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ペダル/フジファブリック

わたしが管理人室に入ると、後から斎藤くんがついてきた。彼はわたしになにか訴えている。今にも膝から崩れ落ちて、ナミダをだらだらと流さんばかりの勢いでわたしの腕をつかんだ。おいおい、ここは管理人室、管理人のための部屋、ここに入っていいのは、管理人であるわたしと、このマンションのオーナーであるK氏だけ。君は入ることができないんだ、そういうことを知らないおろかな若者よ。しかしわたしは決して激したりせずに、優しく諭そうと思うよ。その辺がザ管理人たるわたしの才能と言うか、才覚、これがなければ管理人は勤まらない。だがしかし、わたしも暇じゃないんだ。真下の彼女の部屋に侵入して調べものをしないと行けない。ちょうど外出するようだから、都合がいい。早速調べることができるチャンスだというのに、斎藤くんがこの部屋にいたら、それもできない。だからできるだけはやくまとめて追い出さないといけない。これは少々面倒だ。

斎藤くんはなにかぼやいている。入ってくるなり、肝心の事情はまるで話さずに、うさぎしゃんうさぎしゃん、月に戻るのはいつですか、月は快適ですか、などとぼやいている。やっぱり頭がおかしいのだろう。可哀想に、いや同情はいけない。同情などおろかな人間のすること、ほら、わたしだって見る人から見れば可哀想な大人なわけだ。斎藤くんから見ても、アフリカの貧しい人は可哀想だと、いやそれはそれで幸せに生きているのは知っている。
考え方の問題だ。それぞれいろんな立場があって、いろんな視点があるということ。斎藤くんはこんなに幸せそうなのだから、それでいいじゃないか。わたしが同情することではない。毎日、なにかを食べて、生きていければそれで幸せだということだ。わたしは斎藤くんの話を聞いてやった。内容はまるでわからないけれど、いくつかのキーワードが出てきた。悪魔とうちわとうさぎしゃん、乾電池、おにぎりの具、仮面ライダーと太陽の傾き、わたしはだんだん眠たくなってきた。このまま眠ってしまっても誰にも文句を言われないような気がした。斎藤くん、とわたしは突然言葉を発した。彼はびくっとなって黙った。わたしは眠たくなってしまったんだ。今度ゆっくりはなしは聞いてあげるから、今日はもう帰ってくれないか?

彼は表情を変えずに、決してうなづかずに、なにかちいさくつぶやいたあと、ふらふらと管理人室を出て、壊れそうな自転車にまたがり一生懸命ペダルをこいで、町に消えたのだ。
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