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愛菜ちゃんの右頬にキスしたのだ

そっと、したのだ。気づかれないようにそっと。愛菜ちゃんは眠ったままなのだ。すごく可愛らしくて俺は赤くなったのだ。誰にも見られていないと思うけれど恥ずかしかったのだ。俺が愛菜ちゃんを好きなことはもちろん秘密なのだ。誰も知らないことだ。なんという幸運。俺は愛菜ちゃんが眠っているところに遭遇してしまったのだ。愛菜ちゃんはベンチの上で眠っていたのだ。ぐっすりと眠っていたのだ。寝息をかすかに立てていたのだ。俺はその寝息を静かに聞くだけだと自分に言い聞かせて近づき、最初は聞いているだけだったけれども、俺が愛菜ちゃんを思う気持ちは誰にも負けないという自負からキスをしたくなったのだ。だからこれはもう仕方ない。どうしようもないことなのだ。許してほしいのだ。愛菜ちゃんもきっと事情を知ったら許してくれるのだ。むしろ歓迎よ、と言ってくれるに違いないと俺は思っているのだ。まだ起きない。起きないんじゃなくて本当は起きているけれども、はずかしくて眠ったふりをしているだけだと俺は思うのだ。だからじっと待っていた。愛菜ちゃんがそのぱっちりお目目を開くまでじっとここで待っていた。愛菜ちゃんもう知ってるから大丈夫だよ、俺はまだここにいるよ。さあ目覚めて、正確には目覚めたふりをして驚くがいい。驚いたあとに舌を出して微笑むのだ。照れ隠しをするように、本当は知っていたんでしょ、これは共犯関係よ、という意味を込めた微笑みを。愛菜ちゃんの瞳が細かく痙攣して、開く寸前。今まさに、瞳は開こうとしているのだ。さあその瞳で俺をとらえてくれ。そして、さあ、微笑めばいい。遠慮せずに思い切り微笑めばいい。俺はすべてを受け止めるだろう。愛菜ちゃんの全てを受け入れるだろう。そうさ、その全力のビンタも、照れ隠しだと知っているよ。いくら叫ぼうがここには誰も来ないよ。どんなに声を張り上げようと、聞こえないだろうよ。愛菜ちゃんは俺のものさ。時間はたっぷりあった。愛情もたっぷりあった。他になにが必要だというのだろう。俺はミネラルウォーターを飲むのだ。喉がひどく渇いている。
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