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ソファ/斉藤和義

アンティーク調のソファを買ったのです。飴色になった革張りで、結構な重厚感があります。一目見てわたしは気に入り、購入を決めました。このソファが自分の部屋にあったらと想像し、ほくそ笑みました。ソファは店頭に並んでいたため、いったんチェックし、清掃ををしてから届ける、と店員は言いました。よろしく、と言ってわたしは店を後にしました。

ソファにはびっくりするほどの格安の値段が表示されており、さらに店員は、売れ残りですからまけておきますと言ってさらに半額に値下げしてくれました。わたしは金に困っていないので、別に高い値段でもよかったけれど、店員の厚意を尊重してありがたく受け入れた。

ソファがうちにやってきたのは、それから一週間後の日曜日の午後でした。
宅配業者は慎重にソファをわたしの部屋に入れ、わたしが指定する場所に、無駄のない動きでソファを運んだ。宅配業者が帰った後、部屋にやってきたソファを眺めた。見れば見るほど、ソファはわたしの部屋に合っていた。我ながらいい買い物をしたものだ、とつぶやきました。

そうでしょう?とソファが答えたのです。最初は気のせいだと思いました。空耳が聞こえるなんてわたしは疲れているのだろうか、とおかしくなって珈琲を飲んで休もうとしました。空耳ではありませんよ、とソファが言った。わたしはソファに近づき、お前がしゃべっているのか?と聞いてみました。ソファは、そう、とうなづきました。

奇妙な生活が始まりました。別にいやではなかった。自分が異常だとも思わなかった、ソファがしゃべっても日常生活に支障はありません。人に話すこともありませんでした。もともとわたしは無口な方だし、それこそ、ソファがしゃべりだした、なんて話したら、病院に連れて行かれることになる。わたしはまともだ、と説明するのが面倒だ。

ソファは日に日に饒舌になっていきました。ソファの話は思慮に富み、時に軽く、時に深く、次第にわたしはソファに魅了されました。なにをおいてもソファと話すことが楽しい、と感じるようになった。食べるのも、生きるのもだんだん遅くなっていく。社会とのつながりなどソファの話に比べたら薄っぺらい。わたしはソファとの対話のために生きているのです。

ある日、ソファに座って、話をしているとき、急にまぶたが重くなり、ほどなくしてにわたしは眠っていました。目覚めたとき、わたしはソファであり、わたしに座る男としゃべっていたのです。
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