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まぐろ その15(家政婦は見た編)

「その15(家政婦は見た編)」


奥様には絶対に入ってはいけないといわれた。
私だっていわばプロフェッショナル、禁止されたことを厳守することが何よりも大切だって知っている。だから今回も守ろうとした。しかしこれは不可抗力、どうしようもなかった。入ることはおろか近づいてもいけない、奥様はふんふん鼻を膨らませてそう言った。あの顔で迫ってこられたらたまったものではない。それは分かっている。だから守り通すつもりだった。それがなぜ。
すべては、偶然の産物だ。偶然が偶然を呼び。必然さえも呼び、そこに意図が生じ、つまり私はあんなにも禁止された部屋への進入をほんの数秒で判断し、やり遂げたのだ。障子を開いた。いやむしろ開けたかった。これは限界への56歳うお座東村憲子の挑戦である。
私はしかし、扉を開けてしまった。後戻りはできない。
中にいたマグロがこっちをむいた。時価にして300万はするであろう立派な黒マグロであった。
私は「家政婦だけど、旅に出ます」という置手紙を残し家を飛び出した。未だ見ぬ土地で蕎麦でも打ちながらのんびりと暮らそう。そう思った。後ろから、けーん、と鳴き声のようなものが聞こえた。
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