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虎/ハンバートハンバート 3

よくあることだとみんな思ってたよ。でもその顧客はちがったんだ。なにがちがったか。それはね、怒鳴り込んできたが、すぐにおとなしくなった。そして笑い出したんだ。なんかもうおかしくてたまらないという風に笑い声でね、どうしてそんな風に笑えるんだろう、どうしてお金をとられて笑っていられるんだろう、と俺は思ったよ。そしたら、急に怖くなった。このままずっと壺を売りつづけて、俺は生きていくのだろうか。俺はなんのために壺を売るのだろうか、壺にはそんなに価値があるのだろうか、ただ眺めてみるだけのものにそんなに価値があるのだろうか。俺はそう教えられてきたけれど、冷静になって考えればおかしいはなしだ。所詮壺だよ。人間国宝が作ろうが、昔々の貴重なものだろうが壺だよ。そんなに高い金を払う必要なんてないんじゃないだろうか。俺は混乱した。笑い出した客はボスに殴られたが、まだ笑っている。どうしてそんなにおかしいんだい?と俺は尋ねたかったね。でも空気的になにもできなかった。こいつに関わったらろくなことにならない、とみんな思っていた。ただ、ボスだけがやつをサンドバックのように殴りつづけた。それでも笑い続けるんだ。なんなの、こいつはなんなの、と思った。

西田はそこで黙った。虎が戻ってきているのかもしれない。放尿する音が聞こえた。竹林に流れる音、風流よのう、と思った。

気づいたら俺は組織を抜けていた。少々いざこざはあった。いたい目にも合った。それでも俺はもう組織内にいることが耐えられなかったんだ。あの組織にいることを思えば、いたい目にあうぐらいどうってことなかった。組織を抜けて、もう壺を売らなくていい。そう思った瞬間だった、俺の足は、後ろ足に、手は前足になった。なんだこれは、俺は混乱したよ。前進が黄色くなっていく。所々黒も混ざっている。牙がぐんぐん伸びてきた。耳がよく聞こえる。鼻の湿り気。この声は、獰猛な虎じゃないか。俺は一瞬で虎になってしまったんだ。ここは東京のど真ん中、放たれた虎の運命を思った。まずい、非常にまずい、見つかれば射殺、よくても、とらえられて動物園送り。まずい。誰にも気づかれずに、虎が自然に生きていける場所に行かねば。俺の東京脱出作戦が始まった。
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