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見世物小屋

見てらっしゃい寄ってらっしゃいお兄さん、林檎のように顔赤らめちゃいなお姉さん、こんなものははじめてだ、誰も見たことがないものを見る気はあるかい、見る覚悟はあるかい?見てしまったが最後、もうしらふにゃあ戻れねえ、明日からの生活がとんでもなく新鮮になるこたあ、あたしが保障するね。騙されたと思って一度だけ払う価値はあるだろうよ。人に言いたくなるだろうよ、そうやって伝わってどんどん広がっていくだろうよ、一番に見ておきたいのが江戸っ子じゃい。いの一番に見てないなんて粋じゃないねえ、まるで。さあさ、はじまるよ、まもなくはじまるよ、世にも奇妙な鳥女、オンステージがはじまるよ。今なら若干席が空いている、ほとんど満席だが、若干良い席が空いている。こんな良い席はめったにないよ。よし!話の種にひとつ見ていこうとするか、なあはっちゃん。なに、お前これ見るの?なんか怪しいよ、だから騙されたと思えばいいじゃねえか、騙されにいくんだよつまり。わざわざ騙されに?そうそう、そういうゆとりが現代には足りない、それを取り戻すべく俺らはこれをみなければいけない。大げさだねえ、お前現代のゆとりまで行っちゃったよ、まあ、いいけどさ。よし、入るぜ。ありがとうございます、お二人で2000円でございます。また、高けえな、ひとり1000円かよ、いいもんが食えるじゃねえか。何言ってるんだ現代のゆとりを思えば安いもんじゃねえか、ほらよ2000円。ではまっすぐ奥へどうぞ、まっすぐ奥へ。やけにくれえなあ、何にも見えやしねえし、足元もゆらゆらしてやがる、あぶねえよこんなの。雰囲気があるじゃねえか、いいなドキドキしてきたよおらぁ。とのことで、細く暗い道を奥のほうに進みますと、ぽっかりとあいた空間に出ました。なんだかやけににぎわっていて、鳥女の登場を今か今かと待ちわびている観客の様子がわかります。誰もかれも鳥女などというものがこの世に存在していないだろうことは分かっている。だけど、ほんの少しだけもしかしたらもしかしたら鳥の顔を持った女がいるのではないかと思っている。恥ずかしいから誰も口には出さないけれど。鳥女は言葉をしゃべれるのかとか、鳥の頭と体の境界線はどうなっているのかとか、創造を膨らませては期待に胸を躍らせている。かくして待ちわびる観客、ふと、音楽が変わり、妖艶なムードが漂い始める、証明はいっそう落とされて、新月の夜を思わせる。何か黒い影がささささっと舞台の中央にかけていったかと思うとスポットライトがあたる。なんのことはないただの女で、はやくもみんな落胆しちまって、野次でも飛ばそうってなもんだ。やいやい言ってると、そのスポットライトが広がっていって女の全身を照らした、何の事はない普通の体で、ただし着物は着ていない。裸だったわけだ。それほど美人でもねえし、かといって不細工でもねえ、見たくねえってわけじゃないけれど、別段見たくもねえ、なんか中途半端な気分になって、しかし、女の足元にうごめくものがあって、それがね、気持ち悪いじゃねえか、蛇みたいなもんがいるんだよ、いや、蛇だったらまだいいよ、よく見てみるとそれがね、どうやら巨大な長いミミズなんだ、それを見た客がしんとなっちまって、まったくしんとなっちまって、まるで通夜じゃねえか、なんつって、思ったんだけど、得体の知れねえ怖さ、気持ち悪さがうずうずと沸き起こってきた。ミミズは一匹や二匹じゃねえ、何百匹もいる、うごめいていて水の流れのようにぬらぬらしてやがる。静まり返ったまま、女はなんと変な踊りを踊り始めた、音楽に合わせて腰をくねくね、手足をくねくね、だたゆらゆら揺らしているだけにも見えるけど、よく観察していると、どうやらひとつの規則に沿って動かしているような、思い出したんだが、それが鶏なんだよ、にわとり、にわとりが餌を求めてあっちらこっちら歩いているさまにそっくりなんだ。見れば見るほどにてやがる。これは技術だな。いやこの鶏の歩く物まねを見れただけで価値はあると思うよ。でも、そこからがはいまりだったんだ。女は、あるところで動きをやめると、一瞬で下でうごめいているミミズに噛みつきやがった。怖かったねえ、あれは、この世の終わりかと思った。巨大ミミズの踊り食いなんて、気持ち悪いじゃねえか。まったく。そっちをうたい文句にすればいいのに、て俺なんかは思ったね。生のミミズに噛み付く勇気って相当なもんだぜ、それをいとも簡単にやってのける女はすごいって言うか恐ろしい。いやいや、俺にはまねできねえまったく。とか言ってるうちにうごめくミミズを女は踏み潰していく。ぬちゃぬちゃと足の裏に引っ付くミミズの体液の気持ち悪い音。
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