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やさしさも甘いキスもあとから全部ついてくる2

(沖縄編26)

久しぶりの日差しを浴びるような目元の、墓の上に座る猫を見る。
赤いハイビスカスの花が咲き乱れている。

生まれた場所はゴミ置き場で、父親には結局死ぬまでに出会うことがなかった。母親はいつも不機嫌にし、自分が産んだ子猫に対する興味もほとんどないように街をうろついていた。自分以外に興味がないということは野良猫の中では珍しいことではない。まず、何を置いても生きることに精一杯だからだ。それでも、まったく何もできない赤ん坊の頃には餌を与えられたこともあった。与えられる餌はどれもちいさくて腹を満たすことは、例え子猫であろうと、できなかったし、またほとんどが腐りかけていたため、食べることによって身体に与える害は計り知れないものがあった。しかし、幸運というべきか子猫はすくすくと育った。子猫は愛情というものを知らない。半ば自然に、生きるためにすべてを蹴落とす、そういう考え方を持つようになる。子猫が生まれてから5週間が経つ。当然子猫は、時間の感覚が薄く、ようやく5週間経ったか、ということなど考えるはずがないが、もし仮にその感覚が備わっているとすればこういうに違いない、何とか5週間持たせることができた。それほどに過酷な5週間だった。猫は母親にすら敵とみなされ、攻撃された。

つまりそういう、世の中にあるものなら誰にでもあるような筋が、当然猫にもあって、その一瞬をわたしには見えたというだけ。だって、ここ旧海軍司令部壕。小高い丘の上。
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