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無情の雨に打たれ

杏仁豆腐に手をつけずに、彼女は少しうつむき加減。あの、ぼくはいったいなにを言えばいいのでしょうか、と聞きたい。聞きたいけれども聞いてしまえばそれは腕がない、こいつは使えないと思われてしまう。それは今後の僕たちのことを考えると致命傷。圧倒的なアドバンテージを奪われてしまう。いかん、それは困る。彼女の言うことをすべて叶えていくだけの存在にはなりたくない。いや、なりたいのはやまやまだけども、こちらの意図とか淡い希望とか、そういうの全部無視して叶えていくのは嫌だ。わがままだと言われるだろうか。言わせない、ようにするためにはここで、ぼくができる大人の男だということをアピールしなければならなくて、それは意外に難しいことだと気づいたのだ。

しかしこのままぼんやりと時間だけが過ぎていく状態は一番良くない。ぼくは引っ込み思案であるけれども、それなりにできる男だと信じている。自分で自分を信じられなくなったらそれは終わりだよ、せめて自分ぐらいは信じてやろうよ。さあ、できる男よ、ここで気の利いた一言を発するのだ。彼女がぱっと華やぐほどの一言を発するのだ。降りてこい、さあ降りてこい。天は我を見放さない。なぜならずっと信じてきたから、ぼくは自分を信じるとともに、天も信じてきた。祈ってきた。人生のかなりの部分を天のために捧げてきた。雨の降る、この空に向って、一心に、いつかそういうときがきたらぜひとも我に力を、と。

降りてきた。さあ降りてきたぞ、この言葉。発してやれ、彼女に向って発してやるのだ。今、彼女はあくびをした、ぼくはそれを見逃していない。つまり観察力はまだまだあるということに他ならぬ。彼女はあくびの瞬間、手で口の付近を隠したぞ。その意味は、退屈しているということ、そして、ぼくに対して遠慮しているということ。ぼくに気を遣っているということ。まだ終わっていねえ。ぼくはまだ終わっていないんだ、叫ぶぞ。叫んで店内に響かせて、彼女を、ここにいる全員を驚かしてやれ、それがぼくの生きる道だ。

叫んでやったぜ、むっしゅむらむら、連呼という言葉の意味を知ったぞ。むっしゅむらむら、ぼくはむっしゅだ、同時に、むらむらしている。彼女を前にしてさっきからムラムラしっぱなしだ。つまり、作中の人物である。堂々と胸を張っていい。ぼくはむっしゅむらむらだ、だから叫んでやった。彼女はびくっとなった。その様がとても愛くるしい。まるでぼくの操っている人形のように、凝視している、その目ももちろんキュートだよ。まだ連呼だ。さらに連呼だ。続けることに意味がある。価値がある。だからぼくはやめないよ。店員が近づいてくる。ぼくをとめるものは何人たりとも許さない。ぼくはとめられないんだ。連呼。店員が何人かきて、ぼくは無理矢理外に連れ出された。
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