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ひとつめはここじゃどうも息が詰まりそうになった1

(沖縄編7)

老婆は沖縄独特のアクセントで、わたしに花を買え花を買えとしきりにすすめてくる。ひとたば300円だから、ぜひ供えてあげてねー。日差しの強さが早くも皮膚を蝕んで、やがて内部にまで届きそうになったので、わたしは献花するために花を買う。買うんで、供えるんで、どうかお願いします少しでもこの紫外線を押さえてください。

ぽっかりと空いた空間に響いていく修学旅行生のシャッター音。
きっと何枚も何枚もシャッターを押され続けているに違いない。もちろん、それ自体、どうこういうような問題ではない。花を供える。手を合わせる。普段は何も信じていないのに、自分の都合で手を合わせてみたり、拍子を打ってみたり、忙しない日本人である事を受け入れる。すると日差しが途切れる。届いたのか。木や植物が生い茂っている、日差しが届かないところにきた、それだけのこと。蝉が鳴いている。気がする。壕がさらに大きく口を広げる。気がする。戦場へ動員された亡くなった200余名の名前が刻んである。その石に太陽が反射して光っている。

資料館に立ち寄る。数々のパネルの前をゆっくり歩く。壕を復元したものがあるそばにしきりに沖縄の言葉で説明する老婆がいる。ギャラリーはその説明を聞いてうなづいたり、低く唸ったり、ひどい、とつぶやいたりする。ギャラリーが膨らむごとに熱を帯びてくる老婆がいる。この資料館では、当時を知る人が直接そのときの様子を語ってくれる。時々分からない言葉が混じる。でも、その息づかいや、身振り手振りで語っている様子は、わたしを当時に送り込む。戻る。ここまで、資料館の内部にまで、湿った壕の奥まで、響いてくるのは蝉の鳴き声か、傷づいた兵隊さんの悲鳴か、爆弾の爆発する振動か。歌声。「海ゆかば」の少女たちの斉唱が響いてくる。戦場で?爆弾の発着音が響くたびに2本のロウソクの炎が揺れる。ロウソクは少女たちの頬を弱々しく照らしている。戦場で、4日遅れの卒業式が執り行われている。
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