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ティアラ、噛み付く

ティアラが噛み付いてくる。なんという獰猛さだろうか。あたしはこんなに獰猛なティアラなら拾わなかったのに、とすでに後悔しはじめている。ティアラは尖っている部分であたしの皮膚を噛みちぎろうとしてくる。血が噴き出す。なんて鋭い牙だろうか。この牙はあたしの皮膚をちぎるためのものか、あたしは戦慄した。

落ちているわけないと思った。だいたいティアラが落ちているなんて怪しい。完全に怪しい。通常であればそんなもの無視だ。完全に無視して通り過ぎる。けれど、その時のあたしは病んでいた。精神的に病んでしまっていたものだから無視できなかった。そのティアラが一筋の光りに見えた。実際に光っていた。光ってあたしを呼んでいた。どうぞ拾ってくださいと囁いていた。あたしはその囁きに忠実にしたがって拾い上げた。なかなか細かい細工がしてあるティアラだ。あたしはすぐにフトコロにしまい込んだ。あたりを見回すと誰もいないので安心した。誰かに見られていたらとがめられるかもしれない。どこかにカメラがあってこれはいたずらなのかもしれない。そうだとしてもだってティアラが呼んでいたんだものと言い訳をできる。あたしは走った。このティアラを誰にも見せたくなかった。見せてはいけないと思った。これはあたしだけのものだ。

公衆トイレに駆け込んで、一人になったあたしは懐のティアラを確認した。ティアラは凛としてあたしの懐にあった。まるで最初からそこで生まれたように、あった。そうか、そうだよね、とあたしはひとりつぶやいた。ティアラだって誰かに拾われてなんぼのもの。落ちているティアラはただの金属。いけない。あたしが拾ってあげる運命だったの、と思い込むことにした。するとティアラはあたしの懐で暴れだした。目覚めたように突然、ティアラはあたしの皮膚に噛み付いた。あたしは悲鳴を上げそうになったが我慢した。かなり痛かった。悲鳴ぐらい別に上げても支障はないんじゃ、とは思ったけれど、上げなかった。何となく悔しかったのだ。あたしはティアラをハンケチで包んだ。動きを封じようとしたのだ。無駄だった。ティアラはすぐにハンケチを破った。いともかんたんにあたしのハンケチは破れた。ティアラはさらに獰猛になり、あたしの全身に噛み付いた。もうあたしの力ではどうすることもできない。あたしは疲れてしまった。好きなようにさせた。それが一番だと思った。気が済むまで暴れるがいい、ティアラを拾うと言うことはこういうことなんだと思った。

目覚めるとティアラはいない。あたしは便器にもたれて意識を失っていた。ひどく出血していた。誰か助けて、と思ったが声が出なかった。このまま死ぬのかしら、と思った、まるでさえない最後だ、あたしらしい。そのとき、戸を叩かれた、上から顔がのぞいた。大林さんだった。大丈夫、と大林さんは上から侵入してきた。手にティアラを持っていた。そうか、あなたが呼んでくれたのね。ちょっと乱暴してしまって焦ったあなたは通りかかった大林さんを呼びにいったってわけね。ありがとう。

大林さんはあたしの頬を張った。だから拾っちゃダメって言ったでしょう。そういえば言われたような気がする。けど、拾っちゃうよね、だってティアラだもの。
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