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おばかさん/Lantern Parade

あの人はいつも笑っていた。底抜けに明るいんです。あの人が泣いているのを見たことがない。泣いているのだけではない、怒っていることも悲しんでいることも悔しがっていることもない。あの人はかすかに笑っているばかり、心配になります、だって生きているってことは苦悩を抱えているってことなのに、どうしてずっと笑ってられるんでしょう。笑い続けられるんでしょう。あの人は応えてくれません。ただ、かすかに口元が歪んだよう...

大人になっても/スチャダラパー

大人になっても忘れないでいて、あたしはずっとここにいるから。別にきてくれる必要はない。ここにきてくなくてもいいの、ただ、忘れないでほしいだけ。忘れないで、心のどこかにあたしのことを置いていてほしい。それだけでいいから、あたしは強い、大丈夫、あたしは鬼にも負けない自信がある。つうか鬼は意外と弱い。鬼の弱みを握ればそれでアドバンテージを得られる。鬼の弱みの話をしよう。鬼によって弱みはちがうが、あたしが...

今夜はブギーバック (smooth rap)/スチャダラパー

「今夜は眠りたくないの」「なんだい?お嬢さん、その大胆な発言は」「今夜はなんだか、踊りたい気分で」「オーケー!一緒に踊ろうか」「踊ってくれるの?」「もちろんさ、さあおどろうじゃないか」「うれしい」「踊れるかい?」「実はあんまり知らないの、教えてくださる?」「なにも難しいことはないさ、音楽に乗せて手足を動かすんだ」「こうかしら?」「上手じゃないか、本当に知らないの?」「はじめて踊ってる」「それだけで...

京都の大学生/くるり

大学生になった。一応の努力をして、試験に合格して、なった。大学生になったらしたかったことがたくさんある。まず、一人暮らしをしたかった。ずっと実家暮らしで、両親の監視の元で生活してきたから、一人でクラスってことを経験したかった。監視と言うと少々きつい表現のような気がするけれど、本当に監視だった。あたしの部屋には盗聴器が仕掛けてある。あたしはそれを知っているけれど、なんにも言わずにいる。盗聴器は本棚の...

ヒップホップの経年変化/□□□

何事も経年で変化する、とさくらは言った。かなしいほどの真実、経年は越えられない壁みたいに立ちはだかっているわけ。つまり、経年で変化することを前提に考えればいいってことか、とゆきおは言った。変化を前提で考えておけばあとが楽だ。そうでもないけれど、さくらはうなづく。ゆきおの機嫌をとる必要があった。ゆきおは自分を肯定されないとひどく怒る。ここで機嫌を損ねることは正しいことではない。なにせクリスマスが近い...

革命/andymori

「革命を起こしたい」「革命を起こしましょう」「そういう君が起こせよ」「最初に言ったのはそっちでしょ」「だからってやる気があるなら譲るからさ」「別にやる気なんてないわよ」「そうなの?」「そうよ」「ほんとに?」「ほんとに」「じゃあなんで革命を起こすって言ったの?」「なんとなく、よ」「でた、ゆみこ得意の、なんとなく」「なに?悪い?」「悪くはありませんよ、ゆみこさんのなんとなくで世の中は成り立っている」「...

なんて悪意に満ちた平和なんだろう/銀杏BOYZ

この平和は偽りだ。絶対に偽りだと俺は知っている。平和なんてものはあくまでも概念である。俺の想像する平和はおっぱいだ。おっぱいがいっぱい飛んでいる。飛び交っているおっぱいはやわらかいので、おっぱいどうしがぶつかるとほわんとへこんで、元に戻る。全く見事にもとに戻るものだから感心する。それがあちこちでおこっている。なにせおっぱいは飛び交っている。そこいらじゅうにとびかっている、それが平和だ。今、おっぱい...

長崎は今日も雨だった/内山田洋とクール・ファイブ

長崎に雨が降ると、雨宮さんはかなしくなる。いつもきまって、天気予報が長崎の雨を告げるたびに、雨宮さんの眉毛は下がって、微笑みを浮かべていた口元は歪み、大きなためいきをひとつ吐き出す。鹿児島でも、熊本でもなく長崎。雨宮さんが反応するのは長崎だけだった。不思議に思って雨宮さんに尋ねたのは加西くんだ。加西くんは雨宮さんに憧れていて、いつか自分の思いを伝えるために、その布石として疑問に思ったことを尋ねたの...

丸顔/くるり

丸顔の女が家にいる。いつからか、忘れてしまったけれど、丸顔の女はとても気配りが上手で、邪魔どころかすごく助かっている。丸顔の女が突然どこかに消えてしまったら、と思うといてもたってもいられない。私の生活は丸顔の女によって組み立てられている。丸顔の女は毎朝、私が起きる前に起きていて、みそ汁を炊いている。正確にはみそ汁と飯だ。あとはなにもない。非常にシンプルな献立を毎朝食べさせられる。しかし、このみそ汁...

雪見酒/遠藤賢司

雪見酒を飲めば、さらに雪が降ってくる。愉快だ。実に愉快で、あたしは踊りだす。誰だって踊りたくなる時があるじゃない。あたしは今、今まさに踊りたくなっている。踊りたくなっているので、その衝動?動機?に忠実にあたしは踊りだす。音楽は流れていないけれど、かまうものか。しんしんと降り続いている雪は、踊っているあたしの上に積もっていく。ずいぶん重い雪だ。あたしの頭や肩やお尻や肘膝、動くより先に積もっていく。け...

痛快ウキウキ通り/小沢健二

歩いているだけでウキウキしてくる。今日は妙に気分がいい。ずいぶん胸を張っている。今日のわたしはできる女みたいだ。みんなの視線を感じるよ。わたしのことを見ているよ。ちょっといいじゃんあの娘、声をかけようかな、と大学生は狙っている。今日のわたしが輝いているからね。もしも声をかけてきたら。いつもなら間に合ってますから、と軽くあしらうけれど、今日はちょっと考える。そうねえ、場所によっては行ってもいいかも。...

女たち/曽我部恵一ランデヴーバンド

「女たちよ、さあ集まるがよい」「あなた、いったいなにを言ってるの?」「うるさい、今世界中の女たちを集めているのだ」「集まるわけがないじゃない」「わたしが呼べばすぐに集まるであろう」「無理無理」「見ておれ、さあ集まれ」「集めてどうするの?」「は?」「女を集めてどうするというの?」「はべらすのじゃ」「のじゃ、っていつから大名になったの?」「大名じゃなくてもはべらすのじゃ」「それはそうとあなた、洗濯物は...

TATTOOあり/Number Girl

タトゥがある!確かにある、臍の付近にある!俺は見たんだ!臍の付近に鬼のタトゥがある!知りたくなかった。彼女にタトゥがあるかもしれないと思ってはいた。彼女の言動から、鬼が見え隠れしていた。それには薄々気づいていた。ただ、信じたくなかった。彼女にタトゥがないようにと願っていた。無惨にも鬼のタトゥは存在した。鬼は、うはは、と笑っていた。口元をゆがめて笑っていた。だが目は決して笑っていない。鬼の覚悟が垣間...

若者のすべて/フジファブリック

「若者の全てを知ってるかい?」「若者のすべて?」「そうさ、若者はなにでできているのか、知っているかい?」「できている、って?」「若者はすべてある成分でできている」「ある成分ですか」「そう、一定の年齢に達するまでの若者はね」「ずばり、なんですか?」「マヨネーズさ」「マヨネーズ!」「若者はマヨネーズでできている」「馬鹿な!」「常識人は信じないだろうね」「ちがいますよ」「いいか、これは、事実なんだ」「間...

八月の息子/サニーデイ・サービス

息子は、素直ないい子だったんです。いや、だった、じゃなくて今でも素直な子だと、わたしは思っています。ただ、思い込んだら一直線なところがありまして、それが唯一の欠点でしょうか。だけど、そんなぐらい、世の中にはもっとひどい人もいるんですから、息子だけが特別だというわけではないと思います。わたしは息子が望むものは何でも、手に入れてやりましたし、手に入れることができない、例えば魂だとか、欲望、なんていう概...

レインブーツで踊りましょう /salyu x salyu

雨の中、レインブーツで踊り狂う女がいた。女はただひたすら踊っていた。レインブーツを履いていたが、それ以外は雨に対する防御策をたてていなかった。つまり女は濡れていた。激しい雨に打たれてずぶ濡れだった。雨は容赦なく女を打っていた。雨が止む気配はまるでない。女は濡れながら、なおも機敏な動きをつづけた。女の踊りは見るものを釘付けにするような怪しい魅力があった。手は時として、足の下にあり、足は時として頭の裏...

Piano/LaB LIFe

「これは何の音なの?」「ピアノかな」「ピアノ?」「そう、ジャズメンがピアノを弾いている音」「ジャズメンが?」「有名な人よ」「ジャズメンてなに?」「ジャズメンは、らーめんの進化系で」「食べ物?」「食べ物ではなくて、そうねえ、じゃあまずラーメンを想像してみて」「らーめんらーめん、ああ、おいしそうならーめんがでてきたわ」「では、めんをすすってみて」「ずずー、おいしい、豚骨の旨味がしっかりめんにからみつい...

ロシヤのパン/たま

ロシアのパンを食べたい、ロシアのパンは固いのだろう、さぞかし固いのだろう、固くて噛めば歯が折れてしまうので困るけれど、それでも噛み付きたい。ロシアのパンはうまいから、とてもとてもうまいから噛み付いてむしゃぶりついて、はむはむして、飲み込みたい。よだれとともに飲み込みたい。これはテロだ。この固さを噛んでいるということは一種のテロだよ。テロ行為をわたしはしているということで、KGBもFBIも目をつけている。...

引っ越しの準備/ハンバートハンバート

「引っ越しの準備を始めます」「はい」「まずなにからくくりましょうか?」「くくるまえに取り出さねば」「なにをとりだしましょうか?」「取り出すのなら、まず入れるべきだ」「入れる?」「入れておかないとなにもないからね」「ではなにを入れましょうか?」「入れるものをもらう必要がある」「もらうんですか?」「だってお金はないからね」「お金?」「ええとね、お金はすごく価値のあるもので、物と交換できるもので」「いや...

肉体関係 Part2/Rhymester 逆featuring クレイジーケンバンド

肉体関係者各位に継ぐ、みだらな男女関係は危険だ。危険すぎる。みんなその怖さをしらない。知らずにズンズン突き進んでいく。恐いもの見たさか、単に怖いものを知らないだけか。おそらく後者だろう。なぜなら肉体関係に深みはない。それを越えたとき、はじめて人生の深みを感じるのだ。危険性を指摘するが、それを聞いているものなどいない。まるでいないのだから困ったものだ。聞かずに、自分だけは大丈夫、なんて思っている。い...

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なゆら06

Author:なゆら06
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