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重い扉

扉は開くためにあらず。閉じつづけていることで役割を全うする扉がある。そう教えてくれた西宮さんが死んだのは5日前。身寄りもなく、路上で生活している西宮さんは市の担当者と名乗る男に引きずられて海に捨てられた。最初、西宮さんは浮かんだままだったので、担当者は舌打ちをし、部下であるらしい若い男に重いものを持ってくるように指示した。若い男は阿呆だったらしく、彼が持ってきたものはカーネルサンダースの作り物だった。脇にエプロンをした店員がいて、困りますと囁きつづけていたので、担当者はまた舌打ちをした。けれど担当者が睨むと店員はすぐに引き返した。本能的にここにいてはまずいことになると察知したのだろう。カーネルサンダースを海に沈めてみたが、沈まない。持つと重いのに海には沈まないんですね、と若い男は楽しそうだ。担当者はまた舌打ちをした。

西宮さんが無事に沈んだ後、担当者は西宮さんのねぐらに向かった。それは地下道の一角をブルーシートで覆っただけの簡単なねぐらだった。担当者はその中に入り西宮さんの持ち物をあれこれ触った。なにか探しているようだった。やがてねぐらの奥に小さな扉を見つけた。西宮さんがつけたものではなく、もともと地下道についていたものだった。担当者は扉の柄の部分をひねり、扉を開けてみた。そこに虚空があった。

担当者はその中に手を入れてみたが何もつかめない。そこにあるべき壁も地面も配管その他、なにもなかった。思い切り手を伸ばしてみるがなにもつかめない。担当者は西宮さんの持ち物の中からできるだけ長いもの、孫の手を手にとり、その中に入れてみた。けれどもなにもつかえない。孫の手を離してみる。落ちていく感覚はあったが、地面とぶつかる音はいつまで待っても聞こえてこない。担当者は首をひねった。再び若い男に懐中電灯を持ってくるように指示した。しばらくして懐中電灯を持ってくる。若い男も中をのぞきたいらしく、物欲しそうな目をしたが担当者は無視した。懐中電灯で中を照らしてみるが、光は暗闇に飲み込まれていくだけだ。お前、入ってみろや、と担当者は若い男に指示した。イヤですよ、なんか危なそうだもん、と若い男は拒んだ。お前に拒む権利はねえんだよ、と凄むと若い男は泣き出した。そんなつもりじゃねえのに、と担当者はため息をついた。

どの業界も若手の教育に手を焼いているらしい。
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