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文学

「言葉はそこになかった」春子さんは言う。「文字が貝殻の下から首を出した」「にゅっ、と?」「にゅ、と」いってため息をつく。どうしてそっちがため息をつくのだろう、つきたいのはこちらだ。「文字は首を出して何をみたんでしょう?」「雪国」「なるほど、それは実に叙情的だ」「ほんとう?」「しかし、言葉がなければ文字が産まれることもなかったでしょう」僕はそういわざるを得ない。どんなに説明しても納得してくれそうにな...

音楽、ROCK

「アメリカで育ったの」「そうかもしれませんね」思わず応えたが、ほとんど思いつきに違いない。「アメリカ人の広い胸に抱かれて育ったの」「育ったのは確かでしょう」「きっとアメリカ人おばあのカントリーマアムを食べたのでしょう」「そうかもしれませんね」と二度目。春子さんはカルピスサイダーをひとくち。白濁した液体に泡。「誰しもがでかい音で音楽をならしたい」「でかい音」「だからアメリカ人の広い胸」「イギリスでは...

ウィスキーはモルト・グレーン

「オン・ザ・ロック」「で、ご注文は?」「だから、オン・ザ・ロック」「というと?」「オン・ザ・ロックだよ、あのオン・ザ・ロック」「どのオン・ザ・ロックですかいの?」「あれ、知らないのオン・ザ・ロック?」「知ってますよ、でどのオン・ザ・ロックなんですか?」「え、種類ってあったっけ、じゃあ、北海道ので」「ああ、今はそっちはありませんねえ」「あ、ないの?じゃあどこのならあるの?」「ビスコのなら」「ビスコの...

卵の君

黄身と白身をわけること。これを怠るものは雷に撃たれて骨が透けて見えろ。白身は咲に飯にまぶし、カサカサとごきぶりの出現のごとくかき混ぜるべし。泡立ってきたらストップ、オーケー、ここに醤油をたらすだけで十分なうまさだが、焦ってはいけない。完璧を求める俺、白石。黄身の起用方法を巡ってオーナー側ともめている。のぞむところだ、黄身は破かずに飯にのせよう、そっと恋人を抱きよせるように、その上にたらすのがきざみ...

ちいさな恋の

恋をしたら明るくなった?馬鹿野郎、お前は相当な馬鹿野郎だ。俺が教えてやる。恋をしても明るくはならない。むしろ逆だ。恋は病、悶々と思い悩むのが恋。そりゃ成就すりゃあ、悩むこともなくなるだろう、けれどもただ恋をしただけの状態であれば、その後、どうしようもない思いをふらふらになりながら積み重ねていくのが恋。それを理解しておく必要があるってこと。そんなことならもう恋なんてしないなんて、いわないよ絶対。言わ...

概略

ひとしは18人いる。この世にいるひとしの数を数えてみればちょうど18になる。歳はそれぞれ違うから、順番に死ぬ。一人死ねば一人生まれる。世の中にいるひとしの数は変わらない。たまに事故に遭う。予定できないことだからそうなったら厄介だ。世の中のひとしが足りなくなる。急に作ろうと思って作れるものではない。ひとしも当然、人間である。しかるべき手段で、ひとしを発生させなくてはならない。だからひとしは集まる。委...

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なゆら06

Author:なゆら06
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