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火使わぬ部屋用打ち上げ花火

職人は涙した。なぜなら科学者が火を使わないと言い切ったから。花火に火を使わないなんて、ぼたもちにもち米を使わないようなもんだ。火の文字がその名前に入っているということはそれが前提になるわけで、それを使わないことには一歩も進めませんがな、てなもんや。涙したわけであるが、職人は悲しいわけではなかった。知っているのだ、もう、自分のスタイルは時代遅れのおんぼろだから、時代遅れのおんぼろやから。火を使わない新しいスタイルの花火、未来にいるような気がした。気のせいだ。職人はいったん涙を見せて、すぐに立ち上がり、その詳しい説明を、科学者に求めた。科学者はそれきなさったといわんばかりに笑みをたたえて、しゃべりはじめた。部屋用なんです、これが売り、各家庭の各部屋でどんどん打ち上げればいいさ、どんどん。そうすれば俺はもうかってけつかる。とてももうかってけつかる。儲かってけつかるけど、確かに、職人の涙を見るとこころがほんの少し痛む。ちくりとさすような切なし痛み。
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