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まぐろ その21(試験官編)

「まぐろ その21(試験官編)」

鐘が鳴る。
試験の開始であった威勢のよい試験用紙、問題文をひっくり返し、その問題に挑もうとする受験生もいた。しかし。

しかし、すぐに集中は途切れる。
そんなもの見ている場合ではないとわかっているのに、視線はそちらに向かってしまう。なぜならマグロが試験官だったからで、マグロは眼鏡をかけてなにやら難しそうな書物を手に、教室の前に座っている。インテリなマグロなのだろう。問題はそのマグロが立派な肉体を持っていたと言うことだ。マグロを見るたびに、歯ごたえのある刺身の味が奥歯で感じられた。前に座っているだけで、味が想像できるたくましさは受験生の強みでもあった。
カンニングしようものなら飛んできて、その鼻の頭にあるツノでつつかれそうだった。よだれは受験生の口からだらだらと零れ落ちた。教室の床は残念ながらよだれまみれになり、動くこともままならぬ、カリカリと言う鉛筆を走らせる音は、よだれのだらだらノ前で無力であった。所詮マグロ、インド洋あたりでみつけたやつらだからとやり過ごそうとした。できなかった。マグロは実に旨そうであった。マグロは食われに来たわけでなく、戯れに来たのであった。つややかに笑った。その様は妖艶で、一斉に唾を飲み込む音が試験終了のチャイムを凌駕す。
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