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hanazono

「春子はね、本当はTさんが好きなんだよ」と春子は言った。私はそうきたかと思いながら、とても驚いた風に目を見開く。どういうこと?と聞いてみる。「みんなは、OくんとかHくんとか男の子がすきなんでしょていうんだけど、ぜんぜん好きじゃなくて、春子が好きなのはTさんだけなの」Tさんは女の子なので、何か秘密めいている。だって、高校生の話題といえば、お洒落のこととか、好きなバンドのこととか、俳優のこととか、後は恋愛のことだから、その大きな割合を占める恋愛話が最も盛り上がるわけだし、だから当然暇さえあれば恋愛話をするのだし、そこでいかに注目を集めるような、驚くべき話題を提供できるかがひとつのポイントだった。張り合って過激な話題、それが事実であろうがなかろうが関係ないその場で盛りあがれば何でもありだった、をみんなが出し合った。次第にネタなど尽きてくる。そうなると必ず、まだタブーとされた同性愛へと流れていくのが通常だった。そのセオリーとも言うべき告白を私は半ば本気で信じて聞かなければならない。それが礼儀なのだ。本気でその思いを聞いて、本気で心配でもする、そして今後の様々な困難が待ち受けてあろう世の中を嘆き、あたしだけは何があっても友だちでいるからね、という締めくくりまでノンストップで切り抜けた。やれやれと二つ隣のクラスの春子と別れ、席に着いた私は、何か興奮していた。いやすべて分かっているこれは春子のリップサービスなんだ、と分かっているのにどうしてか、うずうずする心が、胸の奥が、ぞくぞく、風邪でもひいたのかしら、なんて思ったりしたが、どうにもおさまらない。もしやこの気持ちいやいやあたし何をいってんの、なんて何度も自問自答する。授業が始まる。数学の小林が教室に入ってくる、分厚い眼鏡をずり落ちそうなその眼鏡を拭いて授業を始めるいつもの風景。でもあたしは、何か違って見えた。心の奥で春子やら、Tさんがあやしく絡み合う姿、なんなのあたし開いてしまった、秘密のページ、そこに描いてあるのはうふふ。
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