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最年少エベレスト

エベレストにもいろいろあって、年のまだ若いエベレストは、遠慮がちにこちらをうかがっているので、餃子でも投げてやると、いそいでそれを拾いにいって、自分の巣へもって帰る。その姿はとても微笑ましい。とても険しいあのエベレストになるなどとは思えない。純朴な田舎の青年そのものである。若いエベレストを好むマニアもいて、彼や彼女らはエベレストを側においてかわいがる。ペットのような存在として。エベレストはまだ従順であり、大自然の営みを見せず静かに穏やかに部屋の隅に座っている。休日などはエベレストをつれて、ドライブに出かける。四国に行って、うどんを食べ、帰ってくる。エベレストもあらゆるものに興味津々で走り回って喜ぶ。やがてエベレストも恋をする。エベレストが恋する相手は様々であるが、やはり山だけあり、無生物で或ることが多い。如雨露や石、雲や太陽、ビックリマンシールとったものまで。エベレストの恋が結ばれることはまれだ。たいていの場合エベレストは無視され(無生物だから仕方のないことが)、傷つき、もう恋なんてしないと思い、また恋をする。繰り返す。懲りない所が良い所であり悪い所である。そんな所も含めてマニアはエベレストを愛しているのだ。巣立つ時は身を引き裂かれる思いだと言う。エベレストは年を重ねてエベレストとして君臨するのであるが、そのころにいかなるマニアであろうと、いかなる富豪であろうと、ローマ法王であろうと、側に置くことはできない。エベレストはエベレストとしてある場所にいかなければならない。たくましくなったエベレストを送り出す親鳥の気分を存分に味わい、その後ろ姿に涙ぐむ。そして、数年後にすっかり変わってしまったエベレストに足を踏み入れるのだ。おおきくなったね、とつぶやきながら登るのだ。そのなんともいえぬ充実感は何事にも代え難い。
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