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雨女ゆきりん

ゆきりんは両手を伸ばし、雲をつかみ取ろうとした。当然、届かない。ゆきりんは眉をしかめた。自分で想像しているよりも雲は遠くにある。もういちど、今度は思い切り手を伸ばし、雲をつかみ取ろうとする。雲はとてつもなく離れているような気がする。けれど雲をつかみ取りたい。雲さえ自由にならないなんて、雨女としてのプライドが許さない。雲をしぼって雨を降らせるのだ、雨を待ちわびる民のためび雨を、大量の雨を降らせるべくやってきた。山から里へ。雲もつかめないようでは雨女としての資質を問われる。ゆきりんは焦った。そこで太陽をつかもうと思った。太陽の方を握りつぶしてしまえば雨は降るだろう。太陽に向かって手を伸ばす。雲と同様に届きそうにない。ここですぐにあきらめたら民から罵倒されるだろう。せっかく里までやってきて罵倒されるのは嫌だ。ゆきりんはあきらめずに手を伸ばした。さあ腕よ、その本領を発揮し、あの太陽まで伸びてください。ゆきりんは祈った。するするするする、と音を立てて腕は伸びた。ぐんぐん伸びて行く腕を支えるために足が平べったく変形した。クレーン車だって、高く高く伸ばすときには支えの部分が必要だ。腕は伸び続けた。けれど太陽には届かない。相当遠い所にあるのだろう。まだまだ伸びそうだったからゆきりんはあきらめなかった。足は地にめり込んでいく。深く深く、突き刺さった。長くなっていく腕を支えるために頑丈なビスを打った。いくつもいくつも打った。厳重に固定された。コンクリートを流し込んで足場を固める必要がある、と現場監督は指示した。古株の現場監督で、設計者の言うことを聞かない。いくら設計者がゆきりんのイメージがあるから、あまり無茶なことはしないでくれと言っても聞かなかった。自分が正しいと信じた道を突き進んだ。コンクリートで固められ、鉄筋を何本も組み立てて強化した。ゆきりんは見えなくなった。その腕が伸び続けていることがゆきりんである印となった。腕の周りも固定された。おれてしまえば元も子もない。とにかく守ろうと現場監督は主張した。反論できるものは誰もいない。かくしてこの塔はできた。だから今でも中でゆきりんは腕を伸ばしつづけているんだよ、と祖母は言った。ぼくは塔の、その先が太陽をつかんでいるのを見た。
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