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野球場に不時着したヘリが炎上

立ち上る炎を見ていた。彼と二人、少し離れたところで。ここは安全だから、と彼はわたしの手を握ってくれた。わたしはブルブルと震えていた。怖かったのではなく、寒かったのだ。まだ夏の恰好をしていた。Tシャツとジーンズだけでかなりラフだったと思う。いつの間にか夏は終わっており、秋が始まっており、風が冷たかった。炎はすごく立ち上っているが、ここまで、その熱気はやってこない。それぐらい遠くに離れているってことだろうか。それにしてもごうごうと音を立てて、景気よく燃えている。どれだけの燃料が消費されるのだろうか。わからないな、と彼は言った。彼は物知りだけど、彼にもわからないことがあるのだろう、わたしは改めて知った。別に幻滅しないよ、と言ったら変な顔をしていた。わたしは彼の手をぎゅっと握った。彼も握り返してきた。ヘリは炎上、よって帰るすべを失ったわたしたちは途方に暮れている。ほんと言うとわたしは楽しくてしかたない。彼とどうやって帰ろうか、彼とどんなことをしてこの窮地を切り抜けていこうか。そういうことを考えている。別に力つきても良いような気がした。彼がすべてだった。19のことだ。
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