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使いこなす女、使われる男

開くと同時に閉じるを繰り返すとそのうち機嫌が悪くなり、わたしはなだめることに意識を集中しなければならない。せっかく音楽を楽しんでいるというのに、電子書籍の機嫌をうかがうなど、笑止千万である。音楽は淡々と流れている。ソファに放り投げてしまえ。本棚に並べてしまえ。いっそのこと、叩き割ってしまえ。思いつつ、優しく撫でて、ぷるるんと震え、文章が表示されるのを待っている。...

左手の使い方

左手を上手く使うことで、世の中のだいたいの問題が解決する。というわけで左手を使っている。左手に身のまかせる感覚で、どんどん左手を使う。すると左手の方も自分が使われているという自覚を持ってきて、何も言わなくとも動き出す。時としてしゃしゃり出てくることもある。あ、今は右手でいきたいから、お前は引っ込んでろよ、と思うけれど、せっかくでてきた左手の芽を摘みたくはない。かといって右手も使わなすぎるとそのうち...

夏って女がいて、まあ暑苦しい女でいなくなって清々したよ

夏が来る、と、しきりにあせるだす萌香がアイスキャンディーを頬張るので、それをよこせと噛み付いてみる。萌香は怒らず笑っている。アイスキャンディーは気の抜けたサイダーみたいな味がする。風が吹いてきて、めをつぶる。誰もいなくなる。夏らしい高気圧に列島は覆われている。昼間に外に出たら焦げた。ちりちりと煙がたちのぼって、痛みが走る。歩くのも、しゃべるのも、だんだん遅くなっていく。あんまり暑いから、おかあさん...

親指姫に過剰な愛情

親指姫はおしとやかで、見ているとなんだかホッとする。心が落ち着くと言うか、加虐的な欲望がむくむくと立ち上がり、カーテンにくるまってないとたちまち姫を八つ裂きにして塩コショウをふり、ニンニクとショウガのすりおろしで炒めてしまいそうだ。それを白い飯の上に乗せ、掻き込んだら美味いだろうなあ。...

ふつうのせいかつ

あたしはダメな妻、なのになんでしょうこの焦燥感は。ダメな妻にも同じように焦燥感はやってくるんですね。焦燥感に乗り、あたしは華麗にライディングする。向こう岸まで、瞬きひとつで到達するんでしょう。風が額にあたって気持ちいい。...

短編の感想を書いてみました、その3

海と少女と あおすごく読みやすいですね、この改行。かなりの好感度。すいません、わたしのは全く改行ありません。読みにくいですね。盲目だったのかと意外性もあり、結末もしっくりくる。ということで幸せな結末です。空っぽの鼻 霧野楢人鼻に対するコンプレックスを浄化させてくれました。週末、外科へ行こう、というフレーズはとても印象的で、女の子との関係性はなんら人生において影響を及ぼさないって言われているよう。全体...

はしたない

頭のかたい年寄りが近づいてきた。なにやら怒っているようだ。私の破れたジーンズを指差している。はしたないとでもいうつもりだろうか。これはあくまでもファッションなのだと迎え撃とうか。年よりは顔を赤らめて言う、パンツが見えとるがそれは見てよいのだな?たしかに破れたジーンズからはその下の下着が覗いている。けれどこれは見せてもよい、それ用の下着なのでわたしは、可、と答えた。するとすぐさまジーンズの破れた部分...

うっとうしい蝿が数匹俺の回りを飛んでいる。手で払ってもかまわず群がる。俺が何か妙な臭いを振り撒いているのかしらんと不安になる。これから女に会うのだ、会って飯を食い、かなりの確率でセックスをするのだ。なにか得たいの知れぬ臭いがしたら女の性欲が萎えてしまうではないか。俺だって女からそんな臭いがしたら萎える。だいたい蝿に気をとられて愛撫もろくにできやしない。ひとまず蝿を叩き落としてピンセットでつまみ、ビ...

短編の感想を書いてみました、その2

愛の協奏 かおり現代詩ですねえ。吸い殻の件なんか生々しいのに綺麗で好きですね。前半の勢いから、後半に差し掛かり結末へむかうと、やや半端な印象に変わります。予定調和的と言うか。タイトルとあわせ、そこが正直すぎたかな、とわたしは思います。面汚しの佳人、絹のための強盗 豆一目なんだかぞくぞくと怖いですね。髪に異様な終着を持つ人の独白と思わせつつ、憧れを自分勝手に解釈し、行動する女の強さでしょうか。良くも悪...

あしおとが棲む

魔法使いの足音が聞こえてきてて、たまらず振り返ったのだ。そこに魔法使いがいて、こちらの顔色をうかがうような顔をしている。へりくだり過ぎて逆に失礼じゃ、と怒鳴りたい。だいたい、魔法使いが足音をたてていいのかしらん。少々魔法使いとしての自覚が足らんのと違います?その帽子は何?何で魔法使いがベレー帽やねん、黒っぽいとんがり帽子が定番でしょうが。煙管もあかん、物々しい杖を持ちなさい杖を。でもそういえば一言...

短編の感想を書いてみました、その1

感想書いてみました。1海月の話 末真飲み込んだのが海月だったと言うちょっとした驚きに引っぱられていきますね。ただの妄想を綴っただけだとしても、きわめて冷静な視点なので、おかしみがふつふつと湧いてくるのです。結末もさわやかで好きですね。紙芝居 アンタわたしなんかは一人称の移り変わりがぐっときますね。それぞれのお話も魅力的で気になりますし、まっしろの紙芝居ってそれだけで絵になるふらふらあるくそれ 藤舟ゾ...

突然!

突然、老婆が目を閉じた。唇を突き出している。頬がかすかに赤い。ニコフはもぞもぞと胸がざわつくのを感じた。さっきまでの当たり障りのない会話はなんだったのだ。ニコフは混乱した。同時に欲望がむくむく隆起する。突然、ニコフはつり下げてある斧を手に取った。乱暴に動いたことで老婆は目を開ける。老婆の目に、ニコフが斧を持っているのが映る。老婆はうなずいた。ニコフは斧を振り上げる。老婆はふたたび目を閉じる。やはり...

まよなかのこなつ

こなつの額に汗が吹き出る。エアコンは壊れてしまった。もう真夜中だというのに気温は上昇しつつある。これ以上我慢できない。というわけで一枚、また一枚と服を脱いでいく。隣には子どもが寝息を立てている。その隣で夫がやはり寝苦しそう。けれどとりあえず眠っている。こなつはもう下着姿。なのにまだ身体の芯から熱がわき起こる。なんなおだ夏、大嫌いだ。私は冬生まれだ。冬が何よりも好きだ。そう考えながら下着を外す。もう...

嘘をつく人を好きになったら、嘘をつかれることもまた楽し。というわけで嘘をつかれている。虎が隣の部屋にいるらしい。時々がるると吠えるらしい。獣の匂いが漂ってくる。今はごく静かである。虎の気配はまるでない。おそらく眠っているのだろうと言う。嘘だ、とわたしは思ったがそれは言わない約束をしている。以前に言ってしまって大げんかになったことがあった。無用な争いは避けるべき。真実なんてどうでもいいじゃないか。隣...

雨にも負けず

なめくじが攻めてきた。巨大なサイズというわけではない。どう猛で威勢がいいわけではない。まとわりついてきて離れないわけではない。ゆっくりとゆっくりとむかってくる。厳密にいえば別に攻めてきていない。ただいつものように無目的に蠢いているだけだ。つまりただのなめくじだ。それをそっと見守っている。うねうねがテカっていて綺麗。なめくじを四六時中眺め、一日ニ玄米四合ト、味噌ト少シノ野菜ヲタベ、ホメラレモセズ、ク...

みずうみとみみずは

みずうみとみみずはよくにている。違いなど数えるほどしかないのに共通点はやまほどある。ほとんど同じものだと見なして差し支えない。けれどもみみずにはみみずの考え方があって、みずうみにはみずうみの考え方がある。みみずが暑いからといってみずうみもあついとはかぎらない。むしろみずうみは寒いといいだすかもしれない。みずうみに浮かんで空を見上げるとみみずみたいな雲がひょろろんろんと流れていった。みずうみに波がた...

るつぼ2

悲しみはやがて憎しみの魔物に変貌を遂げ、唸り声をあげながら突進してくる。心は優しいんだけどねえ、ささいなきっかけで人は変わるのね、変わってしまったあなたを愛することはできません。金輪際近づかないで。半径10メートル以内に入ってきたら通報するから。迷惑防止条例により、罰金2000万をふんだくるんだから、覚えといて。すると魔物はふんがふんがと鼻息荒く、卑猥な言葉を羅列して、猥褻物も惜しみなく露出。危険...

5・7・5・7・7

継母が結んだ紐を解くように笑顔をむけた通夜の食卓...

るつぼ

大事なことほどわすれてしまう。病にかかった。これは厄介だと気づいたがどうすることもできない。なにしろ、気づいたことも忘れてしまうのだ。全く始末に負えない。一歩あるく度に前のことを忘れる勢いなので、そのうち全部忘れてしまうのではないかと心配している。ただまあ全部忘れたら、それはそれで気楽になれるかもしれない。責任も義務も、権利もトントン忘れていく。みるみるうちに痩せほそって、体はしぼんで、色を失う。...

5・7・5・7・7

目を腫らす三十路がひとり、傘のない駅で降り出す前のざわざわ...

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Author:なゆら06
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