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あらゆる所に蜘蛛の巣が

手桶を傾けてかけ湯する、その中に蜘蛛の巣だ。当然濡れてしまいぽつぽつ水滴。破れることのない強靭さと、伸び縮みする伸縮性、蜘蛛の巣の質は俺が保証する、と見上げれば天井に蜘蛛男のしたり顔。やれやれ、とあたしは蜘蛛男に熱いシャワーをかけてひるんだところで平手打ち。...

電球が灯ると笑う

スイッチを押す。すると電灯に灯が灯る。いや、電灯が灯る、でいいのか。あるいは、灯る、でいいのか。まあどうでもいいや。ともあれ部屋は明るくなった。小説も読める。新聞も読める。参考書を読んでもいい。取扱説明書も捨てがたい。じっくり選ぼう。その前に飲み物だ。まだ肌寒いから暖かい飲み物がいい。ならホットミルクが適当だ。ミルクパンで温める必要はない。レンジで40秒でいい。温めすぎてもいけない。人肌がベターと...

風呂に浮かべるは家鴨の玩具

鳴くわけがない。だから油断していたのだ。目を閉じて今日を振り返っていた。コーヒーを契約書にこぼしてしまった替芯を買わなくちゃいけない浅井さんはあい変わらずきれいだったなあ昼ご飯のきつねうどんはもう飽きた机の上のほこりが目立つようになった明日は少し早く会社に出てから拭きしよう。ふたたび浅井さんの笑顔を思い浮かべた時だ。家鴨が鳴いたのだ。生きているやつでなく、風呂用の玩具であるはずなのに、家鴨は鳴いた...

植物の成長

伸びる。茎を張り巡らせて届く。太陽の国へようこそ。散々踊った後だ。散々憤った後だ。太陽の国ではまだ下働き時代。大人になるにはまだ早い。煙草に火をつける。煙が立ち上る。逃亡の合図だ。馬に乗るもの。亀に乗るもの。歩くもの。走るもの。様々な方法で散っていく。蜘蛛の子はまだか。まだ俺の身体にまとわりついて離れないのか。蜘蛛の子は笑う。叫ぶ。やがて泣く。植物は受け止める。度量をもっている。何も言わず、聞いて...

日常、あるいはトランペット

日常が迫りくる。身体に当たって痛い。遺体は捨てた。海に沈めたからしばらくは発見されないだろう。日常は迫りくる。タイムカードを押す。オレンジジュースをくむ。できるだけ笑顔で接する。お客様は神様です。言われた通りにすれば問題ない。けれど思い通りに動かない。暑さ寒さも彼岸まで。夜がまたくる。夜は嫌いだ。朝も嫌いだ。夕暮れがかろうじて好きだけど。そんなことは誰にも言わない。遺体が浮かんでくる。お風呂に入れ...

海へ出るつもりじゃなかった

海に出るつもりじゃなかった。目的もなく飛び出したのだ、トランクひとつだけで逃げ出そうよラナウェー、と言われたので。直接いわれたわけではないけど、彼の歌をきいて、決めた。別にうまくもない、下手でもない、特徴のあまりない、平凡な声でうたっていた。低くもなく、高くもない、しわがれてもいない、リズムはぐだぐだで、時々なんか歯がゆくなる。けれど、旅に出ようと思った。それがすべてじゃないか。トランクに荷物をつ...

Appleの限界

そもそも、とりんごは語り出す。甘みを求められても限界があるってもんだ。本来、山の中腹になっていた時代のおいらは酸っぱく、甘みなんてほとんどなかったんだ。それを品種改良の名の下に、糖分を注射されては火にかけて、それを繰り返すことで、甘みを持ったりんごを創り出しているんだ。これは工場生産だよ。工場長は無口ないい人だけど、長を名乗るには少々頼りない。彼も本当はこんなことしたくないって言ってたよ。りんごの...

ねむい

寝ても覚めても眠い。この眠さがどこから来るのかわからないので寝た。めんどくさいことは考え出すときりがないし、ますます眠くなるのだから仕方ない。寝て起きたらなにか閃くかもしれぬ。されど寝ている最中も眠たくてたまらず、ふわあ、と声をあげた。目を閉じて、俺はいまたしかに寝ているはずである。ほら夢だって見ている。ほら貝を吹きながら愛撫され、ほら貝の音が震えている女の子が現実に存在するとは思えない。つまり夢...

空を食う

広告チラシで折った紙ヒコーキは舞い上がって消えた。どこに行ったの、ねえ、どこに?と目で追うものの、風は強く、竜巻が発生しており、渦巻きを描いて舞い上がっていくみるみる、うちに紙ヒコーキは空の一部と化し、粉々になって降ってくる。口を開けて待っている。紙ヒコーキを食うのだ。そのものを食うわけではない。概念を、粉々になった紙ヒコーキのその概念にかじりつくのだ。カリッという乾いた音はしない。じわっという肉...

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