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ふたつめは今宵の月が僕を誘っていること1

(沖縄編10)

風に舞い上がるミニスカート。
色鮮やかな学生さんの肌着が彩りを添える平和祈念公園は、広大な敷地内に様々な記念碑を、沖縄で亡くなった一人ひとりの名前の入った記念碑を、塔を、資料館を、花畑を、それを包み込む広がる海から吹いてくる強い浜風によって、その存在を確かなものにしている。
修学旅行生の群れが、やがて塊になってこちらへうねうねと近づいてくる。笑い声、頭を叩き合ってじゃれる。あんな時代がわたしにもあったのかなあ。あれから僕たちは何かを信じてこれたかなあ。窓をそっと開けてみる、冬の風の匂いがした。しかし学生服多いなあ。記念写真撮ってるなあ、スカート舞い上がりっぱなしやなあ。引率の先生が大声を上げる。「お前らもういくけん!はようこい」「先生忘れ物」「ああ、すまんすまん」てガタイのいい中年教師に女の子が渡すリュックサック。また笑い声。ここがどこかなんて、もうどうでもいいや、だってみんな幸せそうだから。

目のないシーサーがいる。今にも朽ち果てそうなシーサーが。彼には、あるいは彼女には目がない。潮風を受けて、だんだんと削られていったんです。目のないその顔が向けられた方向にあるものは何だろう。まだぎらりと睨み続けている、戦争は終わったというのに。その戦争だってわたしたちがイメージする戦争ではなくて、昔の、呆れるぐらい昔の戦争。夕暮れのスーパーマーケットの前で吸うタバコや、それを見て微笑む愛する君のまなざしも、青すぎる空を飛び交うミサイルも、わけのわからん生物兵器も、核兵器だってない昔の戦争。人が人を憎しみあう前の、誰もが幸福だった頃、それでも、この土地にやってくる脅威があって、それは実際には形のないものかもしれない、漠然とした敵、目のないシーサーが睨むのはそんな敵。守るものがあるから。睨み続ける今も、そして、これからも。

南国の木は水を求めて根を進化させる。絡み合ったまま動かなくなった男女のようにぐるぐるになった根が、学生服の背景で、ゆったりと、でも少しだけ寂しそうにさやさやと、笑っているんです。
もうほんまに風強い。いややわあ。
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コメント

[C100] Unknown

返信遅くなりましたごめんなさいね。

星の王子様、かあ良い言葉ですね。三四郎さんバージョンも良い言葉だと思いますよ。
いいこともわるいことも、本質は同じということなのかもしれませんね。
おおなんか哲学的に高い位置にいる気がする。

そうなんです沖縄はなんというか、ただの楽園じゃないんです。まあ、どこでもただの楽園じゃないんでしょうが。軽やかにしかし重厚な音楽が、がつんがつんと底に響いてくる感じです。

ということで、ひとつの山場はひめゆりだったのですが、もうひとつ、山場としてラストにあります、音楽のくだりがわたしが沖縄で感じ取ってきていろんな人に伝えたかったことです、といっておきましょう。まだ書いてないのですが。
  • 2006-11-30 20:54
  • なゆら
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[C101] 思い出したこと

自分で書いたコメントがどっかで聞いたような、と一日かかって思いだしました。

「ほんとうに大切なものは、目には見えない」

ってこれ「星の王子様」でしたね。ほとんど逆のことを言ってるけど、「目に見えるものはあまり大したことない」ってところは同じかも。
  • 2006-11-28 21:56
  • 三四郎
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  • 編集

[C102] 本当にこわいものは

多分、目には見えない。憎しみであったり、嫉妬であったり、人の不幸を笑う卑しさであったり・・。それらは人の心の中にあるわけだから、目の無いシーサーが何を睨み、何を守るのか。沖縄編はとても寓意的です。

  • 2006-11-27 22:03
  • 三四郎
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