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まぐろ その16(夏祭り編)

「まぐろ その16(夏祭り編)」


焼きトウモロコシのこうばしい匂い。しゃんしゃんと祭囃子が遠くから。
浴衣姿の人々は、ゆっくりとした速度で右へ左へ、りんご飴片手によそ見する女の子の瞳がとらえたのはマグロであった。
金魚すくいの露店をマグロは出していた。何人かマグロの金魚すくい屋にて金魚をすくっていたが、子どもも大人も、金魚などまるで頭に入ってはいなかった。
無理もない時価にして300万はするであろう立派な黒マグロである。
金魚をすくいながらマグロを見てはよだれを流した。金魚は若干粘り気が増した水の中でほんの少し泳ぎにくそうに泳いでいた。
りんご飴の女の子がマグロの金魚すくい屋で金魚をすくうことにした。あからさまにマグロを直視しながら金魚をすくった。
女の子しかし次第に金魚すくい自体にのめりこみ始めた。幼い頃というのはそういった、移り気を持っている。それを余すことなく使い切ってりんご飴の女の子は金魚すくいにのめりこんだ。
マグロは自分から関心がそれたことが気に入らなかったのか、女の子が追いかけていた金魚を手でつかみ、そのまま口に放り込んだ。祭りの喧騒が一瞬途絶えた。遠くでまだ祭囃子は鳴っている。マグロはかまわずもう一匹掴み取って口に、放り込みむしゃむしゃと咀嚼した。
花火が夜空に咲いてどーんと地響き逞しく。
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