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後半で机ひっくり返す

一徹はなかなかひっくり返さない。いつもであればすでに二度目のひっくり返しにでも入っているところであったが、今日はその動きすらない、疲れているのか、と視聴者の誰もが思っていた。考えれば一徹もとしである。もう、還暦はおろか、プラスα小学生になってしまうよ、ぐらいの年月を重ねた。幸せな人生であった。息子は読売ジャイアンツでスターとして活躍している。今も尚新たな魔球を開発し、それはもはや一徹の力が及ばない遠い所ではあったが、たまに家に帰ってくる息子はいつも父を敬ってくれた。それで満足だった。ダカラこの辺で、一徹はそろそろ引退の二文字を意識し始めていた。もう、見事にひっくり返せませんよ、と関係者には漏らしていた。しかし、視聴者からの期待は高まる一方、逆にそこまで引っぱるからにはとんでもないひっくり返し方をするんだろう的な期待。そして番組の後半、一徹は好物のかにクリームコロッケを食べていた。熱々であり、非常にうまかった。家族はそろっていた。息子も突然帰ってきた。ひっくり返さないから心配して自家用ヘリでかけつけたのだ。無言であった。誰も、はやくやっておしまい、と思っていた。一徹、まず箸を投げた、ばかやろーと低くつぶやいた。俺の、精一杯のパフォーマンスを目に焼き付けておきやがれ、視聴者には聞こえなかっただろう、それぐらい小さかった。一徹はうりょーと叫んだ、ちゃぶ台は重い、かあちゃんの声が聞こえるはずだった。あなたやめて!と止めに入るはずだったのに、かあちゃんは見守っている、さあやっておしまい、とその目は語っていた。一徹、うりょーともういちど叫ぶ、ちゃぶ台はまだひっくりかえりません。一徹の肩を支えて息子が手伝い始めた。うりょー、まだまだひっくり返りません。一徹を支える息子を姉が支えます。うりょー、まだまだひっくり返りません。見かねた母ちゃんがそのうしろを支えます。うりょー、ちゃぶ台は動く気配さえ見せません。飼い猫のミケがそのあとを、通りかかった長島茂雄がそのあとを支えて、うりょー!うりょー!うりょー!すっころこーん、ちゃぶ台はみごとにひっくり返りましたと。めでたしめでたし。
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