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「県職員 勤務中の喫煙2本まで」

すでに一本はすってしまったのだ。それは毎日の習慣のようなもので、昼食後の、珈琲を飲んだ後、喉が煙を欲するわけだその瞬間、俺はポッケの中の箱を無意識のうちに取り出し、気付いたら火をつけていた。火をつけてしまえばそれはもうすってしまうしかなくなるわけで、仕方なく、俺はゆっくりゆっくりそれを吸い込んでは吐き吸い込んでは吐き。どんな短く感じただろう。時間というものはこんなにも短いものなのか。なんと不便なも...

0円で日本一周の女子大生です

みんなの元気をわけてもらって日本一周することができた。感謝してる。でもそれとこれとは別の問題だから勘違いしないでほしい。私は日本一周をやり遂げたプライドを持っていて、それは相当な苦労した。地位や名誉、お金が欲しいわけではない。私はちょっと変わったことがしたくて、人と同じことはしたくない、その手っ取り早い手段が日本一周だっただけです。お金はある程度あるし、バイトだってしてたし、仕送りも月にして10万...

田中宏和

口を開けた。そこに虫が飛び込んでくる。カナブンだったと思うが、すでにのどの奥、粘膜の柔らかい部分に張り付いていて鋭い痛みを感じる。カナブンらしき異物は田中の中でうごめいて、奥へ進みだす。目指すは田中の核の部分、たどり着けばカナブンは田中を自由自在に操れる。すでに8名の田中を仲間のカナブンが操っていた。操るカナブンは田中に大嫌いなピーマンの肉詰めを食べさせたり、シャワーを浴びている最中にB'zを熱唱さ...

葉子

葉子、お前はただ俺の涙をぬぐうための存在杳子、お前はただ俺の卵焼きを作るだけの存在洋子、お前はただ俺の衣服を洗うだけの存在陽子、お前はただ洋子の手伝いをするだけの存在蓉子、お前はただこの世界に平和をもたらすだけの存在曜子、お前はただ弱者に微笑むだけの存在珧子、お前はただ微笑むだけでなく年間5億寄付する存在颺子、お前はただ靴ひもの先のプラスチックを取り付けるだけの仕事揚子、お前は春風とと...

大銀杏再生

大変な労力が注がれた。関わった専門家は数万人を数えた。それぞれがあらゆる手をつくしてきた。幹に注射を刺しそこに薬を注入するもの、人口太陽を作って燦々とてらすもの、地下から攻めていくもの、銀杏の仲間を増やしてスクラムを組ませるもの、斧でたたききろうとするもの、どれもあまり効果がでないどころか逆に傷めてしまうことも多々あった。斧の彼なんて雄叫びをあげながら幹を斧で叩き、もう折れてしまう直前までいって、...

1187字の愛

ジュテーム。そのままで、動かずに、ぼくの目を見るんだ。じっと。何も考えなくていいただ、ぼくの目を見ることに集中して。しだいにぼくの身体がはっきりと見えてくる。暗がりはやがて夜明けとともに差し込む光によってぼくは照らされて、君も照らされて、ふたり照らされて、ぼくの身体のラインはとても綺麗なことに気づくだろう。君の身体のラインはどうだい、いや、応えなくていい。光りに照らされたことがすべてだ言葉は、ただ...

宮本百合子 1951年1月11日 その3(日本死人名辞典)

目覚めたとき百合子は、いつものように見えた、病と免疫系の争いの様子が違っていた。それまでにも免疫系が劣勢になる場面は多々あり、それは暗い未来を予想させたが、今まさに暗い現在だった。免疫系の鎧はぼろぼろになり、所々割れている。その割れ目に向かって河童はつばを吐きかけてくる。河童のつばは塩酸並みに触れるものを融かしていく。じゅわわじゅわわと融けだす鎧を脱いで河童にその鋭いくちばしでつつかれるものも出て...

B.A.D. (Bigger And Deffer)/真心ブラザーズ

あんまり聞いたことなかったんですよ。絶対よいとは思ってましたけど、あえて踏み込むことはしなかったわけで。訳も聞かないで、ということで、はい、聞いてみました。いいですねえ。ぶっきらぼうな歌い方。いやいや男前。安易ともとれるコーラスもいいですよ、チェキラチョ、とかいうてますから。サマーヌード。フォークを正当に継承する人々、という気がします。フォークってカッコいいんだよ、古くないし、ロックよりももっとロ...

宮本百合子 1951年1月11日 その2(日本死人名辞典)

「ありがとう」他に何を言っていいのかよくわからなかった。思いつかなかった。身体の底からでた言葉だった。別に伝わらなくてもかまわなかった。百合子はただ、感謝の気持ちをあらわさないと気が済まない性格だった。「別にかまわんよ」鎧を身にまとった免疫系は応える。ビビる百合子。通じるんや、と戦く。面と向かってありがとう、なんて自分の免疫に対していう人なんて、きっとまれだろうし、変な奴だと思われたら嫌だなと感じ...

ベッカムの諸行無常

ベッカムの諸行は無常行き交う水も所詮フリーキック生きたボールでドリブル突破待ち構えるのは鉄壁のディフェンダーアイアンクローを左手につけて鎧兜で全身を覆って紫色の妖気を放ってこちらをじっとにらんでいるベッカムも一瞬躊躇してドリブルの速度は落ちる瞬く間に別のディフェンダーに追いつかれボールを奪われてしまうアイアンクローはぴくりともせずやはりこちらをにらんでいるよたぶん鎧兜は重すぎて動けないんだと思う...

147mのぞうきんがけ

小僧は途方に暮れた。廊下はまだ終わらない、どころか、末は遠く彼方にかすんでいる。ぞうきんをかけて、ただ進んでいたがいい加減飽きていた、ただぞうきんの一筋を磨けていくだけで、その一筋だけで掃除は終わりではないし、まだ山ほど残っているうちの一筋だから、ないものとほとんど同じであった。小僧は額の汗をぞうきんでぬぐい、ウップス、とあわててぞうきんを払う。とんだうっかりさんを演じているが、実にしたたかに坊主...

アンサー

僕はまだ生きている。ただし、ダメージを、ひどく胸の痛む類のダメージを受けたまま倒れ込む、寸でのところで。それは私にとって、まだ、とりとめのない空想の中の話ではなく、まぎれもない現実として。浜辺で寝そべる女の子と、それを見下ろすかもめの群と、どちらが僕にとっての第3者なんだろう?簡単に言うなお前のせいじゃない。さて、進む、ことにする。帰りの電車で、こちらをうかがう子がいる。とりあえず、二十歳過ぎの薄...

宮本百合子 1951年1月11日 その1(日本死人名辞典)

百合子は病と闘ううちに、その決闘する模様が見えるようになった。病は河童のような緑色の生き物で、くえくえ、と鳴いて百合子の身体に近づいてくる。身体はねっとりと濡れており、歩くたびにねちゃねちゃと音がする。鋭いくちばしをあけて薄ら笑いを浮かべながらこちらを見ている。それを防ぐのは彼女の免疫系、鎧を身にまとい、槍と盾を手に近づいてくる河童を牽制した。全身を鎧で固めているため、中に入っているのがどのような...

ゴールデンベスト/内山田 洋とクール・ファイ

各地でファンがいるという。満を持して購入、聞いてみました。これは!歌の力。素晴らしい歌謡曲。この歌唱力たるや、馬鹿にしてはいけませんし、できませんし、なんと高いところで歌っていらっしゃるのでしょう前川清さん。同じステレオで、聞いているのに、なんか高いところから聞こえる。伸びやかな歌声がカメレオンの舌のように伸びてきたかと思うと次の瞬間には巻き込まれて口の中。口の中はぬめぬめしていてあたたかくしかし...

宇宙帆船イカロス

イカロスは宇宙を進んでいて、どうもこれは違うぞ、と感じるようになる。違和感がじわじわと進んでいくにつれ、息が苦しくなってきて、胸をつまってるし、顔も歪んでるし、内蔵も飛び出しそうで、時折頭が真っ黒になって、イカロスもうくだけちゃいそう。破裂しちゃいそう。しかし進まなければならなかった。イカロスには目的があった。果てまでいって、そこに印を付けて引き返してくるという使命があった。そのために突き進んでい...

Jeg ville helst at de skulle bli slettet

ああ、あたしはすべてを失ったか弱気乙女、もう何も信じられません。さっきの男性もあたしを見るやいなや、さっと手を差し伸べて、あたしは思わずその手を握ってしまったけれど引き寄せられて男性の胸の中、厚い胸板に押し付けられるあたしの胸の膨らみ。男性は鼻息荒く、白いそれがふんがふんがと出てきてるあたしの耳元、はっきりと聞こえるこれは大地の震えかしら。男性はあたしを逃がさぬようにロック状態、たいへん逞しい腕が...

トキ襲った動物は死をもってその罪を償え

めえええ、と鳴いてトキは死んだ。差し出した美味そうな紙をついばむこともなく死んだ。突然襲われたのだ、襲った相手はそんなに深く考えていない。自分のやったとこに対する重みを全く感じていない。山に住む純朴な力士だった。力士は生き物を捕まえ焼いて、あるいは山の植物を摘み焼いて生きていた。眼の前にトキがやってきたらそれはごちそうだと判断しても無理はない。力士の強烈な一撃を受けてトキは瀕死状態、力士は獲物をま...

WA・KA・ME

苦しんでいる、エヴァンスが奏でるピアノがなり続けるダンスホールで。さっきから次第に気づく周りのもの、その今は小さい輪が瞬時にホール中に広がって絶叫。恐怖の虜と化す。苦しみ方が尋常でなく、自分の腹をかきむしり、引きちぎり、内蔵をえぐり出し、それでも足りぬとキンキンに冷えたジントニックを流し込み、甲高いうめき声を一つ。逃げ出すもの、立ち尽くしているもの、どこかに連絡しているもの、主催者はただちに警備の...

E/奥田民生

名曲多し。何を持って名曲とするかはおいときまして、何か胸にぐっとくる曲が多いです。きっと、さびの力が強くて、構成もさびにぐっとくるように盛り上げていく構成にしてあるのでしょう。ストレートなメロディにひねくれてる歌詞。しぶめの唯一無二の声にがつんとやられてしまいました。ライブで民生さんは何度か見たことがある訳ですが、声がとてもいい。何しろあの声、まいってしまいます。油断したら最後だ取込まれていいよう...

看護学生みのりの巣立ち

学校長は長い言葉をしゃべりつづけている。すでに30分が経過して体調不良で倒れるものも多数。それが終われば正真正銘巣立ちである。もう少しの我慢である。先走ってある看護学生はすでに羽を広げはたはたと揺らめかせている。講堂は寒く、大きなストーブをいくつも焚いているにもかかわらず、全然足りずふるふると保護者は震えている。誰もが学校長のしゃべりに注目し、一刻も早く終わりやがれと考えている。どこ吹く風の学校長...

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なゆら06

Author:なゆら06
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