスストアやら、光にあふれてるよね。なんやいうたら、東京のある所なんて不夜城なんていわれてて、夜中もずっと明るいんやから、いや、知らんよ、俺、そんなところいったことないし、でもテレビとか、ネットとか情報媒体からだだ漏れで漏れてくる情報が、俺に訴えかけてくるわけ。そんな情報に触れてたら、なんとなくね、こう体が動いちゃうわけ。かく...

顔なし写真

顔がない、のではなく、うっすらとぼやけてる感じ?尻上がりの調子、顔なんか腹が立つ。天海さんはそういってある写真を鞄から取り出す。煙か霧がかかっているみたいに白くふわふわとその顔付近が覆われていて、でも別にそのとき霧がかかっていたわけでもなく、たき火をしててその光景を撮ったから煙が立ってたわけでもないの、本当に何かがその顔にまとわりついてる感じ?尻上がりの調子、顔、腹が立つ。天海さんが取り出した写真...

雨のおかげで

雨のおかげで私たちは出会った、と言っても過言ではない。私はようやく提出できたレポートを研究室に届けることで頭がいっぱいで、周りが見えていなかった。期限は昼の1時、その時12時50分、なんとか完成させた。しかしそれを研究室に届けないと意味がない。あの教授は頭が固いことで有名。昔気質の研究者。時間には人一倍うるさい。授業に遅れてきた学生は教室にさえ入らせない、遅れてくるということ自体やる気がない。と言...

レンタルお姉さん

ええ、ええ私です、私がそのレンタルでやってきましたお姉さんです。ええ、そうです、お望み通り、お望み通り大方のお望みはかなえてあげましょう。お姉さんが、なんでも手取り足取り、かなえて教えて差し上げましょう。何がお望みでしょう、漠然としてしてわかりにくいですか、なるへそ、確かに漠然としていますね、お望みと言ったって、ピンキリ、そのサービスによっていかようにもなりますからね、そう、わかりにくい、もっとわ...

トビウオジャパン

天海さんはトビウオの刺身をはしでつまんで、空にとめたまま話し出した。トビウオが時々ゆらゆらと揺れて、生きているように、見えなくもなかった。肉体だけになって浮かんでいるなんてロマンチックじゃないか。天海さんはそのとき、速読術の方法について語っていた。いかに早く読むか、早く理解するか、早くアウトプットするか、どうすれば世界の本を読むことができるか、それは不可能と言ってもよさそうだった。天海さんが語って...

ウクレレのはなし

キャンドルがゆらゆらとゆれた。エアコンは消されている、なぜなら電気を使わないように、キャンドルを灯して夜を迎えるという日なのだから。Tシャツが汗で濡れてくる。私はそのちいさな室内の後ろ壁にもたれかかって、ウクレレを持った女の子が店の入り口から入ってくるのを待っていた。時間よりも遅れていたけれど、それは弦の調整がうまくいかないで、焦っている女の子の姿がちらちらと見えていたけれど、20人ぐらいいたお客...

ハピネス!/曽我部恵一BAND

どこかにありそうで、でも何処を探してもなかったロックンロールアルバム、キラキラ!に続いては、とことん突き詰めていった10曲。けずってけずって、芯の部分だけを残したというよりもむき出しにしたそれぞれの曲の表情は、どこか丸みがある。ロックンロールなのに、丸みがあるというのは、良いのか悪いのか、もちろん、良いのだけれど、とても説明しづらい。説明しようと試みて、うんうんとアルバムをがんがんかけながら考えて...

寝姿撮りたかった

変な意味ではないのだけれど、言うのもはばかられるし、思ってるだけでとりあえずは何もしないでいた。純粋に、美しい寝姿を記録したかったわけで、彼女は、女神みたいに光り輝いて見えたのだ。低く、唸っているような鈍い光りが、彼女の背中の方からにじみ出ていて、周りにある全てのものを染めていく。染まってしまえばもう、それは単独で存在するものではなく、彼女の背景として、彼女を存在させるためにある補助的な存在として...

すし

内訳から説明しよう。500円だからといって舐めてはいけない。堂々たるすしなのだから、まず最初に目を引くのはいくらである。あのあかあかとしたぷちぷちかんたっぷりのいくらが大粒で黒い糊で巻かれたシャリの上に乗っている、いや、のっているというよりも、いくらでまみれている。いくらまみれの糊とシャリと言う感じだ。出る所で食べれば一貫で1000円はするはずである。北海道の実力。そして、かにである。軽くあぶって...

いったい誰が何のために

燃やすことがいきがいなんだ、と稔は語っていた。僕のたったひとつだけのいきがい。少々不気味だったけれど私は尋ねてみる。何を燃やすの?稔は鼻をこすって、それから目をこすって、しばらく何も言わない。ブランコは小さく前後に揺れている。あれはきっと一番星だと思う星が京都タワーの向こうにある。私はその星をじっと見ていた。稔はやがて噛んでいたガムを包み紙に吐き出す。ずいぶん長い間噛んでいてもう味もなにもないただ...

宮崎あおいの前世はフラミンゴ

でなに?フラミンゴだったら宮崎あおいがえらいわけ?と天海さんは突っかかる。いや私は話題としてちょっと耳に入った芸能ニュースのことをしゃべってみただけなのに、今日の天海さんはやけに突っかかる。さっきも、次はいつ飲みましょうか?と聞いたら、でなに?それはつまりもう切り上げてしまいたいほど退屈しているということなの?と突っかかってきた。なんというからしくない。天海さんはもっとどっしりと構えていて、体格は...

ライオンはシマウマに何か感じるか

シマウマを食うライオンは、まさに食う最中にシマウマに対して何か感じているのか。研究が進み、正確に分かってきている。たとえば、シマウマの味について、こいつはやや臭みがある、だの、こいつ油っぽいな、といった味についてなかなか的確に感想を持っていて、それを食う最中に考えている。また、シマウマの形や、色、捕らえたときの過程を順々に思い浮かべる。そうすると自分がとても偉大なライオンのように感じたから。シマウ...

迷いクジラ外洋へ姿消す

悲しい目をしている。クジラは悲しい目をしていて、浅いとこを泳いでいる。私が最初に見たのは、クジラの尻尾で、それはゆうらりと動いていて、でもあきらからに苦しそうだった。悲しい目をしたクジラは尻尾をゆうらりと揺らし、ようやくやってきた大きな波に乗って、外洋に消えていった。もしかすると、ただ寂しかっただけかもしれない。あるいはやんちゃ坊主のちょっとした冒険なのかもしれない。私はクジラの言葉がわからないか...

空から魚、逃がすものかとクマ

オタマジャクシだけではなかったのだ。泳いで下りてくるのは魚、それも大きめの、一目で魚だと分かるほどの大きめの、食べ出があるわあとおばあちゃんはうれしそうな表情を見せる魚泳いで落下する。軌道修正から直撃を裂けようとするがあえなく直撃、町は騒然となっている。魚が次から次へと。つづいて、クマが次から次へと降ってくる。魚を追いかけて川から空へ登ったのだろうと思うよ俺は。クマは着地をきれいに決めて、すたっと...

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なゆら06

Author:なゆら06
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