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短編の感想を書いてみました、9月分 その4

海外滞在 7むっ、としました。この感情、複雑です。特に山も谷もなく、違和感もなく、流れていきそうな作品ですが、なにか読み終わったあとに流れてくる、言いようのない虚無感は、主人公に感情移入をしてしまったということでしょうか。それはともかく、リアル。想像にしても、経験談にしても、リアルさが作品の芯の部分を担っている。英美が言いたかった7つのこと 8なんかよくわからんけど、この突き抜けた感がしっくりきま...

気取って感嘆符をつけてみたところで

気取って感嘆符をつけてみたところで、あたしは鮫!のままだった。鮫であるあたしは補食しなければならない。そうしないとやがて体力を失い、力つきてしまう。死んでしまう。あたしはまだ死にたくないのだ。まだしたいことが山ほどある。燃えるような恋をしたい。浴びるようにこんにゃくゼリーを食べたい。たまには恥ずかしい思いもしたい。だから生き続けなければならない。あたしは捕食を開始する。質にかまっている場合ではない...

花に対する情熱というのはこんなものである

花を摘む。誰にとがめられることもないだろう。ここは空き地だ。持ち主がいるのかもしれない。この世に持ち主のない空き地はないからね。けれども今、私が花を摘んだのを見ている人はいない。つまり完全犯罪といえるしかも、この花だって空き地の持ち主が意図して咲かせたわけではないだろう。自然に咲いたのだ。自然界の生命力で、花は根を伸ばし、つぼみを付け、開いたのだ。私に摘み取られるために、花は開いた。と考えるのは傲...

短編の感想を書いてみました、9月分 その3

前進 7いやなんなのこれ、何のひねりもなく終わった!けれども、それも含めて作品ということならば、すごくリアル。細部にわたってリアル。この独白は啓発雑誌か、宗教系の文章として、そのパロディを狙っているのだとしたら、わたしはまんまと罠にはまってしまっているわけですからね。巧いと言わざるを得ないわけですよ。十五歳の魔法 7淡々としているけれども、確実に心奪い去っていくでっていう強引さが見え隠れしている。...

ホッホグルグルのなぞ

ホッホグルグルはよく笑う。けれどなにが原因で笑ったのか、周りの人間は理解できない。だからホッホグルグルが笑うと、少しざわつく。それはホッホグルグルの笑い声が甲高く、大きいからで、ホッホグルグルが笑い、注目が集まり、ホッホグルグルは満足し、笑いをやめる、ように見える。だからホッホグルグルはたんに注目を集めたいだけかもしれない。ホッホグルグルは寂しがりやなのだ。もっとホッホグルグルに近づいて、肩を叩き...

ピクニックじゃない

ピクニックじゃなくて儀式だ。運動をする儀式だ。どんどん健康になっていく儀式だ。儀式だからといって油断してはいけない。いや儀式だからって油断する人はいない。むしろピクニックだった方が油断する。だってピクニックは楽しい。仲間とわいわい言いながら、口笛をふきながら、歩いていくものだ。すると自然に油断する。だからここではっきりしておく。これは儀式だ。ピクニックじゃない。だから儀式としての覚悟を持ってきてほ...

鏡よ鏡よ鏡さん

鏡にわたしが映っている。わたしは珈琲カプを持っている。傾けて中に入っている珈琲を映してみる。液体から湯気が立ち上っている。白い湯気はわたしを囲んでいる。もやもやと少し昇ってすぐに消える。鏡は湯気によりくもっている。わたしがさらにぼやけていく。わたしは鏡の中のわたしに向かって話しかける。ねえ、その珈琲をいただけないかしら、ねえ、わたしは喉が渇いたの。すると鏡の中のわたしは応える。イヤよ、わたしだって...

やあ、丸井

やあ、丸井、元気か、元気じゃないならそういってくれ。力になりたいよ。俺は丸井の力になりたいんだよ。ぜひ言ってくれ。遠慮なく言ってくれたまえ。トモダチじゃないか。え、トモダチではない?じゃあなんだろう、俺たちはトモダチではなくてなんなのだろうか。そうか、上司と部下か、そうかもしれない。世間はそういうだろうな。実際に俺はオマエから指示を出されている。俺は必死で指示を考え、処理する。なによりもまずそれを...

短編の感想を書いてみました、9月分 その2

巣立ったカッコーはどこへ羽ばたいた 9怖さをそのまま伝えるのではなく、間接的に、その輪郭をなぞってなぞってみる手法。とても有効なんですが、間違うとぼんやりとかすんでしまいますよね。今作はしっかり消化されていると感じました。独白から三人称の視点に移り変わったあと、じんわりと残る怖さがたまらない。11/12(日) 8なぜだろう、はっとなって悲しくも嬉しくもある複雑な気持ちになったのだ。背景がどうとか、元ネ...

堀江老人は老人とも思えぬ素早さで

堀江老人は家を出た。悲しいことがあり、いてもたってもいられなくなった。老人になった今、こんなにも悲しいことが存在するのか、と思うぐらいに悲しかった。家を出たところで、なにもかわらない。けれども動いて気をまぎらわす必要があった。そうでもしないともう悲しさに押しつぶされてしまいそうだった。悲しさは堀江老人の頬をぶっている。家を出て歩いている今もなお、悲しみはつきまとってくる。堀江老人は走った。悲しみを...

少しだけ、コナキジジイ

コナキジジイがうしろにいる。すぐに背中に覆いかぶさってきて重くなり、すごくつかれることになる。つまり、逃げなければならない。コナキジジイが覆いかぶさらないように逃げなければ、と思うけれども私は動けないでいたのだ。微塵ともできない、これはすでにコナキジジイの術中にはまっているということか。コナキジジイの匂いが漂ってくるのだ。これはきな粉の匂いだ。コナキジジイはきな粉が大好きで、きな粉さえあれば何でも...

短編の感想を書いてみました、9月分 その1

糸 7一作目からくらいですねえ。特になんにもおこっていませんが、軽妙なテンポで綴られるんでスラスラ読めた。巧いってことでしょうね。けれど女性視点、男性視点、第3者、織り交ぜることで少々、そのスラスラ読める感が薄まってしまったように感じますがこれは、好みの問題。悪夢に挑んだ男 6詩を用い、疑問点から始まって、一つの真相を導き出す、誠に鮮やか。書いてあることが抽象的ですので、骨の部分はよくわかりますが...

犬は助けようともせずにお尻をふりふり

瀕死である。あと少しで死ぬのだろう。自分のことは自分が一番わかっている。私はすでに生きることに対してなんの未練もない。このまま死んでしまおう。悪くない人生だった。全然悪くない。むしろよかった、いい思いも存分にしたし、スリルや苦労もそれなりにした。幸福だったと思う。あと少しだった。最後にもやもやしたまま死ぬことになるが、それは致し方ない。だから力を抜いた。脱力だ。私は死ぬだろう。もう時間の問題だ。目...

あのころの日記を覗いてみよう

新しい日記を買ったので、古い日記は押し入れに入れる。その前に覗いてみたのだ。赤い靴、と書いてある。ぼくは赤い靴を持っていないので、この赤い靴はぼくのものではない。だったらなんなのか、ぼくは自分が赤い靴と書いた時のことをまるで覚えていない。丹念に記憶を探るが、全くたぐり寄せられない。いくら寄せても無駄だよ無駄、って囁いてくる魔人の頭をぼくは殴打する。腹が立っていたのです。まあいい、別に思い出せなくて...

一人きりの女になって海にきてみたら、このていたらくだ

海にきたら何か変わるかも、と思った。海の開放感がいい。あのどこまでも広がっていく感じ、にかけてみたかった。海の色は青くって、吸い込まれそうだ。空はすでに吸い込まれている。しゅるると音を立てて空は少しずつ吸い込まれているので、その穴に私は手をかざしてみる。私自身も吸い込まれてしまえばいいのだ。けれど私は吸い込まれなかった。全然吸い込まれないもので、不安になった。私は吸い込んでくれないのか、悲しいじゃ...

私の涙はめそめそした涙じゃなかった

涙が地面と垂直に飛んでいく、これは勢いがすごいということだ。目の奥の奥、そこから目の表面めがけてぐるぐるぐると走りながら涙が飛び出してくるというわけだ。涙は容赦しない。私に対して前々容赦なく、湧き出てくる。まるで泉だ。この無限に水が湧き出てくる泉のようになみだはしっかりと私の目の奥から湧き出てくる。嫌だ、なんて思っても無駄だ。涙は容赦しない。涙は容赦しないんだ。涙の意見を聞いてみると、それははっき...

いやだー、囚人色やわ

囚人色を着ると、囚人になってしまう。わけではありません。もちろん、そんな阿呆な話がありますかいな。囚人色を着ても、看守であることに変わりはありません。それは私が保証します。え、私の保証なんてなんの役にも立たない?確かに、私の保証はまったく効力を持っていません。けれどね、ちょっと考えてみてください。私は神です、いわゆる神です、権限も何もないけれど、世界を創ったのは私ですよね?つまり何よりも偉いわけで...

女の人がスカートをちょっとまくって靴下をはくとき

靴下はじじじと音を立てて少しずつ少しずつ降りてくる。そんなに頻繁にでないから、と油断したらもうすっかり降りてしまって素足に太陽がさんさんとさらされている。だから定期的に靴下を上げなければならないのだ。靴下を上げるということは、どこかに腰掛けて靴下を持ち、ぐいっと上げるか、立ったまま、上体を折り曲げて柔軟性を見せつつ、靴下を張り裂けんばかりに引き揚げるか。のどちらかだ。その際、靴下はスカートの内部に...

海に面して、下着工場がある

下着工場侵入に成功した。セキュリティーはほとんどかかっていない。こんなに簡単に侵入できるものかとぼくは面食らった。なにしろ、鍵さえかかっていないのだ。というか、中にいる人、おそらく警備員なのではないかと思う、はぼくと目が合ったにもかかわらず、何も言わなかった。何も言わなかったのだ。警備員のような出で立ちをしていたからおそらくそうだろう、しかしその雇われの男性はやる気のなさそうに会釈した。おそらく、...

朝の静かな犬の接吻を思い出した

鼻が湿っている犬は健康、知識として頭の中にあったがそれが実際にそうなのかどうか、私は判断できない。けれどもつまりたいていの犬の鼻は湿っている状態が通常であるということは理解している。犬に近づくと口から小刻みに息を吐いていることに気付く。それも健康のバロメーターであることは理解している。けれども、細かく吐き出される犬の息に、犬が食べたもの、例えば生の魚の匂いが混ざっているととたんにテンションは下がる...

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