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042:学者(なゆら)

科学者は板書を消して思いつく「”春子の左手”でいいじゃない」...

レンヴェーク・ワルツ/ワルツを踊れ

とてもシンプルで、やさしい音です。夜の森の奥の方でちいさく鳴っている。小さなランプをともして、シチューの匂いがしてて、もうすぐできあがるのだろう。それは僕の大好きな料理だ。じっくり煮込んだトマトのビーフシチューで甘くって、パンに付けて食べるとそれはもう最高なんだから。だけど、ひとつだけ問題なのはグリーンピースが入っていることだ。あの緑色の異物は意外なほどの存在感で僕を困らせる。それをよけて食べてい...

私たちは吸いません

吐くのです。身体の中にある全部をひねり出す覚悟で吐くのです。そうすれば身体のそこからすっきりした気分になります。嬉しい気分になります。それは新鮮な体験です。今までに感じたことのない体験です。何せ全部出すのですから、出してそのままにしておいてはいけません。出したそれらを、例えば肺や肝臓、腎臓を水洗いしましょう。手荒いが面倒くさい場合は洗濯機にかけてもかまいません。傷つけると後が面倒ですので、ネットに...

アーノルド坊や死すともエロスは死せず

アーノルド坊やは死の直前そう叫んだ。絶叫であった。場所は白い部屋、大きな病院の一室で。まわりの人間は突然叫ぶ坊やに驚き、そちらを見た。最後に坊やは口からパンティを吐き出し、かすかに笑いながら息絶えた。パンティは誰のものかわからない。最後に吐き出したのだから、それが原因で死んだのかとの遺族の訴えをもとに調査がされたが、担当の看護士でもなく、担当の医師のものでもなく、訪れた見舞客のものでもなく、もちろ...

ハイリゲンシュタッド/ワルツを踊れ

朝の早くに町に出る、太陽の出る少し前の、とても暗い、静かなとき。人っ子ひとりいない町は死んでいるように思えり。無性に寂しくなる、怖くなる、誰かに抱きしめてもらいたくもなる。そんなときに限って誰もいないのだ、まったく人生はうまくいかないものだ。突然、太陽は昇る。町を照らす。色を取り戻す町のあちらこちらで、人々は目覚めて、愛を語らう。パンの焼ける匂い、珈琲の薫り、顔を洗う音、みずが流れ出す。郵便配達の...

デニス・ホッパーの残した星々

デニスが後世に残したものは数えきれぬ、星々として今も輝き続けている。人々はそれがデニスによって残されたものとの認識もないものの方が多くなってしまった。それはたんに時の経過によるせいかもしれない。しかし僕にはデニスが心血注いで作り上げたものがあまりにも普遍性を帯びていて、人々の生活にとけ込んでしまったせいだと思っている。デニスは天才的であった。それゆえ当時はあまり評価されなかったものも多い。要するに...

041:鉛(なゆら)

泣く父をにらむ春子の腹に居るものは鉛かコンクリートかだ...

僕らはトマトのみそ汁!!

僕はみそ汁で、オマエはトマト、ふたりあわせてトマトのみそ汁。トマトとみそ汁ミスマッチだと思うだろ?トマトの酸味とミソのこく、そんなのいやよ、って乙女は逃げちゃうか?とんでもねえとんでもねえ、トマトはふんわり香る太陽のかおりをみそ汁にくわえて、みそ汁が本来の旨味を取り戻す瞬間に立ち会っている感覚。今から創り出すわくわくした感じ、まだ何にでもなれそうな可能性が溢れ出てくる。ワカメが浮かんでいて、トマト...

うそをつくと10秒もたない

うそをつく。すると目が飛び出す。30センチほど飛び出しくるくる回る。回って遠くは慣れた故郷に思いを馳せる。やがておとなしくなる。飛び出ていた目が元に戻る。続いて顔の色が変わる。黄金に輝く。夜中でもきらめいている。運動場に立っていると遠くからでもわかる。近づくことができないほど、輝いている。5秒以上見れば失明してしまう。あうち、と叫んで失明してしまう。だからわたしがうそをつくとすぐにばれる。...

トータルテンボス検証動画

トータルテンボス。という赤い文字が真っ黒な画面に浮かび上がり、消える。風の音が聞こえ次第に大きくなってくる。もう、耳をおさえなければたまらない、というぐらいまで大きくなって画面が突然、明るくなる。ここは都会のマンションの一室、男が眠っていて、寝息を立てている。部屋を席巻するほどの大きさである。男の他には誰もいない。部屋は程よく片付いていて、男の一人暮らしとしては綺麗な方である。男の名前は藤田健三郎...

040:レンズ(なゆら)

駆け出した春子をトンボは複数のレンズでにらむ夕焼け小焼け...

ヤギふれあい

山羊とのふれあいは人類存亡の鍵を握る。だからこそ、山羊が快くふれあってくれるように、山羊の機嫌をとらなければならなかった。山羊の好きそうなDVDを、贈り物として贈った。山羊は咀嚼して、あまりうまくないと知るとすぐに捨てた。山羊が身に付けていそうなきらびやかな宝石を贈った。山羊はまんざらでもないような顔をして、しばらく身に付けていたが、ものを食うとき非常に邪魔になるということに気付き、幾分怒りを込めて...

トノサマバッタはまだあたたかい

私が掴んだバッタは全くじたばたせずに、ぼんやり私のほうを見ている。その口がよく観察しているとぱくぱく動いていて、その動きを追うとなにかしゃべってる。「離せ、この豚やろう」豚とは穏やかじゃないねえ、私はちょっと下っ腹は出ているかもしれないけれど豚ではないし。バッタが動き出す。見逃してくれたらきっとお礼をするよ。いつか、君の為に働こうと思っている。便利なことこの上ないだろう、バッタが手伝ってくれるなん...

出るぞ!トイ・ストーリーにトトロ

出てる。トトロが出てる。頼んでないのにトトロ、日本からやってきてでてる。きわめてさりげなく振る舞ってるけど目立ってる、トトロはでかいから。登場人物のいずれもトトロよりも小さく、トトロの方をじっと見てる。トトロは人気者だから。人気者であるにもかかわらずトトロはきわめてさりげなく出てる。エキストラとして出てる。町のシーンで、主人公の三平が警官から職務質問を受けているときに、背景をトトロが横切っていく。...

斜向いに天狗

つる子さんは「あかん」と拒んだ。「あかんのよね、あたしまだ処女のままでいたいからあ」大変色っぽくて困る。わたしだって、惚れちゃいそうです。そんな気ないのに食べちゃいたくなる。唇ちゅっとうばっておいてそれからそれから、と突っ走り気味に涎さえ流れ落ちそうになりながら、飲み込んで我慢する。つる子さんは天狗で、処女らしい。天狗は助平で、たいてい、見境なく女を抱く。という性質があるそうだけれど、つる子さんは...

最年少エベレスト

エベレストにもいろいろあって、年のまだ若いエベレストは、遠慮がちにこちらをうかがっているので、餃子でも投げてやると、いそいでそれを拾いにいって、自分の巣へもって帰る。その姿はとても微笑ましい。とても険しいあのエベレストになるなどとは思えない。純朴な田舎の青年そのものである。若いエベレストを好むマニアもいて、彼や彼女らはエベレストを側においてかわいがる。ペットのような存在として。エベレストはまだ従順...

友人と会社をつくるのは止めた方がいい

友人は持ち逃げをした。たっぷりたまっていたものをごっそり持っていった。車を用意して、別の仲間と連れ立って、私の知らないどこか遠くの場所へ逃げていった。非常にショックであった。あんなに信頼し、すべてを共有し、これから先もずっと、助け合ってこの会社を立派にしていこうと誓ったのに、ごっそり持っていきやがった。私はこれから先どうすればいいというのだ。従業員への給料の支払いは、原材料の支払いは、私の娯楽は、...

森の薫りのする女とホテルで

息が荒い。頬はほんのりと赤い。目を閉じている。シャツのボタンをひとつずつゆっくりと、じれったいぐらいゆっくりと外す。やがてボタンはすべて外れて肌があらわになる。そこにある下着は森であった。青々とした草、苔、そして木が生えていた。小動物が生息していた。木の上で、土の中でそれぞれがそれぞれの領域を静かに守りながら生息していた。鳥が飛んできて羽を休めた。猟師がそれを狙っている。銃声が響いて森が静かになる...

まぐろ その26(走れメロス編)

マグロは激怒した。漁業協同組合長のあの憎たらしい笑みが頭の奥にこびりついて離れなかった。マグロの勇気、信頼する心を組合長はないがしろにしたのだ。マグロは単純な男であった。マグロが水揚げされた港は、以前水揚げされたときと違い閑散としていた。漁師やら、料理長やら、魚屋の主人やらでにぎわっていたのはいつのころであったか。この静けさは何だ、マグロが海に飛びいる水の音すら聞こえそうではないか。マグロはおどお...

赤ずきんさん

...

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