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流星群の夜

のりおはペダルを踏む足にありったけの力を込めた。とにかく急いでいた。見逃したくない。なんせ100年に一度の流星群だ。これを逃せばもう生きてみることはできないだろう。のりおの自転車のライトが砂利道を照らす。かなり悪いタイヤがパンクしてしまいそう。それだけの価値はある、とのりおは考えている。

誰もいない場所で見たい。一人きりで見たい。誰にも邪魔されずにのりおは流星群を見たかった。拝みたかった。自分の運命や、未来のことを祈りたかった。流星群に願えば叶う、と聞いた。本当かどうか知らない。ただの噂だと思う、思うけれども、それにすがりたい気持ちがある。すがってしまう弱さがある。どこで聞いたのか、インターネットの掲示板に書いてあったのだろうか。忘れてしまった。けれども信じている。一縷の望みをそこに感じた。それを信じてみようと、のりおは思った。別に叶わなくてもいいじゃないか。それでもともとだ、とのりおは思っていた。これはただの自己満足だ、なんにもかわらない。祈ったところでなにもかわらないことは知っている。

たどり着いた。とりあえずたどり着いた。まだ流れてこない。大丈夫だ。のりおはほっと息を吐く。準備をしよう。星を見るための準備だ。準備と言ったって別になにをするわけでもない。なんというか星を見ると言う気分になること、これがなによりも重要なんだ。のりおは自転車をとめて、あたりを見回す。なにもない。野原だ。道もなくなっている。座れそうな所を探した。辺りは暗く、何も見えない。懐中電灯を持ってきたらよかった、と後悔する。全然用意できなかった。のりおは自分の無計画を笑った。あはは、と笑ってみた。少し楽になった気がした。ぼくは、とのりおは独り言をつぶやく。星にむかってつぶやいてみる。簡単なことだ。これだけで、楽になるんだから。

ぼくはまだ若い、ちいさい、なにもできない。無力だ。けれどまだ今から大きくなるかもしれない。年を取るごとにぼくの可能性は大きくなっていくかもしれない。賢くなるだろう。ある程度は賢くなる。ぼくはけっこう努力をしている。体力も増えると思う。そういう風にできているし、ぼくはかなしいほどの努力をしている。

星は応えてくれる。そのままで、のりおさん、あなたはそのままでいてください、何の心配もしなくていいのです、と星は囁く。のりおはそれだけですでに満足している。安心感が溢れ出す。のりおは野原に寝転がる。目を閉じよう、なにもいらない。ぼくにはなにもいらないんだ、とつぶやく。のりおは寝息を立てる。眠ってしまう。流星群が流れ出す。小さな閃光が夜空を横切る。のりおは見ていない。夢を見ている。
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