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君が素敵だった事、ちょっと思い出してみようかな

(59)

相変わらず季節に敏感にいたい。蝉時雨は割れるように、夏を惜しむように耳を劈く。噴水の水が噴出してくる。わーと、子どもが中で遊んでいる。遠くで見守る日傘の母親の微笑み。噴水の浅く狭い池に蛙が浮かんでいる。かなり大きなその蛙は噴水のあげる水しぶきによって揺れる水面に身を任せて、ただよふ。彼はきっと、大海原に浮かんで眠る夢を見ているに違いない。ベンチに座り、水を飲む。透明な小さい虫が、何匹も何匹も腕に登ってくる。身体が捨て入て、その向うに皮膚がある。つつつつつと歩いて、こそばゆいので、叩いて潰す。潰しても潰しても次から次へと肌へ登ってくる。これはなんという虫だろう。向うのベンチに寝転がり、腹を丸出しにしているホームレスとおぼしき老人。いびきが聞こえる。時々止まる、睡眠時無呼吸症候群である事を確認する。彼のこれからが、幸あるものであることをひとり勝手ながら願う。向うでTVの撮影隊、マイクを持ったリポーターがしゃべりかけるは何万人の傍観者なのか。インタビューを受ける女がしゃべりかけるは何万人の傍観者なのか。ここでは何もかも全てが平等だ。
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