FC2ブログ

Entries

棺とじゅうたん

いいかい、あたしはね、棺に入り「とじろ」と命じた。召使いにだ。すると召使いは「そんなことできません」と言った。あたしは召使いを、彼の名前は民子というんだが、民子をぶってやったよ。そんなことであたしの召使いが勤まりますか、ってね。まったく民子は泣き出してね、あたしはだんだん腹が立ってきたんだ。なんだって、あたしが自由にできないんだ、あたしは最後ぐらい自分で決めるって、前々から言ってただろう。諭してやったよ。なかなか言うことを聞かなくてまったがね。最後は民子も渋々、とじたよ。棺をとじると真っ暗闇だ。何も見えない。目は暗闇にすぐになれたけれど、棺はとても狭い、息が苦しい。穴は開いてるんだろうけれど、苦しい。なにせ、生きてる人間の入るモンじゃないからね。そういう設定にしてないんだろうね。意識はなくなってきたんだ、こんな風に終わるなんてちょっと想定してなかったねえ、とあたしは思いながら待っていたよ。やがてあたしの入った棺は動き出した。火葬されるんだろう。上等だ、とあたしは思ったね。焼けるもんなら焼いてみろ、と言ってやったよ。実際ちいさく言ってたんだけど、聞こえないだろう。まわりは騒がしかったし、あたしはちいさくちいさくつぶやいたんだからね。仮に聞こえたとしてもきっと空耳だと思うだろう。そんな風に、あたしは棺の中に入って運ばれていった。青いじゅうたんの上。あたしが好きな色さ。じゅうたんは長く、あたしは揺れで若干気分が悪くなっていたよ。酸欠ってのもあるだろうけど。もうすぐだと思ったさ。
スポンサーサイト



この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://nayura06.blog27.fc2.com/tb.php/2904-cf7097c2

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

なゆら06

Author:なゆら06
FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR