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かごの中のジョニー/くるり

国宝をじっと見ていると、国宝は口を開く。人間の恰好をした石のくせに、口を開くなんてなまいきなやつだ。口を開いて、ぼくになにかを伝えようとしているのか。ぼくは仕方なく、なんだ、と声をかける。こちらから声をかけるなんザ、ぼくはなんていい奴なんだろう。国から表彰されてもいいと思う。

「なんだ?」
「私は国宝です」
「知っている」
「あなたは私の声が聞こえる?」
「聞こえている」
「聞いてくれるのですか?」
「聞いてやろう」
「ありがとうございます、だいたい30分ぐらいで終わると思います」
「それぐらいなら別にいいよ」
「じゃあ聞いてください」
「あ、ちょっとまって」
「なんですか?」
「お前のはなしを聞く前に、ぼくの話を聞いてくれるか?」
「いやです」
「は?」
「私は国宝ですよ」
「知ってるよ」
「国宝が庶民の話を聞けますかいな」
「なんてなまいきな」
「とにかく聞けません」
「はあ」
「じゃあ話しはじめてもいいですか?」
「いやだね」
「なんで?」
「お前はぼくの話を聞かないと言った」
「はい」
「じゃあぼくもきけないね」
「なんと、国宝ですよ?」
「だからなに?」
「国宝と話せる機会なんてそうそうありませんよ」
「別にはなしたくもない」
「珍しい人ですね」
「じゃ、ぼくも忙しいから」
「なにをするんですか?」
「ん?」
「いまからなにをするんですか?」
「ぼくは再び町を彷徨うよ」
「彷徨う?」
「そう、目的もなくうろうろするんだ」
「なんのために?」
「いいかい、人は時として意味なく彷徨う必要がある」
「そうか」
「じゃ、ぼくはいくから」
「あの」
「まだなにかあるのか?」
「おともさせてもらっていいですか?」
「は?」
「私も一緒に彷徨いたいな、と思いまして」
「いいけど、国宝が町を彷徨っていたら、国が動くだろうよ」
「いいんです、たまにはなにもかもわすれてしまいたいんです」
「そうか、そういう気分にもなるよね」
「はい」
「じゃ、いこうか」
「お願いします」

国宝はそこに乗り捨ててあった自転車の、鍵を外し、またがった。石でできているだけあり、かなり重いらしく、自転車は今にもつぶれてしまいそうだった。かくしてぼくらは町に出た。ぼくは家来を連れているような気がした。こんなに心強いものはいない。人通りは少ないために、さほど注目もされない。好都合だ。ぼくは町を彷徨うふりをして、自分の部屋に国宝を連れて行くことにした。すでにこいつは、かごの中のジョニー。ぼくの部屋に監禁してしまおう。素敵な思いつきに、ぼくはほくそ笑んでいた。
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