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煎餅を噛む守衛を震源地として

ゴールデンウィーク、祖父母の家に親戚が集まり騒いだその帰り、私が運転する自動車が踏み切りを横切った先に少し規模の大きい町工場があって、その入り口に休暇中の工場を守る守衛がいる。守衛になるべくして生まれたような守衛らしい顔でどかと座っている。そして守衛は、そのちいさな守衛室の中で、時々、外に目をやる。外では、守衛のことなどお構いなしに泣いたり笑ったりしている。守衛のことなどお構いなしに。私が、町工場の前を通り過ぎるほんひととき、守衛は私のほうを見、ふと溜息をつく。私もずいぶん愉快に騒ぎ笑った帰りである。それから熱いほうじ茶を煎れ、とうに見飽きたナイター中継に仕方なくチャンネルを合わせ、長い夜を過ごす。明日も明後日もその次も。ナイターの忙しない実況と、守衛が丹念に噛み砕くせんべいの、乾いたバリバリという音しか聞こえぬ町工場で、守衛はたつたひとり、地が震え、ビルが崩壊し、混乱した人間が逃げ惑う様を想像する。
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