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夢番地/RADWIMPS

わたしは斎藤くんの言葉に耳を傾けた。もう脳みそがこぼれてしまいそうなほど、傾けたのだよ。それが礼儀じゃないか。聞きし者としての礼儀をわたしはわきまえているつもりだ。普通はそんなに傾けたりしないよ。普通の人間はね。しかしわたしはちがう、管理人としてやっていかなければならない。訳の分からないことを言ってくる住人の言葉に耳を傾けなければならないんだ。そのときだ、真下に住む彼女がやってきた。なんの因果か、...

No Cover, No Minimum/Bill Evans

そうかうさぎしゃんはこの悪魔に魂を乗っ取られてしまったのか。だったらここにいるのはうさぎしゃんの魂が抜けた状態、ぼくはうさぎしゃんのために魂を取り返さないといけないわけだ。うさぎしゃんだって、ふらふらと影のように生きていきたくないだろう。ぼくは一生懸命悪魔と戦い魂を取り返すんだ。ぼくはうさぎしゃんの殻に誓った。大丈夫です、今に見ていてください、ぼくがうさぎしゃんの本体を取り返してあげます。悪魔は魂...

Heat-Island [Album ver.]/9mm Parabellum Bullet

机の引き出しに入っている日記には偽りの記録が書いてある。実際にあたしが経験したことに加えて、というかほとんどはそっちなんだけど、偽りの、管理人さんが気に入るような記録が書いてある。管理人さんはそれを読み、たいそう喜ぶだろう。あんなに熱心に節穴から見下ろして彼だ、あたしのひみつを見つけたと小躍りになって喜ぶだろう。念のため、あたしはエピソードを付け加える。念には念を。あたしは慎重だ。どんなエピソード...

ストロベリー/YUKI

変な住人にからまれた。変な住人と言えば、そう、斎藤くんだ。わたしは真下に住んでいる彼女のことをどうやって調べようかと考えながら歩いていた。斎藤くんが、うさぎしゃん、うさぎしゃんと叫んでいる。わたしの目を見て叫んでくるということは、どうやらわたしのことらしい。なにか必死にわけのわからないことを言っている。おそらく頭がおかしいのだろう。わたしはあまり強く拒否することを止めた。こういう若者は怒りだすとな...

Christine/BEAT CRUSADERS

うさぎしゃん、もしかして怒っているの?ぼくはとたんに不安になったんだ。せっかくぼくが勇気を出してさ、うさぎしゃんに話しやすい環境を提供したっていうのに、これはどういうこと?うさぎしゃんに問いただした。ぼくは必死さ。うさぎしゃんに嫌われたくないからね。なにかぼくが気に入らないことをしたというのなら、不本意だけど改めるからさ、どうぞ遠慮なく言ってください。うさぎしゃんはなんにも言わずに管理人室の方へ向...

ジュビリー [Live]/くるり

あたしはシャワーを浴びた。熱めのお湯を身体に浴びた。少し痛いぐらいの熱さになったのであたしは悲鳴を上げた。管理人さんは瞬きもせずにあたしを見下ろしていた。あたしも見上げたから気付いただろう、完全に見られていることを承知の上の言動であると、つまりあたしは被験者、管理人さんがどう判断するのかわからないが、別に悪いことにはならないだろう。まず節穴から見下ろしているということはあたしに興味があるということ...

最後の一葉/ハンバートハンバート

彼女の名前はなんだっただろう。わたしは突然、気になった。彼女のすべてが知りたい。彼女の出身地や趣味思考、性癖、好きな食べ物から靴のサイズ、生命線の長さ、使っているシャンプーやリンス、交際履歴、知能指数、思えば真下に住んでいること以外に何も知らなかった。これで管理人としてやっているのだから、オドロキである。わたしはもっと業務に忠実になるべきだった。わたしにもこのような感情がまだ残っているのだと知った...

自閉探索/ASIAN KUNG-FU GENERATION

うさぎしゃんは妙な顔をした。ぼくが、うさぎしゃん、と声をかけたからか。そういえば、まだうさぎしゃんが、うさぎしゃんとして認知されてはいないのだった。うさぎしゃんはぼくの中でのコードネームみたいなものだし、一般的には管理人さんで通っている。ぼくは管理人しゃんと言い直した。最近、悩みでもあるのですか?「いや、別に悩んでねえよ、つうかどうしたの?なんか不具合がありましたか?」「不具合があるとしたら、あな...

All Baked Out/Baker Brothers

管理人さんが天井の節目から、あたしの部屋を見下ろしている。一般的な人は天井を見て、そこにある目に気付かないだろう。あたしは人一倍人の目に敏感なのだ。じっとその血走った目で、あたしの生活を盗み見ているんだ、と知った。別に気持ち悪いとも思わない。だって、管理人たるもの、マンション住人を管理する必要がある。変な行動をする人はマンションの住人として失格。そういう人にはそっと肩を叩いて、出て行ってもらわない...

Battle March/9mm Parabellum Bullet

わたしに性欲がないわけではない。いくらお地蔵さんに恋しているからと言って、それですべて自己完結するわけではない。持て余した欲望を放出するために町を彷徨い歩くこともあるわけだ。たどり着いた先はいつもの定宿、そこでわたしは一定の紙幣を支払い性的なサービスをしてもらう、きわめて事務的に、わたしは何の感情もこめずに、なされるがママになっている。終われば一定の罪悪感と、爽快感が入り交じった気分になる。またお...

マシロケ/SOIL&"PIMP"SESSIONS

管理人さんに話しかけたのだ。ぼくは勇気を出した。引っ込み思案の壁を突き抜けたような気がした。ぼくの今後は明るい、なんでもできる勇気を持っている。ぼくは勇気を手に入れたのだ。なにもかも管理人さんのおかげだ。管理人さんの悩みを聞いてみた。管理人さんはなにもしゃべってくれない。いいんだよ、はずかしいことはなにもないんだよ、とぼくは大人のような口調で、管理人さんにぐいぐい近づいた。そう、まるでジゴロ、ぼく...

獄衣deサンバ/ミドリ

管理人さんはすごくシャイで、あたしの目を見てくれない。だからあたしがちゃんとあたしの目を見てしゃべって、と注意する。管理人さんは照れ笑いしてほんの一瞬、あたしの目を見るけれど、すぐにまた下をむく。最近ではそういうものだと自分に言い聞かせている。でないとやってられない。あたしたちはよく、あたしの部屋でお茶を飲む。お茶を飲んで世間話をする。まったく無駄な会話ばかりする。なんの意味もない会話。冷たい雨が...

Change/MONKEY MAJIK

今恋しているお地蔵さんは端正な顔立ちの二枚目、一目見た時から彼に魅了されてしまった。彼、ではない。お地蔵さんは雌雄同体だから、男も女もない。しかしわたしとしては彼と言いたい。あの目を閉じて沈黙する姿、たまに見せる笑顔、旅行先の旅館でほろ酔い気分でピンポンをする姿、などどう考えてもおっさんのそれだから。お地蔵さんは性交渉の結果増えていくわけではない。ある時期がくれば、分裂して増える。よく猫が年に何日...

ワイワイワールド/Clémentine

管理人さんがどうもおかしい。ぼくのマンションの管理人さんで、歳の頃でいうと60前後、うちの両親と同じぐらい。だから、ぼくは勝手に家族と思っている。ぼくがこの街にでてきたのは2年前で、それ以来このマンションに住んでいるわけだから、管理人さんとの付き合いも2年ほど。今では、お互いの部屋を行き来するような関係。ぼくは都会に出てきたのははじめてだったから、それが普通なのではないかと思っていたがどうやらそう...

愛/真心ブラザーズ

でっかい愛を手に入れた。それは太陽みたいにでっかい愛だった。あたしは太陽を手に入れたも当然だった。太陽を手に入れる、ということは世界を手に入れるということも当然になる。太陽がないと世界は成り立たない。太陽がない世界は暗いくらい世界で、誰もまるで覇気がない。どうせ暗いのだから、で全てすまそうとする。犯罪も暗いから仕方ないよね。嫉妬も、洗濯物が乾かないのも、じめじめするのも、カジノで有り金をすってしま...

(恋は) 百年戦争/相対性理論

おじいさんの代から恋している。受け継ぎわたしは恋をした。恋をすることがわたしの役目なのだと言われた。その恋が成就することはない。恋をすること、それ自体が目的であり、終着点である。わたしは意味もわからず恋させられた。わたしの気持ちなどそこに挟み込む余地はない。もちろん、若いわたしには、若い欲望があり、それを満たすために様々な行動をとる。とりわけわたしの欲望は強く深くしつこい方で、それをおさめるために...

Winding Rhythm/Baker Brothers

音楽を操るものを発明したぞ!博士は叫んだ。助手は目覚め、深夜2時だったので、迷惑そうな顔をした。どうせすぐにやってくるんだろう、助手は身構えた。予想通り、博士は助手の部屋に入り、もういちど、音楽を操るものを発明したぞ!と叫んだ。助手はそれでも、薄目を開けて様子をうかがっていた。博士がこんな風に突然発明する時は、まったくろくなことがない。博士は助手の顔を覗き込み、身体を揺すりはじめた。助手よさあ目覚...

Trash & Lemon/スーパーカー

本屋に檸檬を置く、という試みをしたあと、私は漫画喫茶にむかっていた。2、3時間、暇だったので、改めて宇宙兄弟でも読もうと思ったのだ。漫画喫茶には飲み物もあるし、食べ物もある、リラックスできる個室で、快適な空間で宇宙兄弟を楽しもうと思った。行きつけの漫画喫茶までここから20分ぐらいかかった。20分かけて漫画喫茶に行き、2時間漫画を読んで再び20分かけてここに戻ってくる。なんとなく非効率的な気がしたが...

1989/the pillows

80年代終わりになり、ぼくは大人になった。大人になるということの定義は曖昧だが、20歳になったと言えば、かなり説得力があるのではないだろうか。1989年、ぼくは20歳になった。20歳なんてまだまだあまちゃんだよ、というさらに大人の存在には目をつぶってほしい。この際、それはあまり重要でない。自分が大人になったと思ったんだから、それが全てだ。20歳のぼくは、実際、大人らしくあろうと努力をしていた。今に...

素晴らしきこの世界 (Remix Version)/真心ブラザーズ

帰り道、あぜ道から見た田んぼが輝いて見えた。まるで誘っているようで、あたしは立ち止まり、しばらくそれを見ていた。ゆらゆらとゆれているのは風が吹いていた。蛙が跳ねた。その音が小さく聞こえた。それでここからはけっこう離れているところにあるんだと思った。田んぼ静かに輝いている。あたしはまわりの草木と田んぼを比較した。田んぼは抜群に輝いていて、なにか誇らしげであった。単に張ってある水に夕陽が反射しているだ...

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