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虎/ハンバートハンバート 7

俺と飼育員の共同生活が始まった。俺は嬉しかったよ。生きる目的がここにはあるような気がした。今までの俺はなんだったんだ、会社と壺の日常、女房子どももそこそこに、俺は惰性で回っていたんだ。飼育員は俺に餌をくれた。俺が欲しがるだけ食べさせてくれた。栄養バランスも考えて、偏らないように作ってくれた。うれしかった。おいしかった。これだけあれば他に何もいらないと思った。というか、東京からでても、なにがあるというのだろうか。竹林とこことどういう差があるというのだ、断然こっちの方がいい。俺はそう思うようになった。

飼育員は俺に様々な事を教えてくれた。虎が都会で生きていくすべを教えてくれた。虎は事務仕事ができないから、肉体で示さないといけない。つまり芸だ。飼育員は「お手」や「おすわり」を教えてくれた。俺は必死で覚えた。なかなかできない自分にいらだちながらも毎日芸を自分のものにするために励んだ。血を吐くような努力をした。飼育員は厳しく、しかし優しさを忘れずに俺につき合ってくれた。

ある日、俺はステージに上がっていた。玉に乗り、右手にけん玉、左手で皿を回して、口笛を吹いていた。長崎は今日も雨だった、をよどみなく吹いていた。観客は沸いた。怒号のような歓声だった。俺は嬉しかった。ここに生き甲斐があると思った。ここで俺は生きていくよ、と飼育員につぶやいた。彼は俺を抱きしめてくれた。幸せだった。
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