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3月29日のバラード/サニーデイ・サービス

「明日、待ってます」と言われ、電話を切った。少しドキドキしている。まだ咲きちゃんの相づちが耳に残っている。咲きちゃんの息づかいが忘れられない。ぼくは恋をしている。

咲きちゃんと知り合ったのは、と言ってぼくと咲きちゃんの出会いから今までを説明する気はない。そんなこと言葉で説明できるわけないじゃないか。言葉で説明したら、とたんに色あせてしまう。だからぼくの中だけでそっと毛布をかけておいておくべきものなんだ。要点だけ話そう。ぼくは病院に行った。どうして病院に行ったのかと言うと、ぼくは中耳炎になったのだ。温水プールに10年ぶりに入って、耳に水が入ったまま2日ほど過ごし、中の水が腐ってしまった、それが痛くなってきたので総合病院の耳鼻科に行ったのだ。咲きちゃんはその病院の受け付けにいた。ぼくは咲きちゃんと目が合った瞬間から、咲きちゃんに恋をしてしまった。咲きちゃんのその短い髪、はっきりした目鼻、トレードマークのピンクの口紅、白衣というにははばかられるほどのピンク色っぽい白衣。ぼくは咲きちゃんのためならなんでもできるし、色々やりたいと思います、と思った。

もちろん思うだけで何も言ってない。ぼくは言われるままに、耳鼻科の診察を受診し、薬をもらった。帰り際に咲きちゃんを見ると、ぼくの方に感心など全く向けず、下をむいたまま、ありがとうございました、と言った。それがまたたまらなかった。

ぼくはなんとか、咲きちゃんと親しくなりたくて、もちろん、不純な動機は何もない、ただ親しくなりたいだけだ。なにかにつけて病院に行った。幸い、総合病院だったので、診察すべき科は星の数ほどあった。内科、眼科、外科、精神科、カマキリ科、キク科、毎日行ったってなくならないほどの数だった。そのうち、ぼくが病院に行くと、たくさんの視線がむけられるようになった。ぼくは病院の噂となり、やがて、伝説となりつつあった。そのなかにあって咲きちゃんは相変わらずまったく関心を向けなかった。ぼく、というよりも、誰にも関心を向けていないようだった。いつも、手元に広げているキラキラした雑誌を熱心に読んでいた。

伝説の男、ぼくが病院に行けば、VIP席が用意され、ドリンクサービスやマッサージ師がつくようになった頃、ぼくは咲きちゃんに話しかけてみた。ぼくは毎日病院に行っても屁でもないほどの金を持っている。地主なんだ。ぼくと電話番号を交換しないかい?咲きちゃんはすぐに電話番号を教えてくれた。電話番号の後にキスマークが付けてあった。咲きちゃんはそんなことをするタイプじゃないと思っていたのにまったく。と、ぼくは思ったけれど、初志貫徹である。ぼくは咲きちゃんを遊園地に誘ってみた。咲きちゃんはほいほいとついてきた。会ってみれば素直でいい子だった。金のためとはいえ、咲きちゃんはすごくいい子だった。ぼくたちはどんどん親しくなっていった。すごい速度だった。咲きちゃんの方が積極的だった。ぼくの財力に目がくらんだんだろう。どうでもいいことだが。

咲きちゃんは「明日、部屋にきてください」と誘ってきた。とびきりごちそうします、と言った。じゃあ、なんてぼくは関心のないそぶりをした。茶さん大好き、と咲きちゃんは言った。茶さんと呼ぶなよ、本名呼べよ、とぼくは答えた。
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