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やさしさも甘いキスもあとから全部ついてくる1

(沖縄編25)

知っていたんだ、兵隊さんは。全部。

旧海軍資料館から旧海軍司令部壕へ。
背の高い、青い目の異国から来た人々、なぜだか、外国人観光客らしき人たちが多い。気のせいではなく。確実に多い。
狭い狭い壕の中、天井につかえそうな頭。日本人が読む説明文の前を、背を丸めて通り過ぎるとき「エクスキューズミー」がいつまで反響する。
立って眠ったという狭い休憩スペースにも、手榴弾で自決した破片が刺さる部屋の壁にも、つるはしで削った跡にも、汗の匂い黴の匂い火薬の匂い血の匂いそういうものが入り混じった複雑な匂いが漂っている。穴という穴から湧き出てくる。

ここ壕の中。

風。その吹いてくるほうへ駆け出して出口、飛び出す兵隊さんは戻ることなく、海へ降りてく。

進撃を10日止めたものども。たつた10日?いや10日も。
肉弾戦。圧倒的な数の違い。武器の違い。鉄の暴風が吹く。迫ってくる壁のように銃弾が吹く。
首里城に星条旗が掲げられた、という知らせを聞いたミノルは壕の中で米兵の笑顔や陽気な笑い声を想像した。それは自分とそれほど違いのないように思えて、首を振る。いいや違う、根本的に違う、俺とあいつらは違う。少し肌寒くなった。こんなにも汗が噴出しているのに。
カタカタと鳴る、信号は外へ、走る。どこに届いているのか、実は知らなかった。自分が何のためにこの業務を行っているのか分からなかった。

兵隊さんが生きて感じて絶望して爆発した印が刻まれている。
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