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虹/さよならストレンジャー


不完全の果実はかくも美味い。虹のイントロが鳴り出せば、はたと止まってしまう思考、ギターの轟音とまだ複雑でなくごくシンプルなベース、ドラム、こみ上げてくるものが、涙であるのか、胃液を含んだ溶けかけのいちじくかなにかか、はあなた次第です。丘の向こうから?と歌いだし、思考はゆるいカーブを描いて大きなビルの影にじりじりと歩み寄る。大きなビルの裏には、さらにたくさんの高いビルがあり、その奥行きにおおいに戦く。静寂が耳を覆っているが、静寂を装った激情であるということが、ぼんやりと記憶に残っている。仮面をかぶっているのはかげろう、夕暮れ僕のあとをつけてくるかげろう、ひとすじの汗がほほからあごに伝い流れ、とがったあごの最下部に達したとき、空で静寂が破られる。汗は程よく乾いている土に向かって下降し、吸い込まれる、音から逃げ惑うために深く!もぐりこんで再び光を浴びないように深く!雨が随分長い間降っていないと思い出す。だから汗はぐんぐんとしみこんでいく。わき目もふらずに自らを浸透力の塊としてしみこんでいく。やがて、水分としては機能を失った涙が、その耳で、思いがけず聞こえてきたちいさな音楽、いやそのかすかな振動は、静寂よりも静寂で孤独をかみ締めている。その頃、汗を失ったことで、ずいぶん軽くなった僕は轟音の中にいて、風景を目に焼き付けようと必死。なぜなら、風景など瞬きごとに死んで生まれ、それを繰り返している。霧みたいに細かい雨が降っている空に、浮かんだ風船が高く、こちらを見下ろしている原風景だった。
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