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家出娘、カリブ海へ

潮の流れに乗る。流れを掴んだ家出娘は拳をその太陽へ突き上げた。ヨットはぐんぐんと進んでいく。ギシギシと音を立ててそのスピードに身を任せる。家出娘はひとつ息を吐き、ヨットの内部へ。3日ぶりの食事をとることにする。潮に乗ったからといってまだ安心はできない。まだいくつもの難関が待ち受けている、食べることができるうちに食べておかないと。彼女は干しておいた塩漬けの肉をひとくち齧り、水を飲む。ぎゅるぎゅると喉...

089:テスト

吾に触れる手の絵を君に渡されたテスト用紙に描いた放課後...

達郎だ!達郎が100位内に上がってきやがった!?

ずんと低く響く。みぞおちに入った達郎の拳、男はうぐとうめき声を上げて、胃液を吐き出し、目を見開いて失神する。意識を失い、達郎はそのまま拳で男を持ち上げ、医務室に運ぶ。レフリーが宣言するまでもなく達郎の勝利であった。医務室から戻ってきた達郎は別段喜びもせず、しかしそそくさと控え室に引っ込むことなく、そのインタビューに答えた。この季節になると血が沸き立つ。誰に促されるわけでもなく、俺に流れているこの熱...

平成7年/下半期/直木賞

(藤原伊織作/テロリストのパラソル/一行目は)―十月のその土曜日、長く続いた雨があがった。―キノコまみれの武雄は街へ繰り出した。...

飯島愛のブログは生きている

ケンシロウ「お前はもう死んでいる、がブログはまだ生きている、だから安心して地獄に堕ちるがいい」雑魚キャラ「そう?そうなの?じゃあ、最後に記事更新して・・・あれ、手がうごかないよ、手がうごかないよ」ケンシロウ「まず、手に来る」雑魚キャラ「ああ、ちょっと戻った、打てる!まだ打てるよ」ケンシロウ「波があって、行ったり来たりしながら朽ち果てる」雑魚キャラ「よし、じゃあ、最後の記事は、タイトル「ひ・で・ぶ!...

悲しみなんて吹き飛ばせ

悲しみなんて吹き飛ばすほどぼくは駆けていくジャガイモはほくほくしてて肉汁がじわりとしみ出てきてソースが甘酸っぱくてよくあうコロッケを手にぼくは駆けていく...

昭和38年/下半期/芥川賞

(田辺聖子作/感傷旅行センチメンタル/ジャーニィ/一行目は)―それまでに彼女はずいぶん、数々の恋愛(もしくは男)を経てきており、ぼくらのなかまではマトモに扱うものもないくらいだった。―呼び名はサムソンだった。...

088:編

全編にわたりあの娘は色白の細い右手を麦わらに添え...

087:気分(なゆら)

飛び魚の気分で君は跳ね上がり真夏の空に溶ろけてしまう...

昭和58年/下半期/直木賞

(高橋治作/秘伝/一行目は)―長崎県西彼杵半島の西海岸では、山の斜面が急な崖になって海に下っている。―そこを一気に駆け下りる男は止まれなくなり、奇声を発した。...

平成18年/上半期/芥川賞

(伊藤たかみ作/八月の路上に捨てる/一行目は)―黙々と仕事を続ける水城さんに見入っていた。―水城さんの首のほくろから伸びた毛は、母を探しているかのようにうごめいている。...

タヌキの森

古代人間とタヌキはともに支えあう存在だった。人間がタヌキのために餌を用意し、タヌキは人間のためにタヌキ汁を用意した。タヌキ汁と言うのはタヌキをじっくりと煮込んで作る郷土料理であり、独特のコクがグルメにはたまらない、との評を得ている。タヌキはタヌキ汁になるために人間に近づき餌をもらい丸まると太る。人間はタヌキ汁を食うために餌、主に本まぐろ(時価)、を与える。両者の需要と供給が一致し、上手くバランスが...

じゅん&bird、ふたりはなかよし

「ねえ、じゅんじゅん」「なに?バドバド」「もうすぐ生まれるね赤ちゃん」「もうそんなになるかい?はやいものだねえ」「もうこんなにお腹大きくなってるし、右足でかかってるし」「ウップス!そりゃ大変だ、急いで吉野家に行かなくちゃ」「ねえ、じゅんじゅんどうして吉野家に行くの?赤ちゃんでかかってるのに」「あはは、バドバドたら、バカだなあ吉野家に行けば牛丼があるだろ」「あるねえ」「自分、牛丼命っす」「じゅんじゅ...

086:符(なゆら)

エヴァンスのワルツ静かに鳴り出して犬は吠えるし音符は踊る...

平成6年/上半期/芥川賞

(室井光広作/おどるでく/一行目は)―仮名書露文「POCNR3N HNKKN」と表紙に小さく飾り文字ふうにペン書きされた大学ノート七冊を見つけたのは去年の六月の終わり、藁葺き屋根の補修作業の手伝いのために帰省していた生家二階の隅でだった。―燃えた、ノートはぐんぐん燃え、またたくまに藁葺きに移った。...

切れるスッチー

前からやってくる、ぐんぐん近づいてくるそれから飛び蹴りを炸裂させる太ももの辺にがつんとあてるすると悲鳴が聞こえるあああ、といううめき声に近い悲鳴それを聞きながらスッチーはほくそ笑む世界の終わりみたいに暗いスッチーはほくそ笑む...

宇宙戦艦ヤマト復活篇

多くの人々の声を受け、ついに復活したヤマト。ヤマトが会場に入ると割れんばかりの拍手が起こった。それは爆発と言えるほど大音量で会場を揺らした。ヤマトはそれに会釈して、彼なりに控えめに応えた。その以前と何も変わらない素直さにさらなる拍手。式典がいろいろあり、偉い人の話だとか、祝電の披露だとか、幼児による太鼓演奏なんかも飛び出して華やかに式はすぎていった。いよいよ、ヤマトが宇宙に飛び出す段になって、会場...

妻にワクチン

いいか、誰にも言うんじゃないよ、言わなければなんとかなる。誰も傷つかずに妻は助かる。妻は、普段から私は家庭を顧みず、この病院での職務を全うしていた。妻には苦労をかけた。私たち夫婦に子供がいないのは、作る暇等なかったから。私が家に帰るときには、私はくたくたで、何をする気にもなれずにただウイスキーをあおって眠るだけ。私が稼いだ金で建てた家は非常に大きく立派で誰もがうらやむほどの豪華な作りであるが、そん...

085:クリスマス

「雨は夜更け過ぎに雪へは変わりません」ある予報士のクリスマスイヴ...

昭和40年/下半期/直木賞

(千葉治平作/虜愁記/一行目は)―今日が何日であるか、私には判らない。―だって、ホタテ貝の中だから...

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なゆら06

Author:なゆら06
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