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短編の感想を書いてみました、12月分 その2

面と向かって石を投げよ 7細部に神は宿るって言うけど、本当かしら。本当です、だって細部だけがすごく魅力的な作品てたくさんあるもの。というかむしろそっちをメインとして持ってきているようなやり方。それが正当派なんだって。けれどもそれだって、最低限の筋があってこそじゃない。たしかに。たしかに、って思いました。唐揚げ 6うーむ、結局はどうなりたいのか、ってのがわからなかったんですね。たぶん、悪い感情じゃな...

しばしのなぐさめ、みやこわすれ

都から遠く、汽笛も聞こえぬ程遠くにいる。そこで草を摘み、煎じて呑み、蒸してその湯気を浴び、悦に入っている。体から染みでてくる感情を、そのまま土に還すつもりで、肥料を撒き、水をやれば、芽がでてくるだろう。芽はみるみる伸びて行き、雲を突き破り、空をも突き破ってしまうのだ。私は茎となったそれを抱きしめ、しっかりと抱きしめてやれば茎の先、その空を突き破った先はくんくんと鳴き、虚空へ放つのだろう。歌声が茎を...

たしかにうみはひろい、だがこの胸の中飛び込んでみろ

言われた通りにした。胸はあまり広くなかった。角張っていて痛かった。思わず痛いと言った。少し気を悪くしたようだった。ごめんなさいと言った。さらに機嫌が悪くなった。それでも取り繕うようにいつでも飛び込んでこいと言われた。でももう飛び込まないと思う、と正直に答えたら少し泣いていた。慰めて上げたら逆に向こうから胸の中飛び込んできた。嫌、と頬をぶった。さらに泣いて、鼻水ぐずぐずになっている。なんだかみすぼら...

rasen

赤ん坊の頭が出てくる。もうすぐ劈くような泣き声を上げるのだろう。上げないと困る。母親はその泣き声を待っている。腹を痛めて産み落とした子だ。元気よく泣いてほしい。ここで泣かないと心配だ。なにか問題があるのだろうか、と後ろ向きの気分になる。らせんを描いてにゅるんと吐き出す。ぼとりと音が鳴る。シーツは血まみれで、赤黒い物体に見える。なにかやり遂げた気分でもない。まだその余韻は十分に残っている。なんなら戻...

にたりとわらえ、かなしみこらえ

かなしみは止まない。けれどそれはそれとして、笑う必要がある。オーディエンスが待っている。家族が待っている。輝く未来が待っているのだから。笑えばそれで解決する。オーディエンスが湧くだろう。どよんと湧くのだろう。それは確実だ。きっと確実だ。検証したことがないけれど確実さ。そうに決まっている。決まっているんでよろしく、って言ったら怒鳴られたので、さらにかなしくなった。...

短編の感想を書いてみました、12月分 その1

はらから 6タイトルはどういう意味でしょう。ちょっと読み取れなかったのですが。短編を作成するために閉じ込めて、終わらせると、二重構造?猫がでてくるのはいかにも、それらしい雰囲気を出せますので有効ですね。猫自体の持っている魅力を借りている感を受けます。ふたつ押しちゃったかア、とわたしなんかは思いました。年賀状の作り方 7夢と現実を行き来。ってかんじですね。実体験なのかしら、というぐらいリアルですね。...

あやめのよい便り

あやめから便りが来るときは、春の少し前のぽっと暖かくなって、目の前の仕事が一段落していて、だから便りの内容どうこうよりもまず、そのタイミングに溜息を漏らすのだ。さらに便りを読んでまた溜息を漏らすことになる。あやめはだいたい自由に生きていて、もう40も近いというのに定職に就かず、特定の恋人を持つわけでもなく、ふらふらとしているのだけれど、便りに書いてあることは、ウクレレ始めました、だったり、折り鶴が...

次はどの色だ?

Q.赤がきている。急成長している。大きくなって間もなく飲み込んでしまいそうだ。青も緑も紫も全部の見込んでしまって混沌に成り下がろうとしている。混沌は色としては下級に属する。何を混ぜようが最終的にはそうなるのだから。混沌は色として馬鹿にされる。なんだ混沌か、と吐き捨てるように言われ、実際につばを吐きかけられる。けれども混沌の中にダイヤモンドが隠されている。つばを吐きかけてからでは遅い。ちゃんと確認し...

料理をきれいに撮るにはどんなレンズがいいですか?

それはねえ、地獄のレンズよ、と講師は言う。嘘だ、とあたしは思ったけれど口に出せない、雰囲気。何も言い返せない雰囲気づくりに成功しているので、ここは言わば講師の独壇場。地獄のレンズは地獄にあって、それを取ってくるためには当然地獄に行かなくちゃならない。地獄への切符を売ってあげるけど片道だから、戻って来れないかもしれない、それでもいい?と迫ってくる。迫ってくるがどう答えていいのかわからないでいると、怖...

ウィーンで狂うということ

ウィーンには行ったことがない。ウィーンの隣の町に入ったことがある。嘘だ。ウィーン周辺はおろか、ヨーロッパに足を踏み入れたことはない。だからウィーンの町のことは想像するしかない。想像するウィーンでは、女の子がピンクのパンティーストッキングを履いていて、伝線している部分からのぞく生の足を突き刺すためのナイフが転がっている。誰がそこに置いたのか、いや、投げ捨てたのかと言うと、王様だ。王様の命令によってナ...

なぜ、子どもはピーマンが嫌いなのか

第一の理由はピーマンのフォルムである。あの頭のところの、山、谷、山、谷、山の連なり、休むところがない。谷で休めそうなイメージもあるが、なんのなんの、山よりもさらに厳しい現実を味わうことになる。まずはみずうみである。この穏やかそうなみずうみが牙を剥く。住んでいる生き物は、獰猛で、いつも腹をすかせており、獲物と見るやすぐさまその鋭い牙で噛み付き引き裂いてしまう。気付いたら腹の中で、胃酸により溶けかかっ...

ふつつかもの

ふつつかものですが、と言って頭を下げた。よく意味が分からなくて聞き返すと、答えるほどのものでもありません、と答えた。けれども説明してくれないことにはどうしようもないわけで、ぼくは頬を膨らまし、臨界体勢である。今にも吹き出しそうなミルク、飲み込むこともできず、吐き出すこともできないどっち付かずの存在。ふつつかものが靴下を脱いで、足湯につかる。さも気持ちの良さそうに足をつけ、湯はさわわと揺れている。他...

ドットの長靴でスキップしているお嬢さん

スキップが止まないので仕方なく後に続いた。そのうちに止まるだろうと高をくくっていたが、止まる気配はまるでない。むしろ勢いを増しているぐらいで、だったら追い抜かして踊ろうよおいらと、なんて誘ってみるのも一興ではありませんか。誘いに乗ってきたならそれはすなわちそういうことで、オーケー、冬の夜はさぞかし長く、朝を迎える頃にはふたりはまるで家族、長年連れ添った家族同然の馴れ馴れしさが鼻につく。お嬢さん、な...

踊る阿呆と笑う阿呆、同じ阿呆でも天と地ほどの差がある

泣くべきところで笑っているやつがいる。俺はやつが嫌いだ。生理的に受け付けない、でやってきましたので、ここでもそれは通していきたい。素直に泣けばいいのに、笑っている。カラスにつつかれながら笑っている。血が噴き出して、内臓を啄まれながらも笑っている。甲高い声が夜空に広がっていく。やつは意識を失っていく。おそらく失っても笑っているだろう。笑いながらなくなっていくのだ。カラスは獰猛で、腹をすかせている。や...

短編の感想を書いてみました、11月分 その5

『すごいものを書いてきよる』 8あれ、作風が違う。読みやすく、わたしはこっちの方が好きですね。というかすごく好きですね。タイトルがすごいよね、姪の一言もなかなかすごいよね。どうなんでしょう、もともとこういうのを書いていた方なんでしょうか。あえて調べたりしませんけど、その変化はなかなか面白し。猫 9バランスがいい。落ちへむかっていくテンポもいい。今期で一番良かったですね。別に何も起こらなくてもいいん...

短編の感想を書いてみました、11月分 その4

祈りの場所 6システムに対する反抗、というテーマとして読みました。なんだかほっとなる時間が、人として必要ですよね。まったく、ゆっくりと思いを巡らす時間、思い出させてくれました。ありがとうございます。夜とショッピングモール 7仕掛けを施すことの意味、そのメリットデメリット、考えると、何も書けなくなってしまいますね。なにがなんだかよくわからないまま雪崩式に眠ってしまいました。あとから考えてみればそんな...

遠くにある、同時に近くにあるものなんだ

東に国があって、国王がおさめていたが、国王があまりにも国民を虐げるので、国民は反乱を起こし、組織を作った。組織はもろもろの事情でやがて分裂し、分裂を繰り返し、しまいには分裂できないまでに分裂し、つまり組織ではなく個人にまでなってしまい、これが個人主義であると開き直りだし、手が付けられなくなってきたので、この状態を平たくするためには民主的な選挙によって国王を決めた。国王は穏やかな性格で、国民を大切に...

線を束ねるあの、ぽちっとなってくるくるするやつ

最近音楽を聞かなくなった。イアホンが壊れたということもある。時間がないということもある。けれども新しいイアホンを買えばいいだけのはなしであるし、前だって時間は今と同等になかった。だから音楽に対する興味が薄れているのかもしれない。音楽を再生する気力がおきない。以前はなにかしながら音楽を聞くことが多かった。けれども今は集中したい。一時的なことかもしれない。すぐに聞き出すのかもしれない。好きなバンドが新...

涙くんさよなら、おまえがふたたび戻ってくる頃には

俺は炒飯を完成させているぜ、完璧な炒飯を、この中華鍋を振って作る。具はシンプルにいこうや、ネギと、叉焼と、玉子だけでいい。それぞれが美味けりゃ何の問題もない。むしろ歓迎だ。シンプルさに炒飯の本質が隠れている。それを掘り出して掲げろ、太陽にさらせば、炒飯はあはんと恥ずかしそうに頬を染めるだろう。唇を奪い、服をはぎ取り、肌をくっつけあうだけだ。そのうち炒飯の瞳からこぼれるだろうよ、涙じゃない、てらてら...

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