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産直店のみそ、クマが食う

飽きていたのだ、ハチミツの甘ったるさに。鮭のただ塩辛い生臭さに。飢えていた。違う味、違う味、と夜な夜な歩き回った。地下鉄の駅、公園の隅、そんなとこにあるはずもないのに。仕方なく持ってきた鮭をかじる。いつもの味だ。これしかないのか俺にはこれしかないのか、なんて人生だ。クマは嘆いた。嘆いてみて、そうすれば何か奇跡が起こるかもしれないと考えて嘆いてみた。まるで何も起こらない、神は我を見捨てたもう、クマは叫んだ。その叫び声が天を貫いた。ずどんと稲光が返ってきた。少し送れて雨が降ってきた。とても強い雨脚でクマはあやうく窒息死してしまいそうになった。クマがここにいては危険だと判断し、ちょうど建物があったのでそこに跳びこんだ。いつもならクマがきたぞ、なんて叫び声がして人間は一目散にすたこらさっさ。なのに今日は人間の声も逃げていく音も聞こえない。クマはいつもと勝手が違うので少々面食らったまま奥に進んだ。店はみそやで様々な味のみそが所狭しと並べてあった。クマはその黒光りする、茶色い物体に心を奪われた。それは一見地味で妙な匂いがしているが、ひとたび舐めたなら、まあたいへんこんな美味しいものがこの世にあったんですね、と思わずつぶやいてしまうほどであった。クマはうなづいた。見つけたこれは魔法の食べ物だ、そうに違いない。クマは通うことにした。週3で通うことにした。
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