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リスになる

朝、目覚めるとリスになっていた。
わたしはリスであり、手足をかりかりとならしてみた。すると、それが合図であるかのように、わたしの眼の前にリスがやってきた。リスはその前歯をむき出しにした。リスなりの笑顔であるとしばらくして気付いた。リスがどんぐりを差し出し、わたしにかじれと促しているようだった。
わたしはどんぐりをかじったことがなかったため、躊躇した。
が、いま、わたしはリスであることを思い出してかじってみた。どんぐりはさほど美味くなかったが、食べられないことはない。もうひとくち、わたしはどんぐりをかじってみた。癖になる味だった。
リスはどんぐりをさらに差し出した。食べるならやるよ、というかんじだった。
わたしはありがとうと声に出した。

どんぐりを食いつづけていると、自分がリスであることを忘れそうになった。
いや、わたしはあくまでもリスではない。今、仮にリスになっているだけで、わたしのすべてがリスになっているわけではない。現に延々と思考を繰り返しているこの私そのものは、リスではなかった。本来のわたし、そっちが本体であった。

リスはやがて、どんぐり以外のものもその口の中から取り出して差し出した。
素敵な緑色の如雨露で、わたしに水をかけた。わたしはキャッキャと言って逃げ回った。なにかいやらしい気分になってきた。リスに水をかけられるなんて、早々体験できないことをわたしは体験している。
記録として残すべきだと思った。これは貴重な資料になる、とわたしは確信した。

如雨露の中の水がなくなると、リスは如雨露を放り投げた。そんなものに興味はないよ、といわんばかりに放り投げた。わたしはその如雨露が欲しくてたまらない。だから放り投げたそれを拾い上げた。リスになったわたしの小さな手にはなかなか重たい代物だった。リスなのだから手ではなく、足かもしれない、と思った。

如雨露を傾けてみた。するとどうでしょう、水がなくなったはずの如雨露から、ちろちろと水が流れるではありませんか。わたしは思わず、ぎゃふん、と声を上げた。リスも驚いているようで、ぎゃふん、と鳴いた。しばらく、わたしたちはぎゃふんぎゃふんと連呼した。

ここはぎゃふん島ではない。決してぎゃふん島ではない。だからそんなにぎゃふんぎゃふん言う必要はない。もしもぎゃふん島だとしても、ぎゃふんぎゃふん言う必要はない。だんだんおかしくなってきた。わたしたちは今や、ぎゃふんに精神を乗っ取られた希有なリスだった。止めるきっかけを失い、ぎゃふんぎゃふんと鳴きつづけている哀れなリスだった。

その間も水は延々と流れつづけた。みずうみができた、と思いながらわたしはぎゃふんと鳴いた。
残念ながらリスは泳げません、わたしは溺れた。苦しくはない。苦しいと感じるような脳の部分はリスにない。
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