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ダッタン海峡を黒い蝶々が飛んでいった

黒い蝶々はどこに向かっていたのか、西田はそれに応えることができないでいる。できないだけでなく、蝶々になりきっている。黒い蝶々を追いかけようとしている、西田は今、蝶々そのものだ。西田、蝶々を追いかけたって無駄だぜ、とぼくは思うが、西田の好奇心は象をも殺す。西田はひらひら、悲しみを垂れ流すように飛んでいく。西田、西田よ、とぼくは声をかけてみる。西田は黒い蝶々を追いかけることに必死で、ぼくの声を聞いてく...

私は心の中でバンザーイと叫んだ

楯夫が風邪をひいたのだ。滅多に風邪などひかない楯夫が。というか風邪はおろか、病気ひとつしない、が売りの男子を探していたらきっと楯夫にたどり着くんじゃないかと思う。元気の象徴として私の中では真っ正面に君臨しているのが楯夫だ。風邪をひいたということは、楯夫の元気がなくなるということで、つまりそれはセックスをしなくていいということで、小休止としてちょうどいいと思ったのだ。なにせ楯夫ときたら毎晩毎晩元気で...

パフね、あなたは洗ってらっしゃるかしら

洗ってないからすぐ洗いなさい。さもなければパフは爆発するでしょう。爆発し、その粉をぷんぷんとまき散らすでしょう。それを少しでも吸い込んでみなさい、あなたはすでに死んでいるでしょう。パフを甘く見ちゃあいけない。粉の成分については検証してはいけませんよ、検証したらパフの神様に怒られる。怒ったら怖いです。普段はもの静かでやさしげな物腰なんだから。神様だからといってみんながみんな穏やかだなんて思っちゃいけ...

おやめください

生命の系統をさかのぼるのはおやめください。他のお客様に迷惑がかかりますのでおやめください。これ以上続けるようならば通報します。警察にきてもらい、適切に処理してもらいます。そうなるとお客様もお困りでしょう?今のうちにおやめください。警察は容赦ありません。たしかに動かない警察と揶揄されることもありますが、今回の場合はあきらかに迷惑をかけてくるのです。ほら、そんなに内臓がスケルトン、ひくひくと動いている...

かあいい動物たち

うちのかあいい動物たちを紹介しましょう。まずはなんといってもぴーちゃん、ぴーちゃんです。ぴーちゃんは林檎三個分の体重だし、身長だし、ちょこちょこと歩いてすぐにどこかに行ってしまう存在です。そこがすごくかあいいの。かあいくて、食べちゃうの。丸呑みで食べちゃえば、飲み込んで胃の辺で歌ってる。ぽっぽっぽ、と歌い出す。思わず一緒に歌ってたら、胃液に溶かされたんだろうね、歌声がだんだんちいさくなってきた。も...

あるお嫁さんの話

そのお嫁さんがね、まったく信じられないってこと。なにせ毎晩毎晩ワインにチーズ、クラッカーなんかを洒落込んで、オリーブを垂らし、オリーブの実までつまみ出すんだ。ワインだって相当なものだよ、庶民にはちょっと手が出ないだろうね。それを惜しげもなくぐいぐい、ぐい飲みなんだからね。見てるこっちははらはらしっぱなし。イヤとも言えないじゃない。それをイヤと言うのは野暮ってもんだよ。だからぐっとこらえてね、我慢し...

スパゲチの冒険

スパゲチはミートソースを探すために家を出た。家というほどのものではない、プラスティックの袋から外に出ただけに過ぎない。スパゲチはまず、仲間を探した。なにをするにしても仲間と一緒に行動すれば、容易に目標が達成できると聞いた。コンソメ夫人にベッドの中で囁かれた。甘い香りがゆっくりと流れ込んでくる昼過ぎに。コンソメ夫人とは友人を通して知り合い、深い仲になるまでに時間はかからなかった。なんといっても相性が...

うずまくのは欲望だけじゃない

まずは欲望だ。欲望が飛び出てきて笑ってやがる。余裕をぶっこいて、ポッケに手を入れた。口笛を吹きそうな勢いだけど、そんな余裕はないはずだ。ぼくは知っている。欲望のリミットを知っている。もう全力をつくしている状態だ。すぐにその笑顔は凍り付き、ぴきぴきと音を立ててくだけ散るだろう。それをほうきで掃き、清め、雑巾をかけておく。光っている。光沢を帯びたそれは地域によっては高額で取引され、時として人の命をも奪...

今夜はナベにしましょう

で、なにが目的なのか、はっきりいってほしんだ、たしかにぼくはうだつの上がらない男だ、それは認める。もちろん認めた上で、では目的がなんなのかはっきり言っておいてほしい。それが条件さ。ぼくがここにいる唯一の条件だってことを知ってほしい。目的がなんでもかまわない。ぼくは知りたいんだ。自分が把握できていない状況がたまらなく嫌なだけだ。把握したい把握したい把握したい。その欲望だけで人は死ぬよ。把握できなかっ...

短編の感想を書いてみました、12月分 その4

鯉 8なんでしょうね、これは、意外な方向へむけたままの結末でした。しっかりしたオチを作るかどうか、迷うところですが、時として読み手に委ねるような姿勢も悪くないんですよね。するとどうでしょう、余韻がぐんとあがってなにか好印象。テイストが途中で変化した、と思ったんですが気のせいでしょうか。ストローベイルガーデン 8羊肉が実によくいぶされていい味を出していますね。何の説明もない儀式で、解決もされていない...

砂の上に彼は自分の名を書いた。

海にやってきたのは私のわがままからだ。突然、潮風に当たりたくなった。ありったけの潮風を受けて、私の額を潮まみれにしてしまいたかった。そうすれば私の罪も塩漬けになり、私は長い間苦しまなくてはいけない。その罪を背負いつづけないといけない、と思った。彼はいつものようにほんの少し、まゆをしかめてそれから、んな用意するわ、と言った。彼は大きなバッグに荷物を詰めた。私の分もちゃんとつめてくれている。なんという...

短編の感想を書いてみました、12月分 その3

月に泳ぐ 8ああ、実に優雅ですね。クジラがゆったりと泳いでいく様は。なにか感傷的になりますね、お正月から。すごく豊かでたっぷりと含まれている出汁が噛み付いてしみでてくる、高野豆腐をイメージして、それをいつ食べようかいつ食べようか、迷っているんです。いいお仕事されてますね板長は。と声をかけてあげたいですよ。天井わらし 7どう反応していいのかわからないのですがね、まあこれはひとつの隠喩、暗喩というやつ...

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