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知らない人に食パンをもらう

目覚めると海があった。知らない。わたしがどうして海のそばにいるのか全く記憶がない。何も思い出せない。落ち着け、とわたしは自分に言い聞かせようとする。自分に。自分、名前は、知らない。思い出せない。自分の名前も思い出せないということは俗に言うあれだろうか。あれだ。なんという名前だったか、それも忘れた。よく言うじゃないか、よくドラマになっているじゃないか。記憶がなくなる症状だ。一時的な症状だ。なにかのきっかけで突然思い出して、ハッピーエンドになるようなドラマをわたしは見たことがある。なんと言うタイトルだったか忘れてしまった。今はどうでもいい。わたしの名前だ。そして住んでいるところなどすべてを思い出さないと。わたしは海の近くに住んでいたのではない、とはわかる。これは確実だ。だって子の潮の匂いがたまらない。大嫌いだからだ。べたべたと髪が額にくっついている。もうしおまみれになってしまったようだ。きっとここで昨晩から眠っていたのだろう。汗はあまりかいていない。気温はちょうどいいぐらい。少し冷たい潮風が心地よい。喉が渇いているので水を飲みたい。わたしは立ち上がった。とりあえず落ち着くために水でも飲もうと思ったのだ。浜辺があるので、水道がどこか近くにあるだろう。わたしはそのあたりをうろうろとして、水道の蛇口を探した。すぐに見つかると思っていたが、なかなかどうして蛇口は見つかりません。なんでもいい、蛇口であれば何でも。シャワー用のでもいい、飲んで死にはしないだろうと思う。日本の水道技術の粋の見せてやれという気分だ。ふらふらしていたわたしは第一村人に遭遇した。初老の女性で、わたしをじっと見ている。連れているのは犬だ。犬は茶色の毛に白のブチが入っており愛くるしい。女性はさぞ、その犬を愛しているのだろう。不審者であるわたしを見て犬を自分のうしろに隠した。わたしが食べるとでも思ったのだろうか。おろかな、わたしは鼻で笑いながら女性にこの近くに水道はないか聞いてみた。女性は何も言わずあとずさりをして逃げていく。愚かな。まったくわたしをそんなにこわがって何の意味があるというのか。わたしは仕方なくまた歩き出した。水道はありそうにない。もし、と声がうしろから聞こえたので振り返ってみた。先ほどの女性が立っていた。犬はいない。なんだろう、とわたしが不審に思っていると、女性は食パンを差し出した。どういう意味なのか図りかねるが、わたしはそれを受け取った。紳士であれば、それを拒んではならないよ、父にそう教えられた。食パンはぱさぱさしていたが、とても美味かった。
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