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光と影/Polaris

光と影は親友だった。
唯一無二の親友で、いつもいっしょにいた。光が歩けば、影が後からついてきた。
光はみんなから慕われていた。好かれていた。光のいるところには笑いがあり、喜びがあった。
逆に影はみんなから嫌われていた。影には誰も近寄らず、影が近づいてくるとみんな走って逃げ出した。影の中に入るなんてごめんさ、と言わんばかりに。

みんな影のことをあまり知っていなかった。影がどんな性格で、どんな物が好きで、どこに住んでいるのか知らずに、なんとなく避けていた。光のこともあまり知っていない。なんとなく楽しくなるから、寂しくなるから、で好き嫌いを決めていた。世界はもっとシンプルだった、遠い昔のことだ。そんなふたりだったが、とにかく親友だった。光はみんなから慕われていたが、心を許せる相手はいなかった。みんな光のことに興味をもたなかった。というよりもそこにあって当たり前のものと考えていた。いや、考えてもいなかった。好きだけれど、いっしょにパーティをすることもなかった。いっしょにカードゲームに夢中になることもなかった。サンバを踊ることもなかった。影だけが、光のすぐそばまできてくれた。
光と影は、というわけで、ずっと一緒だった。

ある時、ふたりが同時に恋をした。
同じ相手に恋をして、お互い、今恋をしたと気づいた。ずっと一緒にいたから、お互いの感情は手に取るようにわかった。影は遠慮して、光に声をかけるように促した。しかし、光は断り、一緒に行けばいい、と提案した。一緒に行って告白しよう、そして彼女に選んでもらえばいい。影は無駄だと思った。万が一も自分を選ぶわけがない。光のことを意地が悪いと思った。ぼくが促したときにいけばいいのに、わざわざ一緒にいこうだなんて、恥さらしもいいところだ、と憤った。光はそんな影の気持ちなどおかまいなしにはりきって身繕いをしている。その無神経さに腹が立った。
影は一計案じることにした。まともにぶつかっても勝ち目はない。だったら考えて、光を陥れてやりたい、と思った。光と影は一緒に告白しにいくのに待ち合わせていくことにした。その待ち合わせの時間の少し前に影はやってきた。そして、通りかかった野ネズミにチーズ一片を渡し、仕事を依頼した。
間もなくここに光がやってくる、おそらくおめかししているだろう。一張羅でもきていると思う。それに泥をかけてくれまいか、やつの一張羅に泥をかけてくれたらチーズをもう二片あげてもいいぜ。
野ネズミはちゅうちゅう言いながら引き受けた。

光が約束の時間に正確にやってきた。やはり一張羅を着ている。待ち構えていた野ネズミは泥をかけた。
光の一張羅が汚れてしまう。光は泣き出した。もう間に合わない。クリーニングに持っていく時間などない。このままいくしかない。しかし光は紳士だった。このまま泥にまみれた一張羅でいくぐらいなら、いかない方がいい。と判断した。
少し遅れてやってきた影は光に声をかけた。どうしたんだい、その泥は、ひどく汚れているじゃないか。
そうなんだ、野ネズミにやられてしまったよ、影千代、ぼくはあきらめるよ、このまま告白なんかできない。
そうか、残念だけど君がそう決めたんなら仕方がないな、影は内心ほくそ笑んだ。

影はひとりで告白するために歩き出した、が動けなかった。
そうです、光が動かないと影も動けません。
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